トップページ

プロローグ

山の概要

樽前山は、支笏・洞爺国立公園の支笏湖の南側に位置し千歳市、苫小牧市、恵庭市、白老町のどこからでも眺めることができ、地元の人に愛されている標高1041mの火山です。樽前山の東の麓には北海道の玄関口である新千歳空港や苫小牧港があり北海道を訪れる人を歓迎するかのごとくその山容を見せています。
山からの眺望は素晴らしく南に太平洋、北に支笏湖と周辺の山々、西には原生林越しにホロホロ山などを眺めながら稜線歩きを楽しめます。気象条件の良いときは羊蹄山、札幌周辺の山々、暑寒別岳、芦別・夕張岳、日高の山々、道南の駒ヶ岳まで眺めることが出来ます。また海岸から山頂まで12kmと非常に近く南風が山の気象に大きく影響します。

山には樽前山神社の奥宮が鎮座し、毎年6月上旬の山開きには樽前山神社神職により奥宮で安全祈願の神事が行われ多数の苫小牧市民が参加します。

plo001.jpg

奥宮で行われる山開き安全祈願の神事と参加した苫小牧市民の人たち

樽前山は今も活動し、中央部の山頂ドームからはガスを噴出し、外輪部から中への立ち入りは禁止されています。また、地震計ほか各種の無人観測機器で常時観測されています。

plo002.jpg

山頂ドームからガスを吹き上げています。
日によっては噴出ガスの激しい音が聞こえます。特に雨上がりの後は噴煙が大きくなるようです。水蒸気が多く含まれるからだと思います。

plo003.jpg

西山山頂に設置されている観測機です。いずれも太陽電池で動き常時観測態勢となっています。手前がGPS火山変動リモート観測システム(国土地理院)、奥が樽前山山頂監視局(室蘭開発建設部)です。この監視局は平成19年秋に装置上部にリモコンの監視カメラが増設されました。カメラは山頂ドームを常時監視しています。樽前山では、その他の機器が各所に配置され常時観測態勢となっています。

plo004.jpg

東山分岐点付近の火口原立ち入り禁止のの標識です。
外輪部から火口原への立ち入りはすべて禁止になっています。守って安全な登山に努めましょう。

山は、火山礫地に植生が広がっています。5月末から9月まで各種の花がみられ、10月は、素晴らしい紅葉が見られます。私は、この山が好きで四季を通じて歩いていますが、このホームページを訪れる皆さんに樽前山の素晴らしさを紹介したいと思います。なお写真には撮影日付を入れています。時期的な参考にして下さい。

四季の変化に富んだ山

樽前山は、春夏秋冬四季の変化に富んだ山です。五月の連休ともなると札幌周辺でも北国の遅い桜の季節となりますが、樽前山はいまだ大部分が雪に覆われています。

5月中旬、雪解けを待つかのようにコメバツガザクラが小さな花を一斉に開きます。樽前の花の季節の到来です。また下旬、7合目まで車で入れるようになると急激に登山者が増えてきます。登山シーズンの到来です。

6月は、梅雨のない北海道とはいえ太平洋から濃霧の入る日が多くなります。霧雨で衣服が濡れることもありますが、稜線は晴れわたり、足下に雲海が彼方まで続き支笏湖周辺の山の頂がまるで島のように浮んで見えることもあります。

plo005.jpg

東山山頂から眺めています。見えているのは水平線ではありません。太平洋から流れ込む海霧と空の境です。この濃霧も樽前の植物にとっては葉や茎に水滴をため水資源になります。

6月の花は、エゾイソツツジです。球状に密集した白い花が白いじゅうたんとなります。7月、夏休みともなれば家族連れ登山の最盛期です。駐車場は満車となり林道まで駐車帯になります。このころはタルマエソウの代名詞を持つイワブクロが全山を彩ります。

9月の花はエゾオヤマリンドウです。7合目駐車場周辺の近場の登山道沿いで見ることが出来ます。また空気は澄み、吹く風も冷涼感を増してきます。9月末から10月上旬には、紅葉が始まり草木は色づきナナカマドの紅、ダケカンバやシラカバの黄など支笏湖周辺の彩りと重なります。紅葉の最盛期は10月10日前後ですが、最近は遅くなる傾向です。11月下旬、道々のゲートが閉鎖されると雪のシーズンです。雪に覆われ、尋ねる人も冬の登山者、歩くスキーを楽しむ人などに限られてきます。春4月道々の除雪が始まるまで厳しい雪に埋もれた世界です。

