Sound by each band width

  • フルレンジでの音
    マイクが拾った音を帯域制限せずそのまま収録した時の音です。
    下のチャートが示す通り、10kHz以上の領域にも音声成分(エネルギー)があるため、音の細部まで良く聞こえ臨場感があります。
    日常生活で聞いている音そのものなので当然といえば当然ですが....。
  • 高い周波数成分がカットされた音(SSBの音)
    SSBでは、3kHzから上の成分がフィルターでカットされます。低域はそのままで、高域成分が無いとどのような音で聞こえるのか。
    上記フルレンジの音をソフトフィルタを使って、3kHz以上の成分をカットしたのが次の音源です。(実際にはFc=3.2kHzです)

上記MP3 fileを聞くと分かるとおり、3kHz以上の領域がカットされると、高域成分が喪失する分、低域が相対的に勝ってしまう為、音がこもって聞こえます(注1)。 これはSSBが元来、背負っている宿命であり、また、それこそが音創りの出発点でもあります。 3kHzという帯域の制限の下、バランスが崩れてしまったこの音をどうやったら生の音に近づけられるか、その為の試行錯誤や実験プロセスが音創りの楽しみなのです。 
 ま、音に興味のない方にとっては、どうでもよい事でしょうが、このHPをご覧になっている方は少なからず音に興味を持っていると思いますので、一緒に考えてゆきましょう。

(注1)
旧来のフィルタ方式のSSB送信機では、キャリアサプレッションや、サイドバンドサプレッションの問題から、300Hz以下の領域を急峻にカットしていました。そのため低域成分が弱まった分、相対的に音のバランスがとれ、上記ほどこもった感じには聞こえませんでした。 しかし、100Hz以下まで低域が出せるDSP機の登場により、低域のレンジが拡がった分、逆に高域側を持ち上げてやらないと音のバランスがとれないという事態が生じるようになりました。 一方、低域と高域だけブーストすると相対的に中域のゲインが弱まるため、声が引っ込んだ感じに聞こえるなど、3kHzの帯域をフルに使えるDSP機が主流となった時代になり、新たな難しさも生まれてきました。 それが故の『音創り』なのであります。

  • 送信帯域(Band Width)による聞こえ方の違い
    送信帯域により音がどのように変わるのか、実際に電波を出して受信した時の音声サンプルです(Tx: FT DX 9000)。当然ながら帯域の広い方が質感があります。
400-2600Hz 300-2700Hz 200-2800Hz 100-2900Hz 50-3000Hz 3000WB

コラム
昔の無線機の標準的な送信帯域は、300~2700Hzでしたが、今にして思うと、
①明瞭度 ②質感 ③逆サイドバンド成分の阻止という観点から実に絶妙な帯域幅だったと思っています。『無線通信』において了解度、明瞭度は最も重要視される要素ですから、その意味で300~2700Hz(帯域幅2400Hz)はベストな選択でした。

ただ、この帯域ではどんなマイクを使っても音質に大きな差は生じません。帯域が狭いからです。更に低域を出したり、全体の質感を高めるには、やはり送信帯域を(合法な範囲内で)広げることが先決です。 ただ、闇雲に帯域を広げただけでは、簡単にいい音にはなりません。 
それに幾ら頑張って自慢の(?)音創りをしても、相手が狭い受信帯域で聞いていたら、その苦労は報われません。その意味で、音創りは自己満足、独りよがりの趣味なのであります。 ただ、頑張った結果、相手局に音を褒めてもらうと素直に嬉しいものです。