ブルーベリー接木の方法・現状


ブルーベリーの接ぎ木が最近注目されています。
ハイブッシュ系品種を穂木として接木する接木苗についてまとめてみました。
シャシャンボを台木に接木をすることも可能なようですが
ここでは主にラビットアイ系品種を台木とする接木を主に扱います。


接ぎ木総論 
 接木栽培が行われ始めた理由
  接木の利点、欠点 
 接ぎ木栽培の寿命について  
 寒冷地仕様の接ぎ木について  
 接ぎ木の時期               
 接ぎ穂の採取               
 接木の方法(切り接ぎ)
 接木に用いる素材について
 接ぎ木の練習
 接木の実践
 接ぎ木の成長の目安   
 台木に最適な品種      
 接ぎ木の小技(こわざ)         
 台木の一枝を残すことについて
色々な接ぎ木の手法
 接ぎ木挿し             NEW! 
 接ぎ枝挿しと接ぎ木の取り木 
 呼び接ぎ          
 挿し呼び接ぎ               
 芽接ぎ                         
 割り接ぎ                      
 緑枝接ぎ                   
  根接ぎ         
その他
 穂木に対する台木の低温要求時間の
影響について
            
 多品種接ぎについて     
  矮性台木についての考察  
 シャシャンボを台木にする接ぎ木
 鉄砲虫(コウモリガなど)対策
 
 接ぎ木雑種                    
 
 購入先リンク集







接ぎ木総論 









接木栽培が行われ始めた理由

@)
ハイブッシュ系品種は果実が美味しく魅力的品種ですが
土壌適応性や耐暑性が悪いため栽培が難しく特に露地栽培はかなり困難でした。
そこで土壌適応性と耐暑性を兼ね備えたラビットアイ系品種を台木とすれば
これらの問題を克服できるであろうということで最近特に注目されています。







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接木の利点、欠点


@)利点
@ラビットアイ系品種が台木の接木苗であればpH5,8程度まで適応する
(土壌適応性がある)
A成長が早い
B耐暑性があがる
C露地栽培も容易になる
D果実が大きくなる場合がある
(接木ダローのMAXサイズが29mm8gという報告があります。
エンドウ農園さんのブログより)
E果実収穫量が増える
F1本の木で複数の品種を栽培することも出来る




A)欠点
@台木がサッカー・シュートを頻繁に発生させるので接ぎ木後の管理が大変
A枝の更新の際、接木より上のシュートでしか更新できない
Bコウモリガなど鉄砲虫に接合部より下で被害を受けると致命的



↑の利点、欠点は一応私の価値観で振り分けましたが
この中でも栽培する方の価値観によってはあべこべのものもあるかもしれません。


その他の特徴
木のサイズが大きくなる
根域が大きくなる(鉢栽培であれば根詰まりしやすい)
自根のハイブッシュ系よりは紅葉も遅れ※暖地では常緑化してしまう品種がある。
(綺麗な紅葉は見ることが出来ない場合がある)
果実の酸度が若干低くなる場合がある
接ぎ木雑種が得られる場合がある
果実の熟期が遅れる・若干皮が厚くなる・という報告もあります。




2008/02/25
常緑のプルの接ぎ木
葉は少ないですが緑のままです。
これでは綺麗な紅葉は期待できません。
常緑のプルの接ぎ木



2007春には神奈川県湘南地区でスパルタン、チャンドラーが
ほぼ常緑で、2008年の春は全て落葉したそうです。byしろくまさん
2007/11/11時点で宮城県多賀城市で自根スパルタンが真っ赤なのに対し
接ぎ木は青々している報告があります。byおばたさん
ブログ記事参照→「接ぎ木の方が紅葉は晩い?!」 









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接ぎ木栽培の寿命について



ラビットアイ系台木の接ぎ木については5〜6年生くらいまでの情報は割りとよく見かけていて、
とりあえずそれくらいまでは大丈夫だとは思っていましたが
その後10年以上とか経過した場合についてどうなるか若干心配していました。


ちゃちゃおじさんのブログの記事↓で
驚いた!

30年生の接ぎ木について紹介されていました。
この記事によると、どうやらちゃんと管理していればラビットアイ系並に長期に栽培可能なようです。



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寒冷地仕様の接ぎ木について



寒冷地で栽培が難しいとされているスパルタンとかコリンズ、アーリーブルーなどを育てる場合は
やはり根が強いノーザンハイブッシュ系台木などでの接ぎ木ということになりそうです。

では台木となる品種は何が良さそうかというと私が考えるにはブルージェイが良さそうに思います。


ブルージェイは極寒のミシガン州で開発されたくらいだから耐寒性に優れているだろうし、
土壌適応性にも優れ、成長も早いからかなり良い線いっているように思います。

北海道でのブルーベリーの栽培性については↓こちらをご覧いただくと分かるのですが
プルーン、ブルーベリーの品種特性とプルーンの摘果効果
(帯広畜産大学)

凍害が酷い物については接ぎ木しても無駄かもしれませんが
ブルータ、スパルタン、ノースブルーあたりは凍害というよりも
弱さに問題がありそうなのでこういったものにも
ノーザンハイブッシュ系台木の接ぎ木も効果がありそうに思います。


今回はブルージェイを提案しましたが、以前苗木を販売してらっしゃる那須高原ブルーベリー園さんでは
寒冷地用にパトリオット台木のハイブッシュ系の接ぎ木を販売されていたこともあるので
ノーザンハイブッシュ系台木の接ぎ木の最適な品種についても検討の余地はあると思われます。









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接ぎ木の時期




@)枝接ぎ

普通の枝接ぎは休眠している穂木を使うのがベストのようで、
一方台木の方は動き出しているものが好ましいようです。

台木から水分や栄養が穂木に送られて接合部が互いに連絡を取り合えるようになり
カルスの癒合が果たされる頃に接ぎ穂の芽が萌芽、伸長することが望まれるということのようです。

当地ではラビットアイ系の方が早く動き出してハイブッシュ系の動き出すのは
低温要求時間の関係もあってやや遅れるから
ラビットアイ系が動き出したタイミングで接ぎ木をするのが最善のように思います。
(穂木を冷蔵保存しておけばやや時期を遅らせることは可能だから
失敗した場合は冷蔵保存しておいた穂木を使って再試行も可能かもしれません)

因みに北海道など寒冷地でラビットアイ系もハイブッシュ系も同時期に動くような地域では
ラビットアイ系を加温して動き出しを早めるとか、
ハイブッシュ系を冷蔵保存などして動き出すのをやや遅らせるのが望ましいかもしれません。

一般的に植物のカルスが最も活発に形成される気温は20〜25度で15度以下ではあまり形成されないらしいです。

このことから春のあまり早い時期に接ぎ木をしてもあまり意味がないようにも思えます。
(今年の春、私は2月半ばにプルの接ぎ木をして5割成功だから十分可能ではあるようです)



