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相続判例集4

画像 相続の判例集です。
相続放棄における相続財産の処分と期間、相続放棄における相続財産の一部の処分、などの判例です。

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相続放棄における相続財産の処分と期間(大阪高裁平成14年7月3日)

(1)相続財産であ貯金を解約して墓石購入に充てた行為が、法定単純承認たる「相続財産を処分したとき」(民法第921条第1項)に当たるか。

葬儀は、人生最後の儀式として執り行われるものであり、社会的儀式として必要性が高いものである。そして、その時期を予想することは困難であり、葬儀を執り行うためには、必ず相当額の支出を伴うものである。
これらの点からすれば、被相続人に相続財産があるときは、それをもって被相続人の葬儀費用に充当しても社会的見地から不当なものとはいえない。
また、相続財産があるにもかかわらず、これを使用することが許されず、相続人らに資力がないため被相続人の葬儀を執り行うことができないとすれば、むしろ非常識な結果といわざるを得ないものである。
したがって、相続財産から葬儀費用を支出する行為は、法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法第921条第1項)には当らないというべきである。

葬儀の後に仏壇や墓石を購入することは、葬儀費用の支払とはやや趣を異にする面があるが、一家の中心である夫ないし父親が死亡した場合に、その家に仏壇がなければこれを購入して死者をまつり、墓地があっても墓石がない場合にこれを建立して死者を弔うことも我が国の通常の慣例であり、預貯金等の被相続人の財産が残された場合で、相続債務があることが分からない場合に、遺族がこれを利用することも自然な行動である。
そして、抗告人にから購入した仏壇及び墓石は、いずれも社会的にみて不相当に高額のものとも断定できない上、抗告人らが香典及び相続財産である貯金からこれらの購入費用を支出したが不足したため、一部は自己負担したものである。

これらの事実に、葬儀費用に関して先に述べたところと併せ考えると、抗告人らが本件貯金を解約し、その一部を仏壇及び墓石の購入費用の一部に充てた行為が、明白に単純承認たる「相続財産の処分」(民法第921条第1項)に当たるとは断定できないというべきである。

(2)相続放棄をすべき期間等について

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続の放棄等をしなければならない。そして、相続人が相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から3ヶ月以内に相続放棄等をしなかったのが、相続財産が存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当の理由がある場合には、民法第915条第1項所定の期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である。  

抗告人らは、本件貯金があることは相続開始後まもなく知ったが、被相続人には債務はないと信じていたものであって、債務があることを知ったのは、信用保証協会からの残高通知書に接した時であり、やむを得ないことというべきである。
そして、被相続人には本件貯金のほかに積極財産はなかったのであるから、抗告人らは、本件債務のように多額の債務があることを知っておれば、相続開始後すぐに相続放棄をしたはずてあることは明らかである。
そうとすれば、抗告人らが被相続人の死亡及び自己が相続人であることを知った時から3ヶ月を経過した後に本件相続放棄の申述をしたのは、やむを得ないものであり、民法第915条第1項所定の期間は、抗告人らが信用保証協会からの残高通知書に接した時から起算すべきものと解する余地がある。

したがって、抗告人らの相続放棄の申述が明白に民法第915条第1項所定の期間を経過した後にされた不適法のものであるということもできない。

(3)相続放棄の申述の受理について

相続放棄の申述の受理は、家庭裁判所が後見的立場から行なう公証的性質を有する準裁判行為であって、申述を受理したとしても、相続放棄が有効であることを確定するものではない。
相続放棄等の効力は、後に訴訟において当事者の主張を尽くし証拠調べによって決せられるのが相当である。
したがって、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理するに当たって、その要件を厳格に審理し、要件を満たすもののみ受理し、要件を欠くと判断するものを却下するのは相当でない。
もっとも、相続放棄の要件がないことが明らかな場合まで申述を受理するのは、かえって紛争を招くことになって妥当でないが、明らかに要件を欠くとは認められない場合には、これを受理するのが相当である。

相続放棄における相続財産の一部の処分(大阪高裁昭和54年3月22日)

