トップ ルーブル美術館など   ヴァチカン美術館など      新設 '10.3月  改定 '22.1.18
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オルガン・コンサート  ヴェルディ劇場   
レストラン“GUSTO LEO”
 
   留守対策など
 ヴァチカン美術館   
   ヴァチカン美術館はシスティーナ礼拝堂などの宗教施設を含んだ巨大な複合美術館で、観光案内書によると「それらの施設を結ぶ通路は全長11kmにも達し、全て丹念に見て回ると1週間はかかる」と書いて有ります。
 今回('10年2月)の旅行は前頁のパリ旅行と同様、「個人旅行」を銘打ったパック旅行だったので、最初の日の空港に着いた時のホテルまでの案内と、ホテルに着いてからの説明(「オリエンテーション」)だけにガイドさんと接する機会が有りました《オプショナル・ツァーを組めば別ですが》。
 そのガイドさんに「全部観ると何日かかるんですか」と聞いたところ、やはり「丁寧に観ると5日」と答えていました。
 私は「そんなに大きいのならば観落しが有ってはいけない」と思い、当然館内の案内図(「Total map」?)が載っているだろうと思って、立派で一番色の綺麗な図録を買いました。ところが、案内図は載っていず、書籍売り場の人も「本の中には載っているけれども、それ単独ではない」と言ったので、“通れる通路は全部通る”という観かたにしました。
 その観かたで全館を観たところ、僅かな観落としは有ったかもしれないけれど、1日で観終りました。

 買った図録に載っている絵画館「ピナコテーク」が見当たらなかったので、館の職員に聞いてみたら、「あの建物だ」と教えてくれました。図録の絵画を見てチェックしなければ観落とすところでした。
 それよりも更に観落しがちなのがサン・ピエトロ寺院です。美術館の展示ルートの中に「ピエタ」(ミケランジェロ)が展示されて有りましたが、「これはコピー臭い」と感じたので、どうしてもサン・ピエトロ寺院に入りたいと思いました。
    ところが私がそこへの行き方を職員に聞いても、職員は「インナー・チャーチ」?とか言って何故かしきりにシスティーナ礼拝堂を案内するのです。私は「それはもう観た。私はあのでっかい教会を観たいのだ」と、「サン・ピエトロ寺院」のクーポラ(円蓋)を指差しながらお願いして、やっとそこへの行き方を教えて貰いました。
 それは、私が「職員専用の通路に違いない」と思って通るのを止めていたドアを開けて、方角だけを頼りに行かざるを得ない様な通路(地下と階段)でした。
 やっと寺院の入り口まで辿り着いて、職員に「入りたい」と言ったところ、「チケット売り場はあっちの1km先に在る」と言いながらヴァチカン美術館入り口の方を指したので、もう必要は無いだろうと思っていたヴァチカン美術館のチケットを捜し出して見せたところ、入場が許されました↗*1
 私が買ったものよりもずっと軽そうな図録の案内図を見ている人がいたので、それ(Total map ?)が載っている事を確認して図録を買えば、もう少しスムーズに館内を観て回る事が出来たかもしれません。
   *1 ヴァチカン美術館の公式サイト: http://mv.vatican.va/ → (Language)English → VISIT THE MUSEUMS → SERVICE FOR VISITORS → Maps → Tour … をクリックして出てくる案内図にも、また、 Practical video gide にも、現在《 '19年11月》サン・ピエトロ寺院や現代宗教美術コレクションは載っていません。昔、そのサイトのページの左端に「⇒ Saint Peter」として紹介はされていたリンクさえも、現在は無くなっています。また、ヴァチカン美術館のチケットには「サン・ピエトロ」の文字は有りませんが、少なくとも昔はチケットが両者に有効でした。
 それから、チケットを買うのに1時間ほど並びましたが、ネット(上記公式サイト)で予約すれば並ばなくてもいい様です(http://media.yucasee.jp/posts/index/6186)。