山へのアプローチ

樽前山登山をする人、7合目の見晴台(駐車場から数分ほど登る)で景色を眺める人、いろいろの楽しみ方はありますが、7合目までは車を使うのが一般的です。車の駐車には、誘導が行われるのでそれに従いましょう。平成18年5月で道々の部分はすべてアスファルトで舗装されました。5合目から7合目までの林道が砂利道です。いづれも幅員が狭いので慎重にゆっくり走りましょう。車は、土・日・休日など駐車場の混み具合により5合目で林道への進入が統制されることがあります。

plo006.jpg

7合目ヒュッテです。管理人は太田さんです。ヒュッテには、登山者用の水はありません。必ず自分で準備しましょう。宿泊でヒュッテを利用したい場合は苫小牧市役所産業観光課に確認してください。また太田さんに調整することも可能です。

plo007.jpg

駐車場です。奥にトイレがあります。写真は7月上旬の平日の午後ですが7,8,9月の日曜・休日及び夏休み期間は駐車場が混雑し、路上駐車を強いられます。誘導員の統制に従いましょう。大型バスやマイクロバスはスペースをとるので避けてもらいたいとのことです。

11月下旬から4月下旬まで道々141号(樽前錦岡線)が国道276から分岐する地点のゲートで冬期間閉鎖されます。登山者は国道の駐車帯に車を置いて7合目まで約7kmを2時間近くかけて歩くことになります。千歳市内、苫小牧市内から道々のゲートまで車で30分ぐらいです。観光シーズンには道路の渋滞も予想されます。事前に情報を入手することを薦めます。

File0001.bmp

樽前山及び周辺地区の地図です。参考にしてください。道々のゲートはモーラップの国道との分岐点です。苫小牧錦岡の方にもゲートがあります。

樽前山登山ルートと所要時間

File0002.jpg

樽前山登山の一般的な経路と所要時間です。夏の登山を基準に記しています。時間は、休憩を含みませんが、人によってかなりの違いが生じます。参考程度にしてください。冬については、コースと使用する装備によって変わります。お問い合わせ下さい。また登山道名を定義しています。各ページの写真の説明に利用していますので参考にして下さい。
東山登山道:駐車場から東山へ続く登山道です。下半分は階段状になっています。上半分は火山砂礫の路面で滑りやすいところがあります。
北側登山道:7合目ヒュッテの前から風不死岳分岐の間の登山道です。森林限界からほぼ平坦で植物見ながらの散策に適しています。また風不死岳登山にも使用します。
ドーム西側登山道:西山から932峰と東山のコルの分岐(・932分岐と定義)の間の登山道です。溶岩のごろごろした火口原の登山道ですが、平坦で歩きやすくしっかりしています。天気の良い時は支笏湖越しに羊蹄山を眺めることができます。
ドーム南側登山道:奥宮と西山の間の登山道です。短いルートですが外輪の稜線が切れ、マルバシモツケ、コケモモ、タルマエソウ、イソツツジ、イワギキョウなど季節の花を見ることができます。
外輪北道:東山と・932分岐を結ぶ外輪尾根上の登山道です。火山砂礫の路面で滑りやすいところがあります。支笏湖や樽前山北側の雄大な景色を眺めながら歩くことができます。
外輪東道:東山分岐と奥宮の間の登山道です。なだらかな砂礫の外輪稜線上を歩きます。タルマエソウを多く見ることのできるところです。天気の好い時は苫小牧から虎杖浜までの太平洋や山麓の雄大な景色を眺めることができます。

plo009.jpg

東山登山道です。森林限界付近から撮影しています。階段状の登山道が上方の尾根付近まで続き、その後火山礫の道が尾根を右へ巻くように緩い登りとなり東山分岐に至ります。

plo010.jpg

北側登山道を風不死岳分岐付近から撮影しました。駐車場から森林限界へ出るところは写真上部の林の右端に近いところです。全般に小さな起伏で歩きやすい登山道です。

plo011.jpg

西山山頂からドーム西側登山道を撮影しています。登山道の先の稜線は東山に連なる稜線です。登山道は稜線の陰に分岐があり右へ登れば東山、左は・932分岐へ下ります。この登山道は色々な高山植物を見ることが出来ます。

plo012.jpg

ドーム南側登山道です。奥宮の西側から西山へ続きます。大きな雨裂が有りますが支障はありません。意外にも花の種類の多いところです。

plo013.jpg

外輪北道です。・932分岐から10分ほど東山方向へ登ったところから東山方向を撮影しています。登山道は左側稜線上を東山へ続き、北方(左側)向に雄大な景色が望めます。途中砂礫で足下の悪いところがあるので注意が必要です。

plo014.jpg

外輪東道です。奥宮から撮影しています。奥宮から東山分岐の南側のピークまで右と左に2経路があり、右は太平洋が望め、左は強い西風を避けることができます。

樽前山を守る人

plo008.jpg

4月1日から7合目ヒュッテの新管理人として勤務されている太田敏彦さんです。環境省自然公園指導員も兼ねられています。苫小牧山岳会に所属されており大変気さくな方です。ご紹介します。

樽前山の今

遅い春、芽生えの春

躍動の夏

色づく秋

厳しい冬

遠景の樽前山