A)緑枝接ぎ

枝接ぎの中でも緑枝接ぎの場合は新梢が固まった頃が適期だから
梅雨前あたりの緑枝挿しと同じくらいの時期が良さそうに思います。



B)呼び接ぎ

呼び接ぎの場合はどちらも根があって栄養補給は可能であるから
カルスの形成が最も活発な20〜25度の時間が長く最低気温もできるだけ15度以上の時期が良さそうに思います。
当地では4月以降から11月一杯が当てはまるので4月から10月初旬くらいまでなら可能かもしれません。



C)芽接ぎ

芽接ぎの場合の適期は8月下旬から9月で、これは樹液や形成層の動きが活発だからというのが理由のようです。


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接ぎ穂の採取


1)病気などで変色している部分や先端で花芽が多く付いている部分は用いない

2)1次成長が盛んに行われない接ぎ穂(発芽してない枝)を選ぶ
(一次での葉の成長は接ぎ穂のエネルギーを多大に消費するのでエネルギーが
接合部の癒合にまで回らなくなる可能性があるため)

3)親木の施肥は、窒素過多とせず、特にリン酸とカリウムを多めに与える
(葉の成長よりも接合部の癒合を促すため)

4)葉芽と葉芽の間隔が広いものは好ましくなく比較的葉芽の間隔が詰まった枝を用いる
(親木の成長期に窒素過多にすると徒長気味になって葉芽の間隔が広がるから
接ぎ穂の採取をする場合は窒素を控えて太陽によく当て徒長を防ぐ)

5)出来れば台木と同じ太さの接ぎ穂が理想的だが接ぎ穂の方がやや細くても可能である
(台木、接ぎ穂共にタバコくらいの太さが最もやりやすい)

6)穂木は、葉芽を傷つけることなく、接いだ後、2〜3芽ぐらいを残せるように採取する
(作業中に葉芽を傷つけた場合の保険)

3,4はあくまでも理想であって必ずしもこうでなくても接ぎ木は成功すると思われます。



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接木の方法

切り接ぎ割り接ぎなどがあります。

切り接ぎをされる方が多いようなので主に切り接ぎについて説明します。

時期は春先から四月上旬頃まで(秋でもできます)
できれば台木はハウスに先に入れておき、穂木より生育を進めておく

ナイフで削り取る場合には台木に対して少しあまるぐらいがカルスがのりやすい
乾燥しないようにパラフイルムで全体を巻く、なければ頭の切り口には癒合剤を塗ります

穂木と台木の接合部には普通のビニールテープなどの方が接着剤が付いてるから楽だそうです。
現在多くの園芸店やホームセンターなどで売られている接木テープでは
むしろ作業しにくいかもしれません。

水揚げは特にする必要はなく日光に当てなければ2時間程度はもつそうです。

他の果樹での様子ですが画像つきで分かりやすいので割り接ぎの
やり方を解説したHPを2〜3紹介しておきます
柿の接ぎ木の方法 (音声による説明があります)
リンゴの切り接ぎ (台木の切る時の指使いなどが参考になります)
もみじの切り接ぎ


2007/01/31追記
形成層はどちらかが付けばいいですが形成層をなるべく多面積に合わせること
なかなかピッタリ合わせ難いですが少なくとも5mm位合わせたほうがいいようです。
肝心なのは油分のない刃 で台木 ホギを削ること。
形成層を面で合わせたら ヒモでもビニテでも良いから固めに縛る。
一番大事なのは雨の進入で、入るとかびたり腐ったりして失敗します。
そのために接ぎ蝋、粘土の様な物で雨から保護します。

割り接ぎに付いては
BlueBerryHouseさんの接木による増殖が画像つきで分かりやすいとおもいます。

引用
ベリーベリーブルーベリーさんの記事や
TMCのブルーベリーさんの掲示板でのインパルスさんの
スレッド投稿日:2006/11/12からも引用させていただいています。



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接木に用いる素材について 

接木の方法でも説明しましたが接木を固定するための素材は
ビニールテープなどのほうが良いそうです。

また穂木を保護するために全体を巻いても
そのフィルムを破って芽が出てくることができテープのように巻きやすいということで
(株)アグリス社のメデールやNewメデール が使いやすいようです。

NewメデールとメデールはBerry's Lifeさんで取り扱っています。
(切り売りもしてくれるようなので趣味でされる方にはお勧めです)

Newメデールは福島天香園さんでも取り扱っています。
(ネットでは紹介されていませんが問い合わせたところ
郵便振込み1570円/巻・送料込みだそうです)

製造元の(株)アグリス社からも買えるようですが6個単位とかになるようです。



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接ぎ木の練習

趣味で接ぎ木をされる方は接ぎ木をする本数も少なく
おそらく最初からうまくはいかないと思います。
そこで事前にに他の果樹の枝などを使ってナイフの使い方などの練習をしておけば
いざ本番というときに加減が分かって良いかと思います。



人差し指と中指で枝を固定して右手で刃物を持ちますが
右手は添える感じで刃物の先の上に左手の親指を乗せ
親指に力を入れ押し下げる感じで切るのが安全かつ安定しているようです。




右手に力を入れるのは無駄に力が入って切り過ぎてしまいます
見るからに危なそうです。






切り接ぎの練習後


大きな画像はこちら→接ぎ木の練習でごらんいただけます。

接ぎ木の方法のリンクも参考にしてください


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接木の実践




「5)接ぎ木の方法」でも書いたように
最も苦労したのが接合面をピッタリ合わせること
練習ではうまく出来ているように思っていたのですが
実際やってみて気づいたのが接合面を光に透かしてみると
わずかに光が漏れることが多かったです。

 こうなるべきところが

 こうなってしまいます
(実際はこれほど極端ではなくて隙間は0,1ミリかそれ以下くらいです)





1時間ほどで4鉢、6本できました。

   


大きな写真はこちら↓のブログの記事でご覧いただけます。
接ぎ木初挑戦
この中でせめて1本成功してくれると嬉しいのですがどうなるでしょう。
今後も台木の様子などをみながら接ぎ木をしようと思っています。



3月14日最初の4鉢6本の接ぎ木全てから発芽が確認できました。

↓大きな写真はこちらの記事でご覧いただけます。
接ぎ木の動き 接ぎ木プル





穂木からしっかりしたシュートが伸びています
最初に接ぎ木した4鉢6本で2鉢4本はほぼ成功でした。
1本は微妙な段階でもう1本は失敗でした。

2007/05/01

左側成功しそうな感じです。右側は成功と言って良いと思います



200/08/16

ここまで大きくなりました。
業者さんが売り出すくらいのサイズなので
もう大丈夫だと思います。








A)
また再来年用の台木のために、太目の挿し穂での挿し木も試みようと思います。
挿し穂自体が太目であれば挿し穂が発根すればその挿し穂に接木ができそうなので
太いシュートの発生を待つ必要がなさそうだからです。
これなら来年、緑枝挿しをして再来年の春には接木できそうです。