 
 
ピエタとラオコーン
(両者とも私の撮影)
   ピエタ【右上の写真】は分厚い防弾ガラス越しの、離れた位置からしか観る事は出来ませんでしたが、それでも荘厳な雰囲気がひしひしと迫って来ました。
 展示がこんな状態になる前、このピエタが暴漢によって破壊されたとき、それを聞きつけた市民がピエタの足元を花束で埋め尽くしたそうです。この像に対する市民のそういう親しみも感じました。
 カトリックの総本山のローマ法王が、神よりも人間を讃えるとさえ思うルネッサンス芸術や古代彫刻を蒐集して、自分たちの地に落ちた権威を回復しようとしたのは、こうした市民の、美しくて力強いものに対する親しみや畏敬の感情が大きかったからだと感じました。
 「ラオコーン」【右の写真】は、“ギリシャ兵の潜んだ巨大な木馬をトロイの城内に運び入れるのに反対した神官に対する制裁”という、いわばギリシャ軍側の神話ですが、それは聖歌と教会の鐘が鳴り響く中をヴァチカンに運ばれたそうです。
    【左の写真】は、ミケランジェロが毎日の様に観に来ては感嘆して撫で回したとされる「ベルヴェデールのトルソ」《私が買った図録「ヴァチカン美術館」より》。
 現代宗教美術の展示室も、職員に聞かないと見つかりませんでした《スィスティーナ礼拝堂の下に在ります》。【下の写真】はその中の1点。
 
 【下の写真】はラファエロの「聖母の戴冠」《部分:地上の聖人。【その左】が全体図》。
 【その下()】は「トーディのマルス」と通称されているブロンズ像。
 
 
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  システィーナ礼拝堂     
    システィーナ礼拝堂はミケランジェロの「最後の審判」と天井画が有名ですが、天井画の下のボッティチェリ等が画いた、側壁画も力作です。
 堂内は少し暗かったので気が付きませんでしたが、買ってきた図録を見ると実に色鮮やかで精細を極めたものです→*
 この図録の筆者:ポメッラは「これらの人物は長い時間を経てガラス化したようだ」と書いています。【下右の写真】はギルランダイオと協力者による「最初の使徒たちのお召し」(部分)です。私は「フレスコ画というのは、漆喰が乾かないうちに急いで描いたものだから、荒いタッチで色が薄いものだ」と思っていました。しかし、二人の個性や肌の微妙な年齢差まで出しています。【その下は全体図】。【左()の写真】はバルトローメオ・デッラ・ガッタ等による「モーゼの遺言と死」、【その下()】は部分。
  * 今にして思えば、双眼鏡でじっくり観賞すれば良かったと思います。
 そういうときの為に、低倍率・広視野の双眼鏡がお勧め。
 
