平成17年6月29日、新会社法が参議院本会議で可決成立しました。新会社法は平成18年4月1日(一部平成19年)施行予定です。新会社法はまだ関連法の整備が整っておらず、運用面での細部も現時点では不明な点が多いのですが、その骨子を纏めていますので、ご参照下さい。
高坂行政書士事務所「新会社法のポイント」参照
法人とは、組織がその目的に応じた活動をしやすくするために、法律に基づいて、人と同じように権利・義務・責任の主体となる法人格を与えられたものです。
法人ではない組織(任意団体)では、契約などに当たって、組織が当事者となることは認められておらず、誰かが組織の代表者になり、組織を代理して代表者名で契約を行なう必要があります。それに対して、法人化すると、法人名で契約の当事者となれるようになります。
法人になると信用度が上がり、税制上のメリットも大きくなります。明朗な会計処理が義務づけられており、財政状況の情報開示が必要になるなど、勝手気ままな運営はできなくなります。
法人は公益を追求するか営利を追求するかによって、公益法人・中間法人・営利法人に分類されます。
民法上の社団法人・財団法人を指しますが、非営利法人である学校法人・社会福祉法人・医療法人・宗教法人・NPO法人などもこのカテゴリーに入ります。
労働組合・協同組合などです。
一般的な会社のことで、株式会社・有限会社・合名会社・合資会社があります。
資本金1000万円以上、出資者(社員)が1名以上で設立した会社です。出資者は債権者に対して出資金以上の責任を負うことはなく(有限責任)、債権者は資本金をはじめとする会社財産を債権の引き当てにします。
資本金300万円以上、出資者(社員)が1名以上で設立した会社です。出資者は債権者に対して出資金以上の責任を負うことはなく(有限責任)、債権者は資本金をはじめとする会社財産を債権の引き当てにします。
資本金は不要で、債権者に対して個人としても無限責任を負う出資者(無限責任社員)が2人以上集まって組織した会社です。債権者は会社財産と無限責任社員の全財産を債権の引き当てにします。
資本金は不要で、債権者に対して個人としても無限責任を負う出資者(無限責任社員)と、資本参加だけで有限責任しか負わない出資者(有限責任社員)が、各1名以上集まって組織した会社です。債権者は会社財産と無限責任社員の全財産を債権の引き当てにします。 有限責任社員の責任は出資金を限度とします。
株式会社 | 有限会社 | 合名会社 | 合資会社 | |
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出資者 | 1名以上 | 1名以上50名以内 | 2名以上 | 無限責任社員有限責任社員各1名以上 |
出資者の呼称 | 株主 | 社員 | 無限責任社員 | 無限責任社員 有限責任社員 |
最低資本金額 | 1000万円 | 300万円 | なし | なし |
責任 | 有限責任 | 有限責任 | 無限責任 | 無限責任(有限責任社員は有限責任) |
役員 | 取締役3名以上 監査役1名以上 |
取締役1名以上 監査役は任意 |
全社員 | 無限責任社員 |
役員の任期 | 取締役2年 監査役3年 |
定款で自由に定める | 無期限 | 無期限 |
代表者 | 代表取締役 | 取締役(代表取締役) | 社員(代表社員) | 無限責任社員(代表社員) |
最高意思決定機関 | 株主総会 | 社員総会 | 全社員の同意 | 全社員の同意 |
平成15年2月に、ベンチャーなどの起業を支援するための中小企業挑戦支援法が施行され、この法律により、特例として設立から5年の間に限っては資本金を準備しなくとも有限会社や株式会社を設立できることになりました。
この制度を使って設立した有限会社・株式会社は、正式にはそれぞれ確認有限会社・確認株式会社と呼びますが、極端な話、資本金1円からでも設立できるので、1円会社と呼ばれています。
1円会社は、設立から5年後には、有限会社の場合は300万円以上、株式会社の場合は1000万円以上の資本金を準備して、普通の有限会社・株式会社になる必要があります。5年後に資本金が準備できない場合は、組織変更して存続させるか、解散しなくてはならないことになっています。
なお、中小企業挑戦支援法は期限を設けた法律なので、この制度の利用するには平成20年3月31日までに申請する必要があります。
高坂行政書士事務所「一円会社設立」参照