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接ぎ木の成長の目安



接ぎ木は台木の大きさによって成長が違います1年生の台木よりは2年生の台木、
2年生の台木よりは3年生の台木の方が成長が早いです。


目安としては自根でそのまま育てる苗よりも
1年程度成長が遅れる程度に考えれば良いようです。

これは接ぎ木にするときに台木を激しく切り戻すことと
接ぎ穂と台木が活着するのに時間がかかることが原因です。

秋頃までには切り戻す以前の状態程度までは成長するので
ちょうど1年成長が遅れることになります。




写真はいずれも2007年春に接ぎ木したものです。

上の写真2枚は1年生台木の接ぎ木
下の2枚は2年生の台木です。
台木の大きさで成長の早さが明らかに違っています。

2007/08/16



3年生の台木


接合部がかなり太くなっています。
(接ぎ穂から枝が出ていますが枝が出ている場所より上の細い部分が元の接ぎ穂の太さです)

2007/08/16




2年生の接ぎ木の接合部は然程太くなっていません。
このあたりから2年生台木と3年生台木の成長の違いが窺がえます。

2007/08/16







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台木に最適な品種




良いブルーベリーの接ぎ木の台木の条件として

1)生産性が高い※1
2)樹勢が強い
3)土壌適応性が高い
4)サッカーやシュートの発生が少ない

などがあげられます。





今のところ接ぎ木の台木として最も良いとされているのはホームベルです。
生産性が高い、樹勢が強い、土壌適応性が高いなどの条件を兼ね備えているからですが
ホームベルはサッカーやシュートのの発生がかなり頻繁です。



ホームベル
既に数本間引いたのですがそれでもサッカーが頻繁に発生しています。

接ぎ木の最大の欠点として台木からのサッカーとシュートの管理が大変であることがあげられます。
沢山育てている人にはサッカーの除去とかも手間になりそうですね。

ブルーベリー栽培に慣れた人なら土壌の問題はクリアできると思います。
だったら必ずしもホームベルである必要もなさそうなので
欠点であるサッカーシュートの発生が少ない品種のほうが
その後の管理が楽で省力化が図れるのではないか?ということです。

既にサッカー・シュートの少ない品種の絞込みをして省力化に勤めている業者※さんもあります。
こだわり園さんが接ぎ木苗販売ページで
サッカーも発生するが発生の少ない台木を選定している
(接木位置を低くし台木の芽を全て切り取ることで、シュートの発生を減らし管理の省力化を図っている)
とコメントしています。






2007/09/02追記
ホームベルに代わる接ぎ木の台木としてブルーシャワーが有力かもしれません。

生産性が高い、樹勢が強い、土壌適応性が高いなどの条件を一通りクリアできてるように思います。
(これについてはBlue Berrys roomさんもホームベルに匹敵する生産性と樹勢を絶賛しています)
それに加えブルーシャワーはサッカーシュートの発生もホームベルよりは少ないようです。


3年生のブルーシャワー
3年生でですが他のラビットアイ系品種の4年生並みの木の大きさに育ちました。
地際でシュートこそ発生していますがサッカーは全く発生していません。

因みにブルーシャワーは種がザラつくことで評判が悪いですが
冷凍して食べると種は殆ど気になりません。
ラビットアイ系が取れるのは夏の盛りなのでこの実は冷凍専門で食べれば良さそうです。







※1
2007/08/16追記
台木による生産性の違いについて
ノーザンハイブッシュ系3種類にウッダード、ティフブルー、ホームベルを台木に接ぎ木して
3x3=9種の接ぎ木を作り生産性の比較調査※をしたところ

ウッダード台木の接ぎ木に比べティフブルーは1,5倍〜2倍、
ホームベルにいたっては2倍〜3倍の収穫量があったとの報告があります。

私もラビットアイ系なら生産性についてはどれでも大して変わらないだろうと思っていましたが
ここまで差があるとウッダードは地植え用の台木としては不適格だと思います。
(家庭で大きくしないよう栽培したい場合はウッダード台木という選択肢もありそうです)


※誠文堂新光社の「ブルーベリーの栽培」(1986年)または
「ブルーベリー全書」(P,136)に紹介されている調査です。








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接ぎ木の小技(こわざ)



接ぎ木の穂木削り法・BlueBerryNote方式
略称Berry式穂木削り法
穂木を水平に切る方法



私は器用でないというか、はっきり言って不器用です。

接ぎ木の穂木を切るにしても、色々癖とかありまして
まっすぐのつもりで切っても先に近づくと右が下がることが多いです。
それと先の方だと重さに耐えかねるようで先端が反るように高くなったりします。
修正すると今度はデコボコになっちゃったりしていました。

そんな不器用な私でも穂木(やりようによっては台木も)を
ある程度の精度で水平に切れるようになりました。

この方法で接ぎ木をやり始めてからは
台木の方が上手く切れていれば一発で決まることもあるくらいです。

料理の方の飾り切りからヒントを得ての手法です。




二本のステンレス棒の間に穂木をはさみ
刃物で棒の太さよりも上に出ている部分だけをそぎ落とします。
(最初は割り箸でやっていたのですが割り箸だと割り箸も削ってしまうことがありました)

刃物はどこでも決して棒の太さより下にはいきません。
これでそこそこの精度の水平面を得られます。

太さの違う棒2本ずつを2種類ともう少し細い釘で太さも加減しています。

棒とかの代わりは刃物で削れないものなら何でも良いので
適当な太さの棒を2本用意すれば良いと思います。


例えば接ぎ木挿しの台木でしたら
穂木よりも少し長めにしておいて持つところを確保して
逆さに向けて刺す部分を作れば台木を作ることも出来ます。



とりあえず普通の接ぎ木では簡単に出来るのは穂木の方だけですが
穂木だけでも水平を出せると言うのは随分違うと実感しました。

曲がっているものに合わせるのは随分大変ですが
片方が真っ直ぐであれば基準となるので
後は台木の方だけを調整すれば済みますからね。

器用な方は必要ないかも知れませんが
木工が得意でないとか、器用ではないという方でしたら是非試してみてください。





接ぎ木の台木切り込み法・BlueBerryNote方式
略称Berry式台木切り込み法



基本は穂木の削り方と同じですが台木のポットの高さを揃えることと安定させるために
砂などを入れた容器を敷きます。(今回は籾殻で代用しました)
砂の容器の枠の高さに合わせて削る台の高さも調整してあります。
台木の切り込み方 berry式台木切り込み法
試しに2本やったところ台木の切り始めの部分(↑写真でいう最下の部分)は
面倒ですが最初に写真とは反対の向きから刃物を入れて少し削っておくほうがうまくいくように思いました。