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  ローマ国立博物館(マッシモ宮)     
   観光案内書には「ギリシャ・ローマの古代美術の殿堂」と紹介されています。
 【下の写真】は古代の大理石彫刻。図録を売っていなかったので年代などは分かりません。写真は撮ったものの、つい見惚れて作品名などが書かれた札を撮影してくるのを忘れてしまいました。
 この博物館の顔になる様な作品なのに、リーフレットにも、HP: http://www.roma2000.it/munaro.html#Palazzo%20Massimo にも写真が載っていません。ことに因ったら何処かの博物館から借りた特別展示だったのかもしれません。
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    しかし、見ごたえ有る博物館です。ラピスラズリの様な宝石や、金色の鉱石らしきものを象嵌して出来た縦数十cmのパネル【下の2枚の写真】や、表面がツルツルした綺麗な壁画も有りました。
 床にはモザイク画が有った様な気がするし、天井にも飾りがして有りました。我々は見ようと思えば高品位テレビを見ることが出来てはいるけれど、下の方のパネル(部分)の図柄からしても、古代の人の方が幸せだったのではないかと思いました。
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     この博物館は他にも4つの分館が有り、その一つ、ディオクレティアヌス帝の浴場跡にも行ってみましたが、考古学を勉強している人以外は退屈するのではないかと思います。   
*2 ボルゲーゼ美術館は地下鉄の駅から公園内をかなり(15分以上)歩かなければなりません。二度手間を省く為、矢張り予約がお勧め。私の様に、外国人との電話に自信の無い方はネット予約が良いと思います。  
ボルゲーゼ美術館と暖炉
   この美術館は、ガイドさんに「予約しないと入れない」と言われていました。
 現に、予約無しで行って入館を断られた人もいましたが、私は係りの人に臆面も無くこっちから「No reservation ! (予約していません)」と言ったら、「午後3時から5時までの時間帯ならどうか?」と聞かれたので、「OK」して時間入りのチケット【右の写真(裏面、半券)】を買う事が出来ました《日曜日なのに幸運でした》。
 時計を見たら午前11時だったのでその間、コロッセオ(闘技場)【下の2枚の写真は内部と外観】などを観光しました。←*2
 
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    その日の5時から始まるオペラ座でのバレーの券を手に入れていたので、ボルゲーゼ美術館は少し急いで1時間15分で見終わりました。
 この美術館はそれ程大きくはありません。それなのに、「像が完成して公開された当時ローマ市民が評判を聞いて駆けつけた」と言われる程の大作:ベルニーニ作の「アポロとダフネ」【】や、同「プルトンとプロセルピナ」【全体像】【部分図】がズラリと並んでいたので、私は失礼とは思いながらも「これらはオリジナルですか?」と聞いてしまいました。
 そしたら学芸員らしき女性が出て来たのでもう一度聞いたら「イエス」と言ったので、私が「ホーッ」と感心したら「当然でしょう」と言う様に笑っていました。
 これらの写真は図録「ガイド ギャラリー・ボルゲーゼ」《英語版(日本語版なし)》によります。ただし、【】の部分図は背景だけを丹念に分離して“ぼかす”等の画像処理をしています。上述の「ピエタ」やローマ国立博物館の大理石像なども、ガラス・ケースの中に入っている現物を実際に見ているときには気にならなくても、写真という単一平面にすると煩い感じになるので、同様の処理をしています*3
   

*3 人間は二つの目で見て脳で画像処理をしているので、現物の像を鑑賞している時には、ガラスに写った像や後ろの大理石の模様などは認識の中から排除されています。
 従って、背景などを大幅にぼかしてしまった方が、実際に美術館に行った時の脳の中に認識される像に近い筈です。

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  また、私が「この美術館はこのフロアだけなのか」と聞いたら、閉まっていて何の表示も無いドアを指差して「上のフロアが有る」と教えてくれました。イタリア人は美術館の中を知り尽くしている(?)から、案内表示は必要無いのかもしれないなどと思いました↘*4
 ボルゲーゼ美術館に、驚いた事に火を燃やせる筈もない様な、綺麗なタイル張りの暖炉が堂々と展示されていました。しかも、上記図録(Guide・・・Borghese)にも載っています【左の写真】。その写真の前後の本文にはその説明が無く、写真の下に作者名などが載っているので、多分暖炉の美しさを観せる為だと思われます
 嘗て静岡県・三保のアンティークストーブ館に立ち寄って、その館長さんらしき人と話した事が有ります。そのときは開館して直ぐの頃だったと思います《現在それは同県、十里木に移転》その当時のストーブ館では、「貴婦人」や「青銅の騎士」になぞらえた素敵なストーブが沢山展示されていましたが、火を焚けそうな状態の物は一つも有りませんでした。
 しかし、炎を見せる暖炉に関しては、たとえレンガが煤けていたとしても、実際に火を燃やしてこそ美しいものだと思います
 【右の写真】は数年前に撮った我が家の暖炉↘*5

