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◆◆◆メールマガジン国際結婚◆◆◆

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◆第50章 離婚後300日問題のその後◆

みなさん、こんにちは。行政書士の高坂大樹です。当メルマガも今回で50回目を迎えました。当メルマガをご愛読頂いている皆様、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。さて、今回は、当メルマガでも何度か取り上げてきた離婚後300日問題に関して新たな展開がありましたので、それについてお話しします。

離婚後300日問題は昨年前半に大きな問題として報道されましたし、当メルマガの第32章・第33章で取り上げていますので、記憶されている方も多いと思いますが、改めて簡単に説明しますと、民法772条に離婚後300日以内に生まれた子供は前の夫の子供と推定するという規定があり、実際には前の夫との間の子供ではなく別に実父がいたとしても、出生届を前の夫の子供として提出しなければならないという法律の形式性から生じる問題です。この離婚後300日問題は日本人同士の結婚でも問題となるものですが、国際結婚で離婚後300日問題に遭遇した場合には日本人同士の場合よりも難しい事態に陥ることがあります。具体的には、子供の国籍や本人の在留資格などの問題が発生するので、留意しておくべき問題です。

離婚後300日問題のなかでも最も問題となったのは、前の夫の子供として届け出るのを拒否したために無戸籍・無住民票になってしまった子供のケースです。と言うのは、住民が居住する自治体から住民サービスを受けるためには住民登録(住民票の作成)が前提になりますが、住民登録は戸籍があることが前提なので、無戸籍の子供は住民サービスが受けられない、受け難いということがあるからです。自治体によっては、人道的見地からたとえ無戸籍であっても裁量により住民登録するなどの措置が行なわれているところもありましたが、自治体によって登録・非登録の判断が分かれるため、住民登録に関する統一的判断基準の作成が求められていました。

この問題がクローズアップされてから1年余りの検討の後、本年6月26日に、総務省は無戸籍の子供について住民票への記載を認める際の判断基準を作成し、7月にも全国の市町村に通知する方針を決めました。翌27日の閣議後の記者会見で増田寛也総務大臣は、日本国籍を有するが300日規定により戸籍に記載されていない子供について、親子関係不存在確認や強制認知などの手続を進めている場合は、市区町村長の判断で住民票を作成できるようにする方針であることを明らかにしました。朝日新聞の報道によると【総務省市町村課の担当者は「民法の規定が壁になって戸籍がない人にどう対応するかで、自治体の担当者が苦悩していると聞いている。住民登録を認めるかどうかを判断する際の『よりどころ』を示したい」と話している】とのことです。そして総務省は、7月7日、都道府県を通じて全国の市区町村に対し、

(1)出生証明などにより日本国籍を有する
(2)民法の規定で出生届が出せない
(3)調停手続きなどを進め、将来的に戸籍へ記載される可能性が高い

以上の3条件のすべてを満たす場合は、住民票への記載を認めるように通知しました。

これらのことを受けて無戸籍の子供たちやその家族・支援団体も行動を起こし、7月1日から10日の間に無戸籍となっていた25人が実父に対して認知を求める調停を各地の家庭裁判所に申し立てたところ、11日にこのうちの大阪府内の24歳の女性が総務省の通知を受けた最初のケースとして住民登録され、住民票の写しを受け取りました。続いて18日には、三重県の男の子も住民登録されたと報道されています。

無戸籍であるという状態に変わりはありませんが、住民登録が認められたことによって、離婚後300日問題は子供の人権・福祉という観点からは大きく前進したと言えるでしょう。

※参照「第32章 離婚後の出生の取り扱いについて
   「第33章 離婚後300日問題

平成20(2008)年8月1日

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