事務所代表 高橋博
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遺言書判例全文6-遺言書の真否と和解(東京高裁平成18年12月13日)

判例
(最高裁判所 裁判例情報より)

事件番号:平成18(ネ)4976
事件名:和解無効確認請求事件
裁判年月日:平成18年12月13日
裁判所名・部:東京高等裁判所  第17民事部
結果:棄却

主文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決中,第2項を取り消す。
2 本件を東京地方裁判所に差し戻す。
3 訴訟費用は,第1審原告Eに係るものを除き,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。

第2 事案の概要
本件は,控訴人らが,被控訴人らに対し,控訴人Aの父F作成の遺言書(本件遺言書)が偽造であることを知らないで和解をしたと主張して,東京地方裁判所平成12年(ワ)第24946号事件について平成14年3月29日に成立した裁判上の和解(本件和解)が無効であることの確認を求めたものである。被控訴人らは,本件和解が成立した経緯からすると,本件提訴は紛争の蒸し返しであるし,また,本件遺言書は真正であると主張している(なお,一審原告Eも,被控訴人らに対し本件和解の無効確認を求めたが,本件和解の当事者ないし利害関係人のいずれでもないことから,原審は一審原告Eの訴えは却下しており,同人は控訴していない。)。
争いのない事実,当事者の主張及び争点については,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」2から4までの記載のうち控訴人らと被控訴人らに関する部 分のとおりであるから,これを引用する。

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも棄却すべきものと判断する。
2 本件和解が無効であるか否かについて
控訴人らは,本件和解の際,本件遺言書が真正なものであると思い込み,偽造であることを知らないで錯誤し本件和解をしてしまったから,本件和解が無効である 旨を主張する。
しかしながら,そもそも,紛争当事者間に権利の帰属又は事実の存否,評価などにつき争いがあり,互いに譲歩して和解をしたときは,当該争いのあった権利の帰 属又は事実の存否,評価などに関する錯誤を理由に和解の無効を主張することはできないと解すべきである。けだし,紛争当事者が和解をする場合は,権利の帰属又は事実の存否,評価などに関して認識の対立があり,いずれかの当事者の認識に事実との不一致,すなわち錯誤があり得るものであって,そのような状況となっていることを前提に,双方がそれぞれその段階での認識に基づく主張や要求を互いに譲歩して当事者間に存在する争いをやめるために和解するのであるから,和解における錯誤の主張につき前記の制約を課して錯誤を理由に紛争を蒸し返すことを避けることが和解の趣旨にも合致するし,認識等に対立があることを前提に争いをやめるために和解をした当事者にとっても必ずしも酷とはならないからである。
これを本件についてみるに,前記争いのない事実,証拠(甲1,3,乙15の1)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1) 被控訴人らは,控訴人Aを相手に株式引渡請求訴訟を東京地方裁判所に提起したが(同裁判所平成12年(ワ)第24946号事件),他方,控訴人Aは,被控訴人らを相手に,同裁判所に本件遺言書が真正に成立したものでないことを確認するため,証書真否確認請求訴訟を提起していた(同裁判所平成13年(ワ)第15260号事件)。本件遺言書は,Fが保有するG株式会社の株は半分ずつ被控訴人らに相続させることなどをその内容とするものであるが,同控訴人は,その訴状において,本件遺言書には真筆とする鑑定書があるが,偽筆とする鑑定書に基づき,真正に成立したものでないことの確認を求めると主張していた。
(2) 上記東京地方裁判所平成12年(ワ)第24946号事件において,平成14年3月29日,控訴人Bが利害関係人として加わった上で,控訴人らと被控訴人 らとの間で本件和解が成立したが,その概要は次のとおりである。
ア 株式会社H(旧G株式会社)の発行済株式数2万株のうち,被控訴人Dが5851株,同Cが5850株,控訴人Aが4194株,同Bが2643株の各持株 数であることを確認する。
イ F名義の株券百株券58枚につき,49枚の株券は被控訴人らが2分の1ずつ,9枚の株券は控訴人らが各2分の1ずつ所持することを同意する。
ウ 控訴人Aが被控訴人らに対し提訴した本件遺言書に係る証書真否確認請求事件を取り下げ,被控訴人らが取下げに同意する。
以上の認定事実によれば,本件和解は,本件遺言書の真否や前記会社の株式の帰属等の対立していた主張や要求につき,控訴人らと被控訴人らが互いに譲歩して争いをやめるために和解したものであることが認められるから,本件和解については,本件遺言書の効力,本件遺言書等に基づく株式等の権利の帰属についての錯誤を理由に本件和解の錯誤による無効を主張することはできないというべきである。
3 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,控訴人らの本件請求は理由がない。

第4 結論
よって,原判決は,結論において相当であり,本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

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