 オペラ座のバレーは前から14番目の中央で、50ユーロ(カード請求6,250円)《券を買ったのは前日だったので、余り前の席ではなかった》。
 他の晩にも、ホテルのフロントで教えて貰った教会でのオペラ・コンサートを楽しみました。主にアリアで、演奏者達はヴェネツィアン・スタイルに身を包んだ「イ・ムジチ・ヴェネツィアーニ」でした《前の方の席で 30ユーロ》。
 それは地図にも載っていない様な、それ程大きくない教会(聖パウロ ENTRO LE MURA 教会)で、各楽器1本ずつという極く小編成のアンサンブルでしたが、高いハーフ・ドーム【左の写真の上部】などに跳ね返って日本では聞けない綺麗で長い響きをしていました。
 例えば、ハープの音などはハープ独特の「ポローンポローン」という柔らかい音ではなく、石の壁の反響で倍音が豊かな「コーンコーン」という音に聞こえました。
 当然ながら教会にはトイレが無いと思ったので、急いで帰ってホテルの1階(イタリアでは0階と言います)のトイレに駆け込みました。フロントの女性に「一般的に教会にはトイレが無いのか?」と確認したところ、「無い」と答え「コンサートはどうでしたか?」と聞かれました。
 「非常に良かった。しかし・・・」と答えると、彼女は「トイレが無かった・・・」と言ったので、「いや、それは知っていた。しかし、この《地図の目印になる》オペラ座の位置が間違っている」と言ってコンサートのリーフレットを見せたら、彼女は「You are right」(貴方は正しい)と言っていました。
 私は前日、券を購入する為、オペラ座の正しい位置を方向感を失いながらも人に聞いて確認していたのですが、さもなければ道に迷ってしまうところでした。
 その位、地図は複数の地図で確かめ、場合によっては昼間事前確認をしないと、人通りの少ない夜には道に迷ってしまいます《フィレンツェのヴェルディ劇場もそうですが、オペラ座の建物は良く見ないと「オペラ座」と分からない位、地味です。イタリア人の生活の中に溶け混んでしまっているのでしょうか?》
   
   *4 展示室がもっと他に有って良い筈だ」と思って職員に聞き、見落とさずに済んだ美術館は、上述の他に、下記のパラティーナ美術館や バベりーニ美術館など沢山有ります。
 フィレンツェのピッティー宮に至っては、メインの展示フロア「パラティーナ美術館」への階段に照明も案内の矢印も無かった《気が付かなかった?》ので物置への階段だと思い、入り口のフロア《「銀器博物館」など有り》を探しまくりました。
 イタリアの美術館は、「もう全部観た」と思っても、一応、職員に確認した方が良い様です。


*5 この暖炉は、吹き抜け天井の最上部に溜まった暖かい空気をファンとダクトで下に下ろして狭い隙間から勢いよく噴出させ、暖炉の下【の写真】から床面に溜まっている冷たい空気をベルヌーイの定理で吸い上げて混ぜています。その天井と床の空気が混ざった空気を再び二重構造の暖炉本体と左側の別のダクトに入れた煙突で暖める方法を採っています。
 一般的には暖炉は見た目のムードは良いのですが、肝心の足元の空気は暖まりにくく、寒く感じます。
 また、上記煙突を入れたダクトの中で、一時期、煙突の繋ぎ目がずれて炎と煙が漏れていた事が有りましたが、ステンレス板のダクトとアルミ箔のお陰で事なきを得ました。
 生活用具は、こういう快適性や二重三重の安全機能(フェイル・セーフ)を追及して初めて、下の写真の様にフル火力で燃やしても安心できる美しさを感じることが出来ます
 