1本目はやや不満な出来でしたが、2本目は完璧(光に透かしても
全く接合部から光が漏れない状態)にピッタリ接合部がくっつきました。


条件としては同じ規格の鉢(ビニールポット)でないと調整が面倒すぎるのが難点です。
勿論大きな鉢とかでは出来ません。


実際やると結構面倒な作業が多いので大量に作るには向いていないと思います。
趣味で少しをじっくり作ろうという方、不器用でなかなか平面が出せない方には向いているように思いました。
私自身不器用なのでとりあえずこのやりかたでもう少し作ろうと思います。


幾つか作って問題点とかあまり具合が良くないようだったらまたご報告します。








平面の見方

穂木にせよ台木にせよ切断面に真っ平らな物(私はカッターの刃)を
乗せて陽とか灯りに透かして見ると
平面でないときは↓こんな風に透けて見えます。


穂木にカッターの刃を乗せて横からみるとこんな感じです・。
自分では平らに切れているつもりでも結構デコボコしています。

こうやってとりあえず穂木台木共に出来るだけ平ら(横から見たら直線)にしてから
くっ付けるようにしています。




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接木挿しについて

挿し木をするときに接木もしてしまおうということです。
割り接ぎ、切り継ぎなどをしてある挿し穂を挿すのですがどうもかなり成功率は低いようです。
かなり数をこなしている人でも成功率は数%程度らしくかなり難易度は高いようです。

2007/05/01追記
2006年にブルーインパルスシリーズを発売したインパルスさんからのコメントによりますと
接ぎ木挿しして2年経過した接ぎ木苗と
挿し木1年生に接ぎ木して1年経過(計2年)した接ぎ木苗では
挿し木後接ぎ木した苗のほうが生育が良いようです。
特別の手法などがない場合は接ぎ木挿しは色々な意味において
ブルーベリーには向かいない手法のようです。


2007/03/03

 
台木のラビットアイ系品種にハイブッシュ系品種を接いで
台木と共に挿し木にします。


はみ出し園芸マンさんによると
台木の頭を空気に触れるように
して、穂木も用土に挿す方法も
試みているようです。(写真)



2007/04/10

穂木から芽が出てきました。






2007/09/23
接ぎ木挿しの発根


春に行った接ぎ木挿しも7本ですがやはりかなり難易度は高いようです。
殆どが失敗でしたがそんな中で1本だけは台木、穂木ともに生き残っているものがありました。

ダローの接ぎ木挿しの発根

いわゆる切り接ぎでつないだ挿し穂を接ぎ穂の方は用土に埋まらないように挿しておいたものでした。


発根といってもほんのちょっとだけ根が出た程度なのでまだまだ随分危うい状態です。
このままなんとか生き残ってくれればと思います。



上でも述べたように
接ぎ木挿しは色々な意味で効率が良くないとされています。
1年生台木に接いだ接ぎ木とよく比較されますが
この接ぎ木挿しがもう1年経った来年の秋の状態と
今年の休眠挿しを来春接ぎ木して秋まで成長させた接ぎ木とを比較して
両者の成長具合が同じであれば確かに成功率の低さから言って
接ぎ木挿しはあまり効率が良くないと言えるだろうと思います。


1本だけですが比較してみようと思っています。







接木挿しについては下記で報告されています。
はみ出し園芸マンの果樹園日記  さん (最も詳しく参考になります)
T&F  さん  







2011/01/20

BB讃岐さんの接ぎ木挿しについて


BB讃岐さんが相当数成功されているようで
特に去年の春に行った接ぎ木の成功率が5割以上にもなっているようです。
今年も始めました!接ぎ挿しを・・・


因みにこちら↓が夏の様子です。
10)接ぎ挿し 


接ぎ木挿しの成功率も然ることながら切り接ぎの接合面が大分狭いと言うか
切り込みの長さが精々1cm前後の様なのにも驚きました。


私などは普通に2cm以上とか切っていましたが寧ろ短い方が良いのかもしれません。

まだまだ寒いですがもうちょっと暖かくなれば屋外でも接ぎ木挿し出来る時期になりますから
皆さんも参考にされて挑戦されてはいかがでしょう?
(BB讃岐さんの様に無加温ハウスがあるようなら今からでも出来るようです)

追記

BB讃岐さんによりますと
密閉管理するのが重要だそうです。















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台木の一枝を残すことについて



台木の一枝を残すことについて考えてみました。


接ぎ木の本などによると接ぎ木の台木からの枝は全て取り除くのが基本のようです。
やはり頂芽優勢が働くからその方が穂木に栄養が集中するからだろうと思います。
とは言っても台木を大事にするとか根量を確保したい場合は接ぎ木の台木の枝や発芽を少し残すのにも意味があると思っています。


植物は根と地上部はバランスがとれていると言われています。
接ぎ木の場合は一方的に地上部を切ってしまうわけですから根とのバランスがかなり崩れてしまうことになります。
切り戻しのように、ただ単に地上部を切ってしまう場合はシュートなどがすぐに伸びて早期にバランスが戻ってくると思うのですが
接ぎ木の場合は台木からの発芽を取り除くのが普通ですし穂木から2次成長が始まるまでには少し時間が必要で、
なかなかバランスが戻らないまま時間が過ぎてしまいます。

2次成長が順調ならまだしも2次成長が遅れたりすると地上部が小さくなってバランスから言って過剰になった根は
腐ったりしてやはり結局こちらも小さくなってしまうようです。
接ぎ木がうまくいかないと最悪、全ての根が駄目になって台木が枯れてししまうことがあります。
(実際、去年私もダメにした台も幾本か出しました)
一枝だけでも残しておけば最悪の場合でも全ての根が駄目になってしまうことは避けられそうに思います。
私の場合も去年は台木はあまり大事にしなくても良いので枝を残すとかはあまりしませんでしたが、
それでも穂木からの成長があまりに時間がかかるような場合は少し台木からの芽や枝も伸ばして
台木の保護にも気をつけるようにもしました。


勿論、穂木からの成長に確実に見込みが立ったら取り去ってしまった方が
栄養が穂木からの枝に集中するから良いと思います。
それから台木が活発になりすぎて樹液が過剰に流動して接ぎ木の接合部を濡らしてしまうような場合にも
一枝あったらそれも和らげられるかもしれない、とかも考えています。














色々な接ぎ木の手法









接ぎ枝挿しと接ぎ枝の取り木

接ぎ木が上手くいったら(ある程度経って接いだ部分が安定してきたら)
接いだ部分で挿し木や取り木によって分離させ単独の接ぎ木にしようということです。






接ぎ枝挿し
接ぎ木挿しに似ていますがちょっと違います。
まだこういった手法は他の植物でやられているのかもしれませんが
一応「接ぎ枝挿し」とでも名づけようと思います。

