事務所代表 高橋博
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離婚判例全文5-遺族厚生年金と重婚的内縁関係(大阪高裁平成26年11月27日)

判例
(最高裁判所 裁判例情報より)

事件番号:平成26(行コ)23
事件名:遺族厚生年金不支給取消裁決取消・遺族厚生年金支給決定取消処分取消請求控訴事件(原審甲事件・大阪地方裁判所平成22年(行ウ)第200号,原審乙事件・同裁判所平成23年(行ウ)第185号)
裁判年月日:平成26年11月27日
裁判所名:大阪高等裁判所

主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(補助参加によって生じた費用も含む。)は控訴人の負担とする。

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 原審甲事件
社会保険審査会が,平成22年4月30日付けで被控訴人補助参加人に対してした,社会保険庁長官による被控訴人補助参加人に対する平成 21年1月24日付けの遺族厚生年金不支給処分を取り消す旨の裁決を取り消す。
3 原審乙事件
厚生労働大臣が,平成22年6月22日付けで控訴人に対してした遺族厚生年金の支給決定を取り消す旨の処分を取り消す。
4 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

第2 事実の概要
1 事案の概要は,原判決13頁4行目の「定期的に」の次に「おおむね」を,14頁15行目の「手紙」の次に「(丙2の③)」をそれぞれ加え,後記のとおり当 審における補充的主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これらを引用する。なお,略称は,断 りのない限り原判決の例による。
2 当審における補充的主張(控訴人)原判決における「事実上の離婚状態」の判断基準,遺族厚生年金受給者についての法令解釈及び適用には誤りがある。そして,平成23年3月23日年発0323第1号「生計維持・生計同一関係等に係る認定基準及びその取扱い」は,13号通知の内容を包含する形で規定しており,同認定基準は,法59条4項に基づく政令の解釈適用・基準として発せられた厚生労働大臣の裁判所をも拘束する通知であって,法令というべきものである。
控訴人は,別居開始後から亡A死亡の年まで,亡Aの送金により生計を維持していた。また,控訴人と亡Aとは,別居中といえども,音信,訪問を反復継 続していた。
亡Aは,平成12年頃になって離婚意思を表明するようになったが,それは参加人との関係が始まったことに起因する。控訴人の方から離婚意思を表明したことはなく,控訴人と亡Aには離婚合意ないしそれとみなし得る離婚状態は存在しない。
(被控訴人及び参加人)
控訴人の主張は争う。

第3 当裁判所の判断

当裁判所も,控訴人の本件請求はいずれも理由がないと判断するが,その理由は,次のとおり原判決を訂正し,後記のとおり当審における補充的主張に対する判断を加えるほかは,原判決「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」に認定説示するとおりであるから,これらを引用する。
(訂正)
原判決19頁26行目から20頁2行目にかけての「そもそもかかる通知は行政機関内部において行政がよるべき一つの解釈を明らかにしたものにすぎず,法 59条1項の「配偶者」に関する裁判所による法の解釈を何ら拘束するものではない。」を次のように改める。
「そもそも,かかる通知は,上級行政機関が下級行政機関に向けて,行政の統一的かつ円滑な処理を行うために,一定の解釈・指針を示したものにすぎず,法令には当たらない。したがって,かかる通知に司法権を担う裁判所が拘束されることはない。」
2 当審における補充的主張に対する判断
(1)控訴人は,原判決における「事実上の離婚状態」の判断基準,遺族厚生年金受給者についての法令解釈及び適用には誤りがある旨主張する。
しかしながら,この点については,訂正の上で引用した原判決理由説示のとおりであって(原判決18頁以下の「1項」),控訴人の主張は採用できない。
事実上の離婚状態にあるかどうかは,戸籍上の配偶者の生活実態に即して判断すべきであり,別居の経緯,別居期間,婚姻関係を維持ないし修復するための努力の有無,別居後における経済的依存の状況,別居後における婚姻当事者間の音信及び訪問の状況,重婚的内縁関係の固定性等を総合的に考慮すべきであって,経済的依存の状況がないことが事実上の離婚状態を認めるための必須の要件とまでいうことはできない。そして,原判決理由説示を引用して示したとおり,上記諸事情を総合考慮すると(原判決31頁19行目から41頁6行目までの「4項」),亡Aと控訴人とは「事実上の離婚状態」にあったことが優に認められる。なお,控訴人は,平成23年3月23日年発0323第1号「生計維持・生計同一関係等に係る認定基準及びその取扱い」は,13号通知の内容を包含する形で規定しており,同認定基準は,法59条4項に基づく政令の解釈適用・基準として発せられた厚生労働大臣の裁判所をも拘束する通知であって,法令というべきものである旨主張するが,原判決の理由説示を訂正の上で引用したとおり,そもそも,13号通知は,上級行政機関が下級行政機関に向けて,行政の統一的かつ円滑な処理を行うために,一定の解釈・指針を示したものにすぎず,法令には当たらない。したがって,かかる通知に司法権を担う裁判所が拘束されることはないのであって,このことは甲91(平成23年3月23日年発0323第1号日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」)においても同様である。控4訴人のこの点の主張は理由がないことが明らかである。(2)控訴人は,控訴人と亡Aとは,別居中といえども,音信,訪問を反復継続していた旨主張する。しかしながら,本件全証拠を検討しても,亡Aと控訴人との間に,婚姻関係が実体として存続していることを基礎付けるような音信,訪問等があったとまで認めることはできない。
(3)控訴人は,亡Aは平成12年頃になって離婚意思を表明するようになったが,それは参加人との関係が始まったことに起因する旨主張する。しかしながら,引用に係る原判決の認定した事実(原判決21頁の「第3の2(1)オ」から23頁の「第3の2(2)イ(ア)」まで)に照らせば,亡Aが参加人との関係を始めるようになったのは,亡Aの方から,控訴人に対し,同居の再開の提案等婚姻関係の修復を図ろうと算段したものの,控訴人において,頑なにこれを拒絶したために,亡Aにおいても婚姻関係の修復を諦めたという経過の中でのことであって,控訴人の主張は相当ではない。
(4)控訴人は,控訴人の方から離婚意思を表明したことはないなどと主張する。
しかしながら,本件全証拠によっても,控訴人から亡Aに対して婚姻関係修復に向けての何らかの動きがあったことを認めるに足りず,離婚意思の表明のいかんにかかわらず,原判決が認定する諸事情を総合考慮すると「事実上の離婚状態」を優に認めることができることは,上記(1)において既に説示したとおりである。

第4 結語
以上の次第で,本件裁決及び本件処分は適法であり,控訴人の本件請求はいずれも理由がなく,これを棄却した原判決は相当である。よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

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