   
その他の美術館とローマ観光
 
 
     バベりーニ宮(国立絵画館)に、ラファエロが自身の恋人を画いたとされる「ラ・フォルナリーナ」を期待して行ったのですが、何故か観ることが出来ませんでした。
 カピトリーノ美術館を観てそこを出た後、入場券が共通のコンセルヴァトーリ美術館を探し回ったのですが、近所の人に聴いて、更に探した結果、なんと、カピトリーノ美術館出入り口の直ぐ左隣のブック・ストアを通り抜けた所がコンセルヴァトーリ美術館の入り口だったのです。しかし、両館とも特に印象に残る作品は有りませんでした。*6
 更に、普通ならその2つの美術館を観た後、フォロロマーノを左に見ながらすぐ近くに見えるコロッセオに行くのが自然ですが、それはフェンスや私有地などに阻まれて出来ません。チルコ・マッシモ(戦車競技場跡)近くの駅まで延々と歩かざるを得ないので要ご注意《後日コロッセオに行ったのは地下鉄》。
 途中何処を歩いているのか分からなくなりましたが、地図は日本語のものと現地語のものと2枚持っている様にし、現在地を人に聞くのには現地語の地図で聞いた方が礼儀に適うと思います。
 今回は、旅行代金を安く上げようとして、直行便ではなく、乗り継ぎ便で行きました。乗り継ぎのとき大雪の為ローマまで行く便が6時間位遅れたのですが、その間航空機会社の職員の指示に従って長い列に待ち続ければ、変更になったゲートからの便に乗り遅れるところでした。*7
 もっと電光掲示板を見る様にしなければいけないと思いました。
 便の遅れ等によってホテルでの第一夜は一睡も出来なかった位なので、ローマは実質3日間となってしまいましたが、観たい美術館は大体観終わったし、トレビの泉【左の写真】やパンテオンにも立ち寄ることが出来ました。
 ヴァチカン美術館に地下鉄で行く時、乗る路線を間違えてしまいました。そのときにも、乗客に聞くのになかなか単語が出て来なくて、朝の通勤の忙しい時に時間を取らせてしまいました。
 その土地についての勉強不足で、英語にも不勉強だった事を深く反省しています。*8


*8 地下鉄の「ローマ」に相当する駅はテルミニ駅ですが、テルミニ駅からヴァチカン(地下鉄A線のオッタヴィアーノ・サン・ピエトロ駅)に行く路線のプラットホームへの案内表示には「バッティスティーニ方面」と書いてあり、また同じ路線の反対方向の案内表示は「アナニーナ方面」と書いてあります。
 それを知らないで、その路線と直交する「地下鉄B線」に乗ってしまうとややこしい事になります《「乗り換え」の英語は transfer または change 》。
 B線に関しては、私が新たに買った観光案内書「個人旅行 イタリア」によると、テルミニ駅からB線コロッセオ方向は「ラウレンティーナ方面」、反対方向は「レビッビア方面」《いずれも終点駅名、これらは必須情報》です。「方面」は「ディレクツィオーネ」。
 
*6 カピトリーノ美術館は、レオナルド・ダヴィンチの資料の特別展だったので、いつもと展示内容が大きく異なっていました。

*7 乗り換え空港の列に並んでいる間、場内アナウンスを必死に聞き取ろうとしたのですが、悲しいかな私には出来ませんでした。しかしその程度の英語力でも度胸さえ有れば個人旅行は可能です。
 
 
  ウフィーツィ美術館(フィレンツェ)     

 ボッティチェリの「受胎告知」【の写真】を見たとき、「神の子を私なんぞに・・・」という謙虚な気持ちがぐっと迫ってきました。
 この美術館にはチケットを買うのに1時間近く並んで、4時間半位で全部観ました。