行方不明であった被相続人が遠隔地で死去したことを所轄警察署から通知され、取り急ぎ同署に赴いた抗告人らが、被相続人の着衣、身回り品の引取を求められ、やむなくほとんど経済的価値のない財布などの雑品を引取り、なおその際、被相続人の所持金20,432円の引渡しを受けたけれども、右のようなわずかな金品をもって相続財産(積極財産)とは社会通念上認めることができない。
のみならず、抗告人らは、右所持金に自己の所持金を加えた金員をもって、遺族として当然なすべき被相続人の火葬費用ならびに治療費残額の支払いに充てたのは、人倫と道義上必然の行為であり、公平ないし信義即上やむを得ない事情に由来するものであって、これをもって、相続人が相続財産の存在を知ったとか、債務承継の意思を明確に表明したものとはいえないし、民法第921条第1号所定の「相続財産の一部を処分した」場合に当たるものとも言えないのであって、右のような事実によって抗告人が相続の単純承認をしたものと擬制することはできない。

もっとも、右のように解した場合、相続債務の債権者が、熟慮期間内は相続人たるべく予定されている者に対し、事実上相続債務の支払いを求め得ない点からみて、債権者に酷ではないかという見方があるかもしれない。しかしこの場合、債権者は相続開始後のできるだけ早い機会に、相続人となるべき者に対し、相続債務の存在を通知することができるし、またこの通知をすることこそ信義則に合致するものであり、右通知を受けてから3ヶ月の熟慮期間内に相続放棄の申述をしない相続人となるべき者については、民法第921条第2号による単純承認があったものとみなされるのであるから、債権者の保護に欠けるという非難はあたらない。

従来、民法第915条第1項の「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人死亡の事実のほか、これにより自己が相続人になることを覚知したことを要し、かつ、これをもって足りるとし、この他に遺産の存否や範囲を覚知する必要はないし、先順位相続人の相続放棄、死亡など法律上事実上の複雑な事情が介在する場合はもちろん、本件のように被相続人の第一順位の相続人である抗告人らのみが被相続人死亡の事実を覚知したような場合には、右覚知した時をもって同条項の「自己のために相続の開始があったことを知った時」にあたると推認するとの解釈ないし取扱が一般になされてきており、しかもそれは相続財産として積極財産が皆無で消極財産たる債務のみが存在する場合においても異なるところがないとされている。

しかし、このような事態は、個人の尊厳とその意思の尊重を基調とする現行相続法の理想にもとることはなはだしく、個人の幸福を重視する現代の社会通念に照らしても、到底これを黙過することができないものである。

非嫡出子の相続分(最判平成25年9月4日)

裁判要旨
1 民法旧900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。
2 民法旧900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。

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遺族補償年金と損益相殺(最判平成27年3月4日)

裁判要旨
1 被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,損害賠償額を算定するに当たり,上記の遺族補償年金につき,その?補の対象となる被扶養利益の喪失による損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する逸失利益等の消極損害の元本との間で,損益相殺的な調整を行うべきである。
2 被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り,その?補の対象となる損害は不法行為の時に?補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが相当である。

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相続預り金請求(最判平成26年12月12日)

裁判要旨
共同相続された委託者指図型投資信託の受益権につき,相続開始後に元本償還金又は収益分配金が発生し,それが預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合,上記預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく,共同相続人の1人は,上記販売会社に対し,自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができない。

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通知処分取消請求(東京高裁平成26年10月30日)

裁判要旨
相続財産に株式が含まれるとして相続税の申告をした相続人が,別件民事訴訟の判決において当該株式は相続財産に含まれていなかったことが確定したなどとしてした相続税に係る更正の請求に対し,税務署長がした更正をすべき理由がない旨の通知処分につき,国税通則法23条2項1号の文言及び趣旨に鑑みれば,「判決により,その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」とは,その申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実と異なる事実を前提とする法律関係が判決の主文で確定されたとき又はこれと同視できるような場合をいうものと解するのが相当であるところ,前記民事訴訟の請求は不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求であり,当該判決の主文はこれらの請求をいずれも棄却するというものであって,相続開始当時第三者が当該株式を有していたことその他の相続開始当時当該株式が被相続人に帰属していなかったことを意味する権利状態を判決の主文で確定したと同視できるような場合に該当しないなどとして,前記通知処分を適法とした事例。

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登記原因証明情報の提供(東京高裁平成26年9月30日)