いわゆる発想の転換ですね。
挿し木して台木を作ってからから接ぐのが今までのやり方でした。
これは逆で接いでから挿し木するということです。

切り戻したベッキーブルーの切り口が台木の接ぐところに似ていたから
接いで見ようと思ったからでした。

でも、接ぎ木と挿し木それぞれの難易度はそれほど高くないようだから
「時間差でやったら良いんじゃないかな」ということでした。




接ぎ枝の取り木

接ぎ木を先に行うのは接ぎ枝挿しと同じで挿し木ではなくて取り木で発根させるやりかたです。

1本の台木に複数接ぎ木をした場合など過剰に接ぎ木が成功してしまったときや
同じく1本の台木に複数接ぎ木をした場合沢山成功したけれど頂芽優勢などの影響もあって
成長が思わしくない接ぎ木がある場合、分離して単独の接ぎ木とした方が良好な生育が望めそうなときに
取り木の手法で発根させた後に分離させる方法です。
多品種接ぎ木
手前右の接ぎ木が成長が思わしくないので
中央部に盛り土して取り木を試みました
接ぎ木の取り木
その後うまく発根してくれました。
取り木成功です。




私の場合は偶然でしたが最初から接ぎ木の取り木などを狙って
ホームベルなど沢山シュートやサッカーが出ている木に沢山接いでみるのも面白いかもしれません。




こういった方法なら台木となる小苗がなくても出来ます。
時間的には普通の接ぎ木挿しより時間はかかりそうですが
2年かけて台木を作ってというのよりは早くできそうな気がします。


私は不器用だから成功しないかもしれませんが
こんな方法もありかもしれません。
(やり方次第では省スペース省力化が図れるかもしれません)









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呼び接ぎ





呼び接ぎは2本の根がある枝を互いに削って合わせた後にテープなどで固定し互いを癒合させ(1年程度かかる模様)、
後に穂木の接合部より下の部分を切り離す接ぎ木の方法です




低い位置から伸びる枝がないと出来ないのでかなり限定的になりますが
台木、穂木共に根があるので枯らすリスクは少なく比較的成功しやすい 接ぎ方です。
(栄養や水分のやり取りもないから気長に癒合してくれるのを待てば良いようです)




下図の白い部分を削り両者を合わせて固定させます。


このとき注意するのは他の接ぎ木と同様、
合わせた部分よりも数ミリ上まで穂木の削った面が現れるようにします。
(癒合して台木をカルスが覆うようにするため)


 







呼び接ぎはビニールポットの端でしかも斜めに接ぐことが多いので
挿し木のポット上げの時にやるとそのあたりが上手くいくと思います。
あるいは寄せ接ぎ用の苗はポットの端にやや斜めにポット上げし
寄せ接ぎがやりやすい状態にしておくのも有効だと思います。





2007/06/01

プランターに植えているダローと
ポット上げしたノビリスを呼び接ぎします
両方の枝の側面を削って合わせ
接ぎ木テープを巻きます
さらにビニール紐で固く結び添え木をあてました


針金を写真のように曲げポットの中央の
穴を通過させてプランターまで挿してポットを
固定しました。


大きな写真はブログの記事でご覧ください。
寄せ接ぎ








2007/09/06
呼び接ぎの経過


左上の写真が↑2006/06/01に行ったの呼び接ぎです。
ビニール紐で縛った跡が食い込んでいるので成功しそうです。
右上、左下の写真の寄せ接ぎも順調にいっています。

右下の写真の呼び接ぎは台木から出ている枝より上の部分の枝の色が茶色くなっているので
あるいは失敗しているかもしれません。

もしかしたら接合部よりも高い位置に枝があったほうがこういう状態は起こらず好結果を生むことも考えられます。
これについては今後試してみたいと思います。

呼び接ぎは8本行って5勝2敗1試合中という感じなのでやはり比較的成功しやすい接ぎ方だと思います。









2007/09/14
呼び接ぎの切り離し

時期的には少し早かった(本来は来年の4月)のですが一つ切り離すことにしました。

ダローに呼び接ぎしたものを切り離したんですがビニールポットを離す時に問題がありまして、
ビニールポットの底穴からかなりの根が出ていて既に下のプランターにかなりの根を張っていました。

こういうことは鉢植えを地面においておくと良くあることなので至極当たり前のことなんですが迂闊にもそういうことはすっかり忘れていました。
折角伸びてもこの状態だと穂木の方の根のこともあるから堀上げることができる根の量は限られてしまいそうです。

ということで時期はまだ早いのですが呼び接ぎを切り離すことにしました。

チッペワ・サンシャインブルー・エリザベスも同じ状態でした。



左ダロー/ノビリス・中チッペワ/ノビリス・右失敗しているっぽいのも含めてともかく7鉢の接ぎ木です

左ダロー・中チッペワ・右呼び接ぎ集合




しかし、オニール、パトリオットはまだ下には根を伸ばしておらず台木の生育も今ひとつのようで
もう一つのオニールに至っては何故か台木の根が殆どなく挿し木の状態のようになっていました。
この三つは明らかに切り離すのが早すぎたようです。
ちょっと焦って失敗してしまいました



7鉢の接ぎ木ができましたがいくつ残るか楽しみです。



2007/11/23
呼び接ぎ接合部
呼び接ぎ接合部




参考リンク

穂木に斜め下から切り込みを入れクサビ形に調整した台木を差し込む方法

ブルーベリー根接ぎ

ブルーベリー接ぎ木案 呼び接ぎ挿し
↑これは挿し木としてはうまくいかなかったようですが根接ぎの
様子とよく似ているようです。




他の樹木での呼び接ぎの様子

「びん接ぎ」「呼び接ぎ」の場合の接ぎ穂と台木の削り方、接木の仕方

山もみじ呼び接ぎ

呼び接ぎした盆栽の写真




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挿し呼び接ぎ


接ぎ木挿しと呼び接ぎの中間的な方法です。


台木を挿す呼び接ぎ挿し
呼び接ぎの台木となる挿し穂で呼び接ぎも同時に行う方法です。
つまり、まだ発根していない枝で呼び接ぎをしてその枝の下端を用土に挿して発根を促すというものです。


接ぎ木挿しは台木となる品種に発根と接合の両方の負担がかかってしまいますが
この方法だったら接合の方は根のある穂木の方からのエネルギーで
癒合が図れるから台木の負担は随分軽減するように思います。


この方法を挿し呼び接ぎとか挿し接ぎ、あるいは接ぎ挿しなどと言うようです。


見た目では普通の呼び接ぎと変わりませんが
挿し呼び接ぎの場合はこのビニールポットの中で挿し木をしている状態になるわけです。
比較的挿し木が容易な植物で用いられる方法でですからブルーベリーでもうまくいきそうに思います。
挿し呼び接ぎ


接ぎ穂を挿す方法
応用編としては、逆に台木となる方が根があって接ぎ穂となる方が根が無いもので
この枝を呼び接ぎして枝の下端を用土や水に挿しておく方法です。
これは比較的穂木となる品種が萎れ易い場合に行われことが多いようです。
1本しかないような大事な接ぎ穂の場合など接ぎ木が失敗しても
挿し木として残る可能性があるからそうした場合には有効かもしれません。