 【の写真】はコレッジョの「幼子イエスを礼拝する聖母マリア」。


 【の写真】は、ロザリア・カッリエーラの「トルコ服を着たフェリチア・サルトーリの肖像」。


 回廊の突き当たりの目立つ所に「ラオコーン」【その下の写真】が有り、「ヴァチカン美術館のコピー(Copia)」と書いてありました。中央の人物の右手は上方に伸びているので、後にオリジナルの右手が発見されて付けられる前のコピー*9だと思います。
 《写真はいずれも図録「ウフィーツィ 代表的作品とその周辺」(日本語版)より。ただし、「ラオコーン」のスライドショー第一画面の背景は前述の画像処理をしています。》
   この美術館はボッティチェリで有名ですが、一番印象に残ったのはヴェロッキオの「キリストの洗礼」【下の写真】に、弟子のレオナルド・ダヴィンチが画き加えた、左端の天使です。
 頬っぺたの、押せば跳ね返されそうな弾力感で、つい触りたくなってしまいます。師のヴェロッキオがこれを見てそれ以降、絵を画かなくなった(彫刻に専念した)気持ちが良く分かりました。

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  その他の美術館とフィレンツェ観光 
 

 アカデミア美術館ではミケランジェロのダヴィデ像や奴隷シリーズを観る事が出来ました。奴隷シリーズでは硬い大理石の中から人間がむくむくと出て来る様に見えました。
 ピッティ宮のパラティーナ美術館では、「もう古い絵はいい」と思って流す様に見ていましたが、所々に「オッ!これは・・・」と思う作品の札を見てみると、ギルランダイオだったり、フリッポ・リッピだったりしました。こういう観かたも悪くないと思いました。
 ドゥオモのクーポラの構造に興味が有ったので、どうしても登ってみたくなりました。旅行業者のオプショナル・ツァーに「ドゥオモ入場」は入っていても「クーポラには入場しません」と書いて有る理由が、登ってみて始めて分かりました。息が切れてしまいます。
 クーポラ(円蓋)は如何にも、薄い蓋の様なイメージがありますが、入ってみると石の分厚い二重建造です。
 【左の写真】は最上部に近い階段。その下は空気の巨大な空間なのですから、地震の有る国なのに凄いと思いました。【右下の写真】はクーポラの上からドゥオモのファサード(正面)の方を見下ろしたもの。
 メディチ家礼拝堂は宗教施設なのでトイレは無いと思っていましたが、入って右奥の階段を上る途中に有りました。

*9 ラオコーンの中央の人物の、発掘時には無かった右手が上に伸びているのは、何人かの彫刻家の案のうち、ラファエロの進言で採用されたもの《ミケランジェロは、後に発見された右手の様に「曲がっていた」と推測していた様です》。
 
 
  オルガン・コンサート 

 

