岡労務管理事務所       〒 619-1127  京都府木津川市南加茂台11-6-1                    

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 整備すべき労務管理

 
   近年、労使トラブルが増大している状況下にあります。 「平成20年度個別労働紛争解決制度施

  行状況」 が平成20年 5月22日に厚生労働省より発表されました。その中において次のように発表さ

  れています。

      総合労働相談件数                 約108万件

      民事上の個別労働紛争相談件数          約24万件

      助言・指導申出件数                 約7,600件

      あっせん申請受理件数                約8,500件


      特徴としては、労働基準法の違反を伴わない解雇、労働条件の引き下げ等の民事上の個別

   の個別労働紛争に関するものが23万 6,993件あり、 個別労働紛争に係る相談内容において

   は、解雇に関するものが最も多く、ついで労働条件の引き下げに関するもの、いじめ・嫌がらせに

   関するものへと続く。

    労務管理の留意点としては、今までにあつた判例を参考に労務管理することが重要で、無用

   なトラブルを未然に防止できるように就業規則等を整備することである。



      労働契約法に関する「参考となる主な裁判例」 

          厚生労働省ホームページ

          




                                       


     
   

   解雇・退職勧奨

      会社からの発言は解雇通告にあたるのか、退職勧奨にあたるのか........

         退職勧奨とは、あくまでも退職を勧めるものであり、これに応じるかどうかは

       労働者の自由となります。 「必要ない」 「辞めて欲しい」 「辞めてくれないか」

       等は、退職勧奨にあたります。裁判例では,被勧奨者の自由な意思決定を

       妨げる退職勧奨は違法な権利侵害に当たるとされた場合があります。 ( 最

       高裁第一小法廷S.55.7.10判決 )


      解雇は有効であるか、無効であるか......

        労働契約法では、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当である

       と認められない解雇は無効であると定められている。

        又、解雇するためには、解雇事由を就業規則等においてあらかじめ明らか

       にしておかなければなりません。


        一般に解雇には、普通解雇、整理解雇、懲戒解雇 ( 処分わ軽減したもの

       として諭旨解雇 ) があります。



         懲戒解雇の有効性の基準について

           @懲戒事由、懲戒内容の明示 
           Aすべての労働者を平等に扱うこと
           B同じ事由で二重に処分できない
           C違反行為の後で懲戒規定わ定めての処分でないこと
           D対象は懲戒事由に該当する行為を行った本人に限る
           E処分の種類・程度には客観的な妥当性必要
           F適正な手続き必要


         整理解雇の有効性の基準について

           @解雇の客観的な必要性
           A解雇回避の努力
           B人選の基準と適用の合理性
           C労使間の協議などの手続きの妥当性


  労働条件の不利益変更

          賃金や労働時間等の労働条件の不利益変更については、労使対等の立

        場において労使の合意により決定されることが原則となつています。

          労働者の同意を得ることなく一方的に労働条件を変更することは出来ませ

        ん。又、労働条件の不利益変更により裁判等問題となるケースには、労働協

        約や就業規則の変更による労働条件の不利益変更の場合が多く注意が必要。


  賃金不払

         名ばかり管理職として多店舗展開企業において余りにも有名になりました。こ

        こでは、管理監督者の範囲の適正化が問題となりましたが、管理職でない一般

        社員や非正規社員の労働時間管理についても注意が必要です。

          使用者は労働時間を適正に管理する責務を有し、賃金不払残業を起こすこ

        とのないよう適性に労働時間を管理しなければならないとされています。




  職場のいじめ・嫌がらせ

          東京都労働相談情報センターへの労働相談のなかでも、職場の嫌がらせに

        ついては、平成16年から平成18年において年間 4,000件を上回る件数が寄せ

        られている。平成19年については5,258件の相談となつている。

          大阪府総合労働事務所に寄せられる職場の嫌がらせについての相談も東京

        都と同様に、平成19年804件、平成20年711件と増加の傾向にある。


        職場のいじめ ・嫌がらせによる企業リスクとしては、使用者が職場内のいじめ

        を予防・発見できなかったことによる損害賠償責任(債務不履行責任、不法行為

        責任)が問われる可能性、人財の流失、従業員のモラール低下による生産性の

        低下、企業の社会的な信用 ・イメージの低下等があることを意識しておく必要が

        あります。

          又、職場のいじめ・嫌がらせ (パワーハラスメント) 対策としては、業務上の指

        揮命令関係と関連するもの、個人からだけでなく集団で行われることも多いと言

        う特徴がある。

         職場のセクシュアルハラスメントは、上記パワーハラスメントのような特徴がなく

                 ても、精神面にダメージを与える場合もあることから相違点はあるものの、規制や

        相談体制の整備等、防止・対策の共通化が図れるところもあり、同時に整備す

        るほうが ベター と思われます。



         職場における言動がいじめ。嫌がらせに当たるどうかの判断基準

           @業務に関係する場面で行われているか
           A言動に業務上の必要性があるか
           B言動について公序良俗に逸脱していないか
           




           男女雇用均等法
           セクシュアルハラスメント対策
           












  メンタルヘルス

         平成10年より年間3万人以上の人が自殺でなくなつています。自殺の原因は様

        々な原因が複雑に絡まっていると考えられていますが、勤務問題で自殺した人は、

        平成19年には、2,000件を超えています。

          精神疾患による労災申請件数では、平成16年524件、平成19年952件と年々増

        加の傾向にあります。このうち自殺に関する申請件数も平成16年121件、平成19年

        169件となっていて労務管理の観点からも重要なものとなっています。

         従業員の健康を守る、生産的で活気のある職場づくり、人財活用の面、事業場の

        リスクマネジメントからも対策は欠かせません。



          心の健康は、様々な原因により損なわれます。労働問題となるのは次の場合

        に多くみられます。



           @会社が従業員の自主的な退職を迫るあまり、それがいじめに繋がり精
             神的に追い詰められて発症したケース
           A職場の人員整理が進み、特定社員に多くの仕事や責任が積み重なって
            心身の不調をきたしたケース





            メンタルヘルス対策のヒント