発根よりも接合が先になることについて
この方法だと皮肉なことに接合が先に済んで発根が遅れるという事態も起こります。
オニール/ノビリスの接ぎ木ですが接合しているようですが発根はしていませんでした。
これは接ぎ枝挿しとでも言うような状態になってしまいました(笑
 接ぎ枝挿し
2007/11/23



この手法も色々条件があるので実行する機会はそれほど多くはないと思いますが
「こんな方法もある」ということで、例えば呼び接ぎをしたいけれど台木がないと言う方にはお勧め出来そうに思います。



因みに両方とも根が無い挿し穂で呼び接ぎをする場合はなかなかうまくいかないようです。
これについてははみだし営業マンさんがHPで報告されています。
ブルーベリー接ぎ木案 呼び接ぎ挿し






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芽接ぎ


たった一つの芽を接ぎ木の穂木として台木の軸枝などに移植するように埋め込む接ぎ方です。


樹皮が剥け易く接ぎ芽も充実する8月下旬から9月が適期とされています。


比較的難易度も低く初めての方でも5割程度の成功率にはなりそうです。
器用な方やなれた方なら高い成功率が望めると思われます。
成否の判定も比較的早い段階で分かり失敗していたら再びトライすることも可能です。
1回の成功率が50%で失敗しても適期に2〜3回可能なので
やりなおした分も加えれば益々高確率になりそうです。

切り接ぎに比べて短時間で本数がこなせます。

台木、穂木共に負担が少ないので失敗しても失うものが少ないのも利点かと思われます。

以上のことからブルーベリーの接ぎ木の手法として有望な接ぎ方だと思われます。




T)芽接ぎの方法
(削ぎ芽接ぎ法)


1)穂木としたい品種の芽の部分を削ぐように採取します。

2)台木も穂木を採取した時と全く同じように移植したい部分を取り除きます。
(取り除いた部分の形が接ぎ芽と同じ形が理想的です)

3)台木の削ったスペースに接ぎ穂の芽を埋め込みます。

4)セルパラテープ(メデールなど)で告いだ部分を巻いて固定して出来上がりです。


加工前>1)>2)

2)>3)>4)




U)成否の判定

一般的な植物なら1週間〜10日で成否は決まるので駄目だったらやり直すこともできるそうです。
成否の決め手は一般的な植物だと接ぐ時点で葉柄を残して接いで1週間くらいして
葉柄がポロッと落ちれば成功らしいのですがブルーベリーの場合は葉柄は殆どないに等しいし
葉がついていない部分を用いることも多いのでこの判定法は利用できないように思います。

私が考えるには緑色の接ぎ芽を用いた場合は2週間くらいして茶色く変色していたら失敗で、
茶色の芽を用いた場合は軽く触って落ちなければ一応可能性はあるだろうくらいの考えれば
良いのではと思います。(茶色の接ぎ芽の場合は判定はやや難しそうです)

判定期間を2週間と考えても適期は8月下旬〜9月なので失敗しても、もう2回くらいはトライできそうに思います。






B)その後のケア


1)
芽接ぎをしたあと1週間くらいは絶対に接合部を濡らさないこと。
(接いだ部分に水分が入ると成功率がかなり落ちるらしいです)

2)
接ぎ芽の場合は春の発芽が普通らしいのでこのままの状態で春までおくのが良いそうです。
今の時点で接ぎ芽から上を切ったりすると根と地上部のバランスが崩れて根腐れを起こす場合もあるようなので
接ぎ芽から上を切る場合は早くも葉が全て枯れ落ちてからが良いそうです。
普通は春の芽吹きの時期くらいに接ぎ芽から上を切り落とすのが良いとされています。

注) 芽接ぎの場合接いだ部分より上は芽が出たら切れば良いと考えがちですが
春先に芽接ぎした芽から発芽を促すには接いだ芽の部分が頂芽になるよう接いだ部分より上は切った方が良いようです。


芽接ぎの場合は一つの芽から出た枝しか使えないのでその1本の枝を上手に大きく太くしていく必要があります。
今のところその過程が難しそうに思えます。
来春どんな風になるのか今から楽しみです。



C)芽接ぎの実践


2007年9月下旬に行った芽接ぎの様子と経過


芽接ぎをして1ヵ月半が過ぎているから当然のことながら成否は決まっていることになります。
ということでテープを剥がして直接見てみることにしました。


2007/11/14
写真左上)芽接ぎした苗全体<->写真右上)接いだ芽が依然緑の苗

写真左下)接いだ芽が茶色くなったもの<->写真右下)完全に失敗しているもの

(接いだ芽が茶色くなったものの中でこのあとちょっと強めに横から押したらポロッっと落ちたものが3本ありましたので
成功していそうなのは2本のようです)

全体的には13本中7本が生き残っているようなので結局50%くらいの成功率になりそうな気がします。
不器用な私の初戦の成功率なのでこの程度ですが芽接ぎはとても簡単だと接ぎ木の教科書などに出ているので
器用な方ならかなりの高確率で成功しそうに思います。

1回の成功率が50%で失敗しても適期に2〜3回可能なので
やりなおした分も加えれば益々高確率になりそうです。

以上のことから削ぎ芽接ぎ法はブルーベリーに有効な接ぎ木の手法と言うことが出来そうです。










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割り接ぎ




挿し穂をクサビ状に加工します。
台木の方は真ん中に切れ込みを入れます。
切れ込みに穂木を差し込んでテープで巻いて固定します。

何故かこの接ぎ方は接ぎ木の本や業者の方はあまり用いないようです。
何か問題があるのかもしれませんがその理由は分かりません。
私も初めてやってみました。




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緑枝接ぎ




枝接ぎの中でも緑枝接ぎの場合は新梢が固まった頃が適期だから
梅雨前あたりの緑枝挿しと同じくらいの時期が良さそうに思います。



因みに緑枝接ぎは台木の方も新梢(シュートまたはサッカー)が望ましいらしく接ぎ方も割り接ぎが良いらしいです。
穂木、台木共に若くて活発だから癒合しやすいらしいのですが
現在のところブルーベリーではあまり試みられていないようです。





「初めてのブルーベリー栽培」内の
「特集!ブルーベリーを接木(つぎき)で育てましょう 」において
穂木の調整など写真つきで詳しく解説されています。
(割り接ぎをされているようです)





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根接ぎ



ブルーベリーではまだあまり取り上げられることはないですが他の果樹などでは用いられている手法です。
弱った木の樹勢回復などには割りとポピュラーに用いられる手法のようです。


接合面の合わせ方は本体と接ぎ根となる苗の両方に最も負担が少ない呼び接ぎの手法を用いました。



順調に行くと接合部が癒合してポットの底穴からは接ぎ根の苗の根が用土にも伸びてきます。
接合部が安定したらビニールポットをハサミなどで切って取り除いて全体を深い鉢に収めなおせば完成です。
接合が失敗したら別々の苗として育てます。