LLP(Limited Liability Partnership)とは、2005年8月1日から施行された「有限責任事業組合契約に関する法律」によって制度化された組織です。名称にも含まれているように、LLPの特質は、組合員が無限責任を負うと規定されている民法上の組合に、株式会社の有限責任の考え方を取り入れたことです。LLPの債務に関して、組合員は、原則として出資金額以上の責任(リスク)を負う必要がありません。その代わり、債権者を保護するために、財務データの開示や債務超過時の利益分配の禁止などが定められています。
株式会社との相違点は、LLPでは組織の運営に当たっての内部自治(組織や権限、利益分配のシステムを自由に決定できること)の徹底が図られているところです。最も基本的なものとしては、出資比率に応じた利益分配とは異なる基準で利益分配の割合を決められることが挙げられます。たとえば、金銭の出資ではなく、特許権などの知的財産や労務などの提供に応じて分配を受けられることを定められますので、その特性を活かし、産学連携を始め、様々なタイプの共同事業展開が可能になります。LLPはベンチャー・ビジネスにも適した形態です。
もう一点、株式会社との相違点として、構成員課税があります。構成員課税とは、税法上、LLPの利益には法人税が課されず、利益が組合員に分配された段階で個々の組合員に課税されるという仕組です。LLP事業で損失が出た場合は、その損失の組合員個人の負担部分は、組合員にLLP以外の事業で所得があれば、定められた限度内でそこからLLPの赤字を引いて損益通算することができます。
また、株式会社は1人でも設立できますが、LLPは組合なので最低2人の組合員が必要です。出資金額には下限がなく、1人当たり出資金1円から設立できます。従って、LLPの最低出資金額は2円ということになります。設立には、登記の登録免許税に6万円が必要で、書類の審査期間として1週間程度かかります。
経済産業省「経済法制・組織法制」参照
株式会社に出資して、会社が発行する株式を購入した出資者のことです。出資者は、株式の購入後権利割当日までに名義書換の手続きを行なえば、株主の権利を行使することができるようになります。証券会社の保護預り制度と保管振替制度を利用する方法もあります。
・株主総会へ出席し決議や提案する権利
・配当を受ける権利
・株主優待
・増資に当たって新株を引き受ける権利
・会社の解散時に残余財産の分配を受ける権利
会社が倒産したときは出資金は戻ってきませんが、「有限責任の原則」と言って、株主個人の財産については追求されず、株主の責任は出資額に限定されます。
株式とは株式会社が発行する出資証券(株券)のことで、株式会社における株主としての権利を表わします。株式を所有し株主になるということは、企業に出資して、株主総会を通じて経営に参加することです。
株主に与えられる権利が限定されていない標準的な株式。
利益配当などで普通株式より優先的な取扱いを受ける株式。
利益配当などで普通株式より劣る取扱いを受ける株式。
発行会社が利益で買戻して償却する予定の株式。資金調達に使われます。
会社が権利内容が異なる数種類の株式を発行している場合において、他の権利内容を有する株式へ転換できる株式。
社債とは株式会社が資金調達のために発行する債券です。
株式と社債の違いは、株式は償還がなく投資資金は出資者が売却しない限り戻らないが、社債は、売却以外に発行会社が償還日に投資家に償還金(債券の額面)を返す義務があるので、倒産などが起こらない限り戻ってきます。社債の利子は通常発行時から償還時まで一定ですが、株式の配当金は会社の業績によって左右されます。
社債には、普通社債・新株予約権付社債があり、新株予約権付社債には、発行時に決められた条件で株式への転換が可能な転換社債・一定の行使価格で株式が買える権利(ワラント)が付いている新株引受権付社債(ワラント債)があります。
株式会社において、株主総会で選任され株主から経営を委譲された者です。取締役会に参加し会社の業務執行に関する意思決定や監督を行ないます。株式会社には取締役を3名以上選任しなければなりません。有限会社では、会社の代表を言います。
取締役会で取締役の中から選任され、会社を代表して経営の主体となります。株式会社には必ず代表取締役が1名以上いる必要があります。
株主総会で選任され、取締役の職務執行を監査します。業務監査と会計監査を行ないます。
資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の会社は、監査役3名以上のうち社外の人間による1名以上の社外監査役の選任が義務づけられています。