 Google で地図検索すると「サンタ・マリア・マッジョーレ教会」と表示されます。


















 '15年10月に静岡県の浜松で聞いたオルガンのホールは、残響が鳴っているうちに拍手が鳴ったりしたのでよく分かりませんが、残響時間は1秒強でした。
 また、外でバイクがエンジンをふかす音が聞こえてきたり、オルガンの音自体も少し小さかったりしたので、矢張りホールを石で作り、周りの音楽を聴く社会的な環境を改善しないと、コンサートは定着していかないのではないかとかと思います。
   フィレンツェのホテルに着いて、フロントでクラッシックのコンサートについて聞いたところ、日にちの合うコンサートが無かったので、インフォメーション・センターを紹介されました。
 そこへ行って「今夜から18日まで毎夜(4夜)クラッシック音楽を聴きたい」と言ったら、「毎夜オルガン・コンサートが有る」「無料だ」という教会と、「ヴェルディ劇場でのスィングル・スィンガーズのコンサート(オケ付き)」を紹介されたので、場所確認を兼ねてチケットを買いに行きました。
 オルガン・コンサートのサンタ・マリア・デイ・リッチ教会《コルソ通り:ジオットの鐘楼から真南に直線距離150mの位置》《↙をやっと見つけたら、予定の7時よりずっと前なのにもう音が鳴っていました。【の写真】が、ビルの間に挟まれている、その目立たない正面入り口。
 右の写真の下の【写真】はその教会内部の写真。【の写真】は、その中心に有る、古くて小さな祭壇画《いずれも教会のリーフレットから》。「受胎告知」のようです。
 こんな素晴らしい曲は、バッハに違いないと思っていた時、私の大好きな「パッサカリア ハ短調」が聞こえてきました。そのクライマックスでは、同時に教会の鐘が激しく「ガンガン」と鳴り響いている様に聞こえました。
 後の国内旅行のとき浜松のホールでオルガン・コンサートを聴きましたが、ホールの響きは「木の板壁からの反射音」という感じで、金属性の「鐘の音も混ざって聞こえてきた」という響きとは縁遠いものでした。しかも近くの駐車場からバイクのエンジン音も聞こえてきたのでガックリです。
 私の音楽を聞く部屋は吹き抜けにして残響時間《残響のエネルギーが1000分の1にまで減衰する時間》を秒くらいにし(会社での試作品で測定)、サラウンド用の3wayスピーカーは高い位置、3ヵ所に取り付けていますが、この教会は音が出る所(パイプ)は当然1ヵ所しか無いのに教会全体が鳴り響いている様に聞こえました。オルガンは教会の後ろ(出入り口の上)に有るのですが、どちらかと言うと前の祭壇から響いて来る様に聞こえます。テレビを見る為の、別の部屋の7.1チャンネルの「サラウンド・システム」も、所詮偽物に過ぎないという事を思い知らされました。
 バッハばかりではなく、モーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」など静かで綺麗な曲や更に現代の曲も聞けました。賛美歌が2曲ほど流れたと思ったら、ミサが30分位有ったので、それが終わってから軽食とトイレの為に近くのカフェに入りました。寒かったので温かいコーヒーを飲みましたが、それでも震えが止まりませんでした《翌晩からはズボン下を2枚穿いて臨みました》。
 食事が済んで再び教会に行ってみると演奏が始まっていました。ミサの前に聞いた曲とほぼ同じ曲でした。
 しかし、響きが素晴らしいので何度聞いても感動します。上記「同時に鐘が激しく鳴り響いている様に聞こえた」のも、同じ曲の同じところで確かにそう聞こえました。
 決して大きい教会ではない為、残響時間は凡そ2.5秒位だったので、フーガの各旋律もはっきりと聞き取れました。ミサに参加していた信者《数人》には失礼かもしれませんが、正にコンサート会場として最高です《コンサートの聴衆も多い時に数人で、それも荷物を持った観光客らしく、入れ替わっていました》。
 その残響が響き終わるか終わらないかのうちに、惜しげもなく次の曲が始まって延々と続きました。なんだか私の為に演奏が続いているのではないかとさえ思う位だったので、10時頃そこを出てワイン1本買い、それを空けてから音楽の余韻とバスタブに温まりながらゆっくり過ごしました。
 最後の晩は献金にしては多い紙幣を、名刺の裏に「4夜、美しい音楽を有難う御座いました」と書いたメモと一緒に献金籠に入れて来ました。

 【右の写真】の、実際の堂内はマリア像や祭壇にスポットが当たっているものの、全体に薄暗く、音楽に集中できます。
 
   
 