ポットが入る程度少し用土を掘ります

本体、接ぎ根用苗の両方の接合面を
削ります

接合面を合わせて紐で縛って出来上がり

ブルーベリーの根接ぎ(接ぎ木)

   挿し木苗をポットから出して用土を 
落としておきます

接合面を合わせて接ぎ木テープで
巻きます

更にビニール紐できつく縛って固定し
用土を足して出来上がり

弱った木の樹勢回復も兼ねて行いました。
去年、全く成長しなかったミスティーです。今年も葉が少し出ただけで停滞したままです。
これから取った苗の方が余程大きくなっています。
こちらは根接ぎが駄目なら処分するつもりなので接ぎ根となる苗のポットも最初から取り除いて接ぎ木しました。





今回行ったものは幸い掘った部分には根が殆ど張っていなかったから良かったですが、
この方法は3月頃に鉢増しなどの時についでにやってしまうのが良さそうだと思いました。
根接ぎをして2種根にするとどういった影響があるのかはまだ分かりません。育てながら観察しようと思います。







色々な根接ぎ




    挿し呼び根接ぎ
挿し木をしつつ根接ぎも同時に
行う方法です

シャシャンボ根接ぎ
ラビットアイ系品種の根を接ぐ
根接ぎと方法は同じです。

挿し呼び根接ぎとシャシャンボ根接ぎ








根接ぎの途中経過


↓エリザベスは好調です
反対側の枝から先に成長しました
接いだ側の枝からも新芽が

この3本は右のジョージアジェムが
やや復調しています
他は現状維持程度です。

ブルーベリー・根接ぎの経過

他にミスティーとレガシーも根接ぎしましたが
接ぎ木がうまくいかず失敗でした。






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穂木に対する台木の低温要求時間の影響について



接ぎ木による低温要求時間の短縮について

ブルーベリーの場合は接ぎ木において穂木と台木の低温要求時間が異なる場合が多く
台木の低温要求時間が穂木の低温要求時間にも影響を与えることが考えられます。

現在最も頻繁に行われているノーザンハイブッシュ系品種を穂木とし
ラビットアイ系品種を台木としてする接ぎ木では
低温要求時間が短いラビットアイ系品種の影響を受けて
穂木のノーザンハイブッシュ系の低温要求時間も短くなる傾向があると言われています。


ブルーベリー以外の果樹においても同様な現象が確認されており
さらには同じラビットアイ系台木でもより低温要求時間が短い
ラビットアイ系品種では更なる低温要求時間の短縮も
可能かもしれないという仮説も考えられています。




接ぎ木による低温要求時間の延長について


低温要求時間短縮について述べましたが逆に昨今の温暖化で
低温要求時間が極端に短いサザンハイブッシュ系品種の早すぎる開花や萌芽によって
その後、遅霜での霜害が懸念されるようになりました。

この霜害対策として
低温要求時間が短いサザンハイブッシュ系品種に
低温要求時間が長いラビットアイ系品種を台木として接ぎ木することによって
低温要求時間の延長を図り、早すぎる開花の抑制を図ることが出来るのではないかと考えています。


2009年春には
低温要求時間が極端に短いサンシャインブルー、シャープブルー、ミスティーなどの品種の
早すぎる開花が報告されています。

具体的にはこうした品種に低温要求時間が長めな晩生のラビットアイ系品種を台木として接ぎ木して
霜害を受けない時期からの開花になるようコントロールするということです。

また、遅霜が降りる地域で霜害を受けやすいベッキーブルー、アリスブルーなどの
ラビットアイ系品種についても低温要求時間の長いラビットアイ系品種を台木として接ぎ木することで
霜害を防げる可能性も考えられると思います。


なお
促成栽培や二期成り栽培ををする場合は低温要求時間の延長が
好ましくない場合も考えられるのでご注意ください。







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多品種接ぎについて



一鉢で多品種を栽培できるのが最大のメリットです。


多品種接ぎ木が今後どうなっていくのか見極めたいと思っています。
バランスよく全てが収穫できれば最高なんですが穂木の樹勢の違いによる収穫量の
バラつきが出るかもしれません。


2008/09/14

2007年作成
3品種接ぎ木
ダローが成長が良く他はやや小さめです
ダローが一番高いところで
接いだ影響もあるのかもしれません。

上 ダロー
左 トロ
右 ブルージェイ
台木 サウスランド

ブルーベリーの多品種接ぎ木

2008年作成6品種接ぎ木

早生品種から晩生品種、
ピンクの花も2種類入っているし
大粒品種も入っているから色々な意味で
楽しめそうな接ぎ木です。

台木はホームベル
最上ブルーレイ・最右ブラッデン
最左リベール・中下カロラインブルー
真ん中 レガシー・一番下 スパルタン
スパルタン、リベール、ブルーレイは
春の接ぎ木で成長もやや進んでいます。
他は緑枝接ぎで成長が遅れていますが、
春の接ぎ木の成長が停滞しているので、
緑枝接ぎの分が追いつきそうな勢いです













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矮性台木についての考察


序章

例えば桃・ネクタリン・スモモ・プルーン・アンズ・ウメとかはユスラウメやニワウメを台木にすると
木が大きくならずに実をつけられて家庭での栽培に適した果樹になるそうです。
リンゴも栽培農家は矮性台木を使っており、柿や梨や栗でも矮性台木の開発が進められているようです。


何を言いたいかというと小さく育てるのも場合によっては一つの価値であるということです。

リンゴの台木による矮化栽培については↓こちらで解説されていますがとても興味深かいものでした。
リンゴの台木




話をブルーベリーに戻しますと「ブルーベリーでも矮性台木を用いて家庭、
特にベランダや小さな庭などで大きくならないブルーベリーの接ぎ木を作ってみてはどうだろう?」と
考えるようになりました。私自身地植えできる本数は限られていて
最終的にはコンテナの鉢までしか鉢増しするつもりはないので
それでも根詰まりなどして鉢の管理が大変になりそうなこともこれを考える理由の一つです。


愛好家の中には「サンシャインブルーを台木に接ぎ木してみよう」ということを
実践されている方もいるようでこれも矮性台木で小さく育てる考え方によるものだと思います。

ブルーベリーにおける矮性台木については資料等は一切ないのでこれから調べていかなければなりませんが
ブログで親しくしていただいている方たちなどにも出来れば協力していただいて最適な矮性台木を割り出せたらと思います。

 

最適な矮性台木の条件
1樹が小さいこと
2樹勢が強い
3育てやすい
4生産性が高い※
※樹が小さいことと生産性が高いということは相反するとも考えられるので
生産性よりは樹の小ささの方を優先させざるを得ないと思われます

 


矮性台木の候補


基本的に育て難いとされているNH系は外すとして

サザンハイブッシュ系 サンシャインブルー・シャープブルー
ラビットアイ系 ブライトブルー※ ウッダード
樹高150cmと言われていますし樹勢も強く豊産性ということから最適ではないかと思います