裁判要旨
被相続人甲の相続人が乙及び丙の2人であり,被相続人甲の死亡に伴う第1次相続について遺産分割未了のまま乙が死亡し,乙の死亡に伴う第2次相続における相続人が丙のみである場合において,丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付してした当該遺産に属する不動産に係る第1次相続を原因とする所有権移転登記申請については,被相続人甲の遺産は,第1次相続の開始時において,丙及び乙に遺産共有の状態で帰属し,その後,第2次相続の開始時において,その全てが丙に帰属したというべきであり,上記遺産分割決定書によって丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続したことを形式的に審査し得るものではないから,登記官が登記原因証明情報の提供がないとして不動産登記法25条9号に基づき上記申請を却下した決定は,適法である。

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遺留分減殺請求と時効(最判平成26年3月14日)

裁判要旨
時効の期間の満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がない場合において,少なくとも,時効の期間の満了前の申立てに基づき後見開始の審判がされたときは,民法158条1項の類推適用により,法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は,その者に対して,時効は,完成しない。

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不在者財産管理人の行為(名古屋高裁平成26年9月18日)

裁判要旨
不在者財産管理人が,不在者が相続した財産を家庭裁判所の許可を得て売却した行為が,不在者にとって,民法921条1号の単純承認に当たるため,後に,不在者が相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にした相続放棄は無効であるとされた事例 。

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相続税更正処分等取消請求(東京高裁平成26年9月11日)

裁判要旨
変額個人年金保険契約に基づく死亡給付金の支払請求権は,当該保険契約の締結時において,当該死亡給付金につき,被保険者の死亡時にその全部又は一部を年金基金に充当した上,毎年1回,同死亡日を基準として定まる日に支払う旨の年金の方法によるとの特約が締結されていたなどの判示の事情の下においては,相続税法24条1項柱書にいう「定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」に当たる。

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所得税更正処分取消等請求(大阪高裁平成26年6月18日)

裁判要旨
1 相続税法9条の趣旨は,実質的にみて贈与又は遺贈を受けたのと同様の経済的利益を享受している者がいる場合に,租税回避行為を防止するため,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を受けさせた者からの贈与又は遺贈によって所得したとみなすことにあると解されるところ,同条にいう「対価を支払わないで…利益を受けた場合」というには,贈与と同様の経済的利益の移転があったこと,すなわち,一方当事者が経済的利益を失うことによって,他方当事者が何らの対価を支払わないで当該経済的利益を享受したことを要するとした上,父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金は,会員の相互扶助を目的とする各種共済金の1つであって,父親が納付していた負担金も,共済金の受給資格に関するものとして一定とされ,共済金の額も会員が支払った負担金の額とは全く連動しない一定の額とされ,退会の際は原則として返還されないというのであるから,贈与と同様の経済的利益の移転があったとは認められず,同条にいういわゆるみなし贈与財産に当たらないとした事例。
2 父親の死亡に伴い社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金を一時所得として所得税の課税対象とするに際し,納付済みの共済負担金を控除しなかったことについて,所得税34条2項が,一時所得の収入額から「収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」を控除することとした趣旨は,一時所得に係る収入を得た個人の担税力に応じた課税を図るため,その収入を得た個人の担税力を減殺させる支出に当たる部分を一時所得の金額の計算上控除することにあるから,「収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」とは,その収入に直接対応する支出に限られ,その収入との個別的対応関係が不明な支出は含まれないと解すべきところ,前記共済制度に基づく死亡共済金は会員の相互扶助を目的とする共済金の1つであって,前記共済負担金も,死亡共済金の額とは全く連動せず,退会すれば返還も受けられないというのであるから,死亡共済金との個別的対応関係が明らかでなく,死亡共済金の受給に直接対応する支出ではないと言わざるを得ず,一時所得の算定に際し,前記共済負担金を控除しなかったことに違法はないとした事例。

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認知症と監督義務違反(名古屋高裁平成26年4月24日)

裁判要旨
鉄道会社が,認知症により責任能力を失っていた高齢者が鉄道の駅構内の線路に立ち入り,通過する列車と衝突して死亡した事故によって生じた損害について,遺族に対し,監督義務違反の過失があったことを理由として,民法714条又は709条により損害賠償を請求した訴訟において,長男に対し民法714条2項の準用により,妻に対して民法709条により,それぞれ請求全額を認容した1審判決を変更して,長男に対する請求を棄却し,妻に対しては,民法714条1項による損害賠償責任を肯定した上,同条による損害賠償責任の法的性質などから,双方の事由を総合考慮して,賠償すべき額を損害の半額とした事例。

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