  ヴェルディ劇場     
*10 私がチケット価格をいちいち書いておくのは、日本に比べて遥かに安いからです。日本の国家予算に占める文化庁の予算(助成金に影響)の割合(0.1%)が、それらの国々に比べて桁違いに低く、その点では日本は後進国だと思います。
 何せ、音楽の余韻に浸りながらホテルまで歩いて帰れる様な所に在りながら、実に安いのですから、「そういう“先進国”に行ったからには最良の席で聴かなければ損だ」と思っています。
   上記 教会のオルガン・コンサートの第二夜は、後ろの方の女性が席で話す声が聞こえ、演奏者もそれを意識したのか、テンポが乱れるなど確かに感動的な演奏ではありませんでした。私は2度程その女性を暗がりではありましたが睨み付けてやりました。
 その晩はヴェルディ劇場でスィングル・スィンガーズのコンサートが9時からあったので途中で抜け出しました。【下の写真】はオケ無しのソプラノ・ソロの、サティーの「ジムノぺティ」の場面。「Best seat」(前から2番目)で、28.5ユーロ*10
 フィレンツェの街は、道が交差する角の建物の壁に大理石の板が取り付けられていて、「VIA ……」(……通り)と書いて有るので、ホテルなどに置いてある現地の地図を持っていると迷子になりません。
 しかし、ヴェルディ劇場を出る時、人の流れのままに普段は閉まっていて終演時にだけ開く専用の“出口”から出てしまったらしく、ほぼ90度方向の違う通りを歩き始めてしまいました。少しでも変だと思ったら直線道路を曲がらずに戻る事が必要です。
 ところが、戻った時にはヴェルディ劇場の“出口”は閉まっていて普通の建物の裏口の様にしか見えず、在る筈の劇場が消えて無くなってしまった様に思ったので、人に聞きました→*11
  *11 昔、田舎の或る、広く尊敬されている人が道に迷ったのをきっかけに“認知症”になってしまった人がいます。
 パリでも、ローマでも私は道に迷ってしまう事が有りましたが、そんなときには「この通りは、本当に地図上のこの通りなのか」と冷静に疑ってみる事が必要です。「思い込み」に拘っていると、「さっきまでは在ったオペラ座が消えて無くなってしまった」等と“パニック”になりかねません。
 おっと、個人旅行の楽しさをお伝えする筈だったのが、その恐ろしさをも書いてしまいました。
 ・・・でも大丈夫。2人で行けば、一人が列に並んでいて、もう一人が情報を集めて来るとか、一人で行かざるを得ない場合には当面直行便で行くとか、レンタルの携帯電話を借りて非常時の連絡先を確保しておくなど、安心出来る「手」はいくらでも有ります。英語も電子辞書とボディ・ランゲージで何とかなります。
 団体旅行で美術館を訪れると、ガイドが勉強してきた特定の絵の説明やエピソードを、延々と聞かされます。
   
     スィングル・スィンガーズも素敵なコンサートでした。インフォメーション・センターを利用したのは今回が初めてですが、これからはその街に着いたら真っ先にインフォメーション・センターに行きたいと思います。    お客さんの中にはストロボを使って、操作音を「ピッ」と鳴らしている人がいましたが、私はノー・ストロボ、完全無音設定でこのシーンだけを撮りました。
 ISO:800、35mmフィルム換算f:33mm、F値:2.9、露光:1/80秒、光源:「曇り」
  レストラン“GUSTO LEO”  
   ここには日本人が働いていたのでイタリア料理やワインを教えて貰って3回食事をしました《コルソ通りからプロコンソロ通りを80m南に下った場所》。HP
 何しろ「ラザニア」という物を始めて食べた位、イタリア料理には無知でした。ラザニアはホテルの向かいの小さなカフェのショー・ケースに有った現物を見て注文したら、電子レンジで暖めてくれました。
 非常に美味かったので、翌日ウフィーツィ美術館のレストランで注文しましたが、値段が何倍もしたのに、その小さなカフェの方が美味かったです《料理を運んで来る間に冷めてしまったのかもしれません》。
トップ ルーブル美術館など   ヴァチカン美術館など '10.3月新設
ピエタとラオコーン   スィスティーナ礼拝堂   ローマ国立博物館 
ボルゲーゼ美術館と暖炉   その他の美術館とローマ観光
ウフィーツィ美術館   その他の美術館とフィレンツェ観光  
オルガン・コンサート  ヴェルディ劇場   レストラン“GUSTO LEO”
   留守対策など