他にもウッダード、フェスティバル、クライマックス、アリスブルー、サウスランド
あたりもそれ程樹が大きくならないようなので、あるいはある程度なら矮性を示すかもしれません。




 
2007/08/24追記

台木による生産性の違いについて
ノーザンハイブッシュ系3種類にウッダード、ティフブルー、ホームベルを台木に接ぎ木して
3x3=9種の接ぎ木を作り樹高の比較調査※をしたところ

ウッダード台木の接ぎ木に比べティフブルーは20〜50センチ高く
ホームベルは20〜40センチ高かったとの報告があります。

樹高が低い台木に接ぐと接ぎ木自体の樹高が抑えられることが確認できました。
生産性は劣りますが家庭で小さく栽培するならウッダードなどの樹高が低い台木での接ぎ木も
活用できそうに思います。

※誠文堂新光社の「ブルーベリーの栽培」(1986年)または
「ブルーベリー全書」(P,136)に紹介されている調査です。






矮性台木となる品種の創出について

新たな矮性台木の創出ということも考えてみると面白そうです。
ラビットアイ系でともかく樹が小さい品種であれば
(それはある程度の樹勢、育て易さを備えていれば味はまずくても構わないし)
矮性台木としての利用価値が出てきそうに思います。




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シャシャンボを台木にする接ぎ木

日本の野生ブルーベリーとも言えるシャシャンボを台木に
ハイブッシュを接ぐことも可能なようで現在実際に研究されているようです。
これに関しては國武研さんでブルーベリーの接ぎ木苗の生産
−在来野生種シャシャンボの台木としての可能性−
において
「シャシャンボはブルーベリーと接ぎ木親和性があり、自根に比べ生育も良いことから、
南九州などの暖地において北部ハイブッシュブルーベリー栽培の台木として
利用可能であると推測されました」との報告があります。

新たにコーナーを設けました
シャシャンボを台木にする接ぎ木






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鉄砲虫(コウモリガなど)対策


コウモリガに接ぎ木の接合部より下で折られると被害は深刻です。


対策

雑草(特にキク科の植物で蓬など)が茂っていると被害を受けやすくなるので
出来るだけ雑草を綺麗に刈り取っておきます。

2年程度の台木に接ぎ木した場合は鉢増しの際に接合部付近まで埋める

接合部より下にアルミホイル、新聞、メデールのような接ぎ木用のセルパラテープを巻くと
被害を防げると言う報告が来ています。






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接ぎ木雑種


接ぎ木苗をある程度もって育てていると台木と穂木の接合部付近から芽が出てきてそれが
台木から出たものか、あるいは穂木からの発芽なのか迷うような場合があります。


大抵はどちらかから出ているのですが、まさに接合部のカルスから芽が出てきた場合は
どちらからのものとも決めがたい場合も出てきます。


もしかしたら接ぎ木雑種

接ぎ木の接合部からシュートが
出ました。

シュートが出ているポイントは
穂木?台木?

接ぎ木雑種

台木ティフブルーで穂木は
ブルーゴールドですが
シュートは見た目では今のところは
ラビットアイ系の様に見えます。

私の目にはB→のポイントあたりから
出ているように思えます。
今までは接ぎ木雑種と言えば
←Aのところから出るものと
思っていましたが
微妙なポイントは結構あるようです。















園芸学者さんによると
実はこういった場所から出てきた芽は細胞が混じってしまってしまう場合があるようで、
こういった状態のことを接ぎ木雑種と言うそうで多くはキメラ状になるとされています。



キメラというのは園芸学とか植物学では比較的に稀ではありますが
見かけることもあるのでちょっと説明しておきます。

 キメラというのは
ドラゴンクエスト(キメラの翼)をしたことがある人は思い出すかもしれませんが語源はキマイラというギリシャ神話に登場するライオンの頭にヤギの胴体ヘビの尻尾を持つ生物でwikiによると以下の様に説明されています。

生物学において
同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。名称はギリシャ神話に登場する伝説の生物(キマイラ)から。
近年は「キメラ分子」「キメラ型タンパク質」のように「由来が異なる複数の部分から構成されている」意味で使われることもある。

植物では
異なる遺伝情報を持つ細胞が縞状に分布するものを区分キメラ、組織層を形成して重なるものを周縁キメラと呼ぶ。
それらは成長点細胞の突然変異や接ぎ木で生じることがある。

↓此処で割と詳しく説明されているので
興味がある方は読まれると良いと思います。
No.6 花木の育種(2) 枝変わりとキメラ




接ぎ木自体も1固体に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっている(台木と穂木は異なった遺伝子情報だから)から
キメラ状態と言えるわけですが接合部のカルスからは異なった遺伝子情報を内在する芽が発生する場合があって
そういった枝のことを接ぎ木雑種と言うことになるようです。





こういった場所から出る芽はキメラ状になるばかりでなく
台木と穂木の両方の遺伝子が交じり合うこともあって実生による新品種開発の他にも
この接合部のカルスから発生した枝による新品種開発も行われているということです。



接ぎ木苗を持っている方は接合部付近から枝が出たら台木からのものか穂木からのものか
分からないから取り除いてしまうという選択肢の他にそれを伸ばして挿し木したり
その枝で実を成らせて実生苗を作るという選択肢も一応加えてみても面白いと思います。


この理論からするとラビットアイ系とハイブッシュ系の雑種は勿論可能なわけですが
特に面白そうなのがシャシャンボ台木でハイブッシュ系穂木の接ぎ木をした場合
シャシャンボとブルーベリーの種間雑種を素人でも作れるかもしれないということです。

(確立はかなり低そうだから狙ってできるというものではなさそうですが)



名前の付け方物も
同じ属のあいだで種間雑種を作った場合は、属名の後に新しい種名に×印をつけて書き、
その後に単一引用符で括った品種名を続けます。


ただし、親の形質が複雑だったりはっきりしない場合は種名を省き、
属名の後に単一引用符で囲んだ品種名だけを書きます。
 大文字で始まる属名 × 小文字の種名 '大文字で始まる品種名'
 大文字で始まる属名 '大文字で始まる品種名'
(例) Viburnum × bodnantense 'Dawn'
(例) Rosa 'Buff Beauty'
栽培育種の命名法より引用
こんな風に名前のなかに×なんかも入れられたりするみたいです。




みかんやリンゴなどでの例もあるようですがここでは野菜の一例を挙げておきます
トウガラシとピーマンの接木雑種「ピートン」





因みに発生工学の学者さんによると
キメラと雑種は全く違う概念であるとの解説もあってキメラ状の枝を接ぎ木雑種と言えるのか
疑問が残りましたがこのあたりの詳しいことは私には分かりません。
キメラと雑種は全く違う概念である




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購入先

ネットで買える接ぎ木苗業者さんのリンク

サカタのタネ

宝塚朝日園

宝塚ブルーベリー農園

那須高原ブルーベリー園

FLOWERGARDEN BLACKBAMBY

岐阜緑園

陽春園

こだわり園












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バラ