上場とは、証券取引所が証券取引所である企業の発行する有価証券を売買することを承認することを言います。
証券取引所が上場を承認する基準です。証券取引所には東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所などがあり、一部・二部などの上場区分があります。取引所は上場区分ごとの基準を設けており、一部は最も厳しい審査基準が課せられています。
日経平均とは、東京証券取引所の第一部上場銘柄のうち、代表的な225の銘柄を対象とした株価指数日経225のことです。株式市場の指標として最も代表的なものです。長期間にわたる継続性が維持されていて、権利修正により構成銘柄の成長性を的確に反映します。 日本経済新聞社が算出しています。
東京証券取引所第一部の時価総額を基準日(1968年1月4日)の時価総額で割り、それに100を掛けて算出されます。日経平均とならんで代表的な指標で、東証一部のすべての銘柄の動きを示しています。東京証券取引所が計算しています。
公開買付(TOB)とは、会社の経営権の取得や強化のため、不特定多数の株主に対して目的・取得株価・取得予定株数・取得期間などを公表して有価証券市場外で株式買取りの勧誘を行なうことです。総株主の議決権の3分の1を超えるような株式の買付を市場外で行なう場合は、証券取引法で原則として公開買付によることとされています。
TOBは公表した買付価格で買うので市場価格に左右されず資金計画が容易で、買付予定数の株式が期限までに集められなかった場合はキャンセルすることができるので、少ないリスクで行なうことができます。買収対象会社の取締役会の賛同を得ないで行なうTOBを敵対的買収、協力的な場合を友好的買収と言います。
International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称。国際標準化機構は、工業分野における国際的な標準規格の策定を目的に、1947年に設立された国際機関です。IOSではなくISOと言うのは、ギリシャ語のisos(平等)に由来します。
これまで策定されたISO規格は1万件以上にのぼり、日常的に目に触れるものでは、写真フィルムの感度、クレジットカードの寸法、非常口のシンボルマークの規格などがあります。
ISOには、製品規格以外に企業の管理システム(マネジメントの仕組)というソフト面の規格もあります。1987年に品質マネジメントシステムについてのISO9000シリーズの規格が策定されたことを画期として、ISOの名が広く知られるようになりました。その後、1996年には環境マネジメントシステムについてのISO14000シリーズの規格が策定され、こちらも有名です。
ISO9001やISO14001を取得するためには、審査機関の適合性評価を受け、認証されることが必要です。ISO取得のメリットとしては、外部的には社会的な評価・信用が得られること、内部的には品質や生産性の向上、モチベーションの増加や社内の意識改革など企業の体質強化・体質改善につながることなどが挙げられます。
ISO認証の有効期間は3年間で、更新時には更新審査を受けます。また、その期間中も認証を維持するために、半年または1年ごとに定期審査(サーベイランス)を受け、システムが有効に機能していることを証明して行く必要があります。
ISO9001とは、1987年に制定された品質管理と品質保証のための国際標準規格です。この規格を取得するには、組織が製品やサービスを顧客に継続して供給するために必要なマネジメントシステム(QMS)を備えており、かつ実際に適切にそのシステムを運用していると、審査資格を有する第三者機関から認定されることが必要です。これを取得した組織は、国際規格に照らしてマネジメントシステムが一定の水準に達していることを認められます。
組織の活動が環境に与える負荷を低減することを目的として策定された規格です。ISO14001を取得するには、組織自身が環境マネジメントシステム(EMS)を構築したことを第三者機関から認定される必要があります。EMSは、組織が自らが環境に与えている影響を自己分析し、それを改善し維持管理していくための目標・計画の作成・訓練・実施・問題発生時の処理方法などを体系化したものです。
1998年に財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)が創設した、個人情報に関して適切な取り扱いをしている組織に付与される認定制度です。プライバシーマーク(Pマーク)の認定を受けられるのは、個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラムの要求事項(JIS Q15001)に準拠している事業者で、有効期間は2年間です。平成17年4月1日に個人情報の保護に関する法律が全面施行され、個人情報を取り扱う事業者が個人情報保護の義務を負うこととなったため、プライバシーマークの重要性は増しています。
収入と支出を毎日記録して月末(年末)に集計し、入金額と出金額の差額から残高を把握する方法です。家計簿などは単式簿記で記録したものです。
単式簿記とは異なり、結果だけでなく原因にも着目した記帳方法で、仕訳と呼ばれる方法を使って取引を借方と貸方に同一金額を記入することで、組織的に記録・計算・整理します。複式簿記で記帳することで財産と損益の計算を同時に行なうことが可能になります。
貸方には、資本金・負債・収益に関わる勘定科目を、借方には資産・費用に関わる勘定科目を記載します。すべての仕訳は借方・貸方の両方が増加する取引、借方・貸方の両方が減少する取引、借方勘定科目の中での増減、貸方勘定科目の中での増減、の4種類に分類できますが、いずれの場合も、借方の合計と貸方の合計は同一金額になります(同一にならないときは単純な計算間違いか、仕訳のやり方が間違っているということです)。
このうち一定時点での財政状況(資産や負債の残高・ストック)を表わす資産・負債・資本金は貸借対照表に記載し、一定期間の営業成績(利益や損失・フロー)を表わす費用・収益は損益計算書に記載します。
現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券・建物・土地など貸借対照表の借方に記載されるものです。
支払手形・借入金・買掛金など貸借対照表の貸方に記載されるものです。
資本金・資本剰余金・利益剰余金など貸借対照表の貸方に記載されるものです。
仕入・人件費・水道光熱費・交際費など損益計算書の借方に記載されるものです。
売上・資産売却益など損益計算書の貸方に記載されるものです。
バランスシートとも言い、一定時点における企業の財政状況を明らかにするための資料です。企業の「資産」と「負債」「資本」を対照することで、財政状態を明らかにします。貸借対照表の借方(左側)には「資産の部」、貸方(右側)「負債の部」と「資本の部」を配置し、借方の金額の総計と貸方の金額の総計とは等しくなるように計算されていて、利益が出ているか、赤字なのかがわかるようになっています。
借方(左側)は資金の運用状況を示しています。借方には「資産の部」を配置します。現金などの流動資産・不動産などの固定資産・支出した効果が将来に及ぶ開発費などの繰延資産に大別できます。損失が出た場合は当期純損失として借方に表示します。
貸方(右側)は資金の調達状況を示しています。貸方には「負債の部」と「資本の部」を配置します。「負債の部」は他人資本とも言い、銀行などから借入金として調達したもので、おおむね1年以内に債務の履行が必要な流動負債・1年を超える固定負債に大別できます。「資本の部」は自己資本とも言い、資本金・法定準備金・剰余金に大別できます。利益が出た場合は当期未処分利益として貸方に表示します。
一会計期間の収益(収入)と費用(支出)の明細を記載し、純利益または純損失を算出した書類のことです。収益と費用が等しく損益が0になるポイントを損益分岐点と言います。貸借対照表は一定時点の財政状況を表すものですが、損益計算書は一定期間の営業成績を表します。収益(収入)と費用(支出)の内容を把握し、利益や損失の理由を示します。
売上から売上原価を差し引いた粗利益。
売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた利益。損失が出た場合は営業損失という。
営業利益(営業損失)に営業外収益(利息や配当金など)を加え、営業外費用(利息や有価証券評価損など)を差し引いた利益。損失が出た場合は経常損失という。
固定資産の売却などにより特別に発生した利益。
経常利益(経常損失)に特別利益を加え、特別損失を差し引いた利益。損失が出た場合は税引前当期損失という。
税引前当期利益(税引前当期損失)から法人税および住民税を差し引いた利益。損失が出た場合は当期損失という。証券取引法では当期純利益(当期純損失)という。
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