遊 旅人の 旅日記

2003年8月3日(日)晴れ

柏崎から大潟町へ
AM5:25出発。上越市に向かって歩くのだが、少し距離が長いため、<大潟町>で一泊する。

昨日歩いてきたR116は、柏崎市内に入る手前で長岡方面から来るR8に合流して、ここではR8になっている。
柏崎市街から ズーッと下ってきた道が 今度は長い上り坂になる。
二時間ほど歩くと、鮮魚センターや、色々な物をコレクションしたミュージアムの看板が立ち並ぶ きらびやかな通りにでる。柏崎市牛が首岬
コレクションロードを過ぎ、さらに歩いてゆくと、橋がある。歩道がついていない。車の通行に注意をしながら橋を渡り始める。橋の欄干越に下を覗くと深い谷になっている。目がくらみそうな高さである。はるか下の谷底には道路、畑があり、民家がある。すでにこのあたりは米山山が海に落ち込んでいる、山の中腹になっているのだ。


山が海に迫ってきている所のR8はトンネルになっている。その海側の先は岬になっている。トンネルを避けて岬を廻る。
<牛が首>と言う岬がある。牛を後ろから見た姿に似ているということから付けられた名前と言う。
その岬の付け根に入り江があり、崖のはるか下の、きれいな砂浜で二家族ほどが海水浴をしている。入り江になっているため波はほとんどなく穏やかな浜辺だ。
しばらく入り江の砂浜で遊んでいる人たちを見ていると、一台のワンボックス車が私の側で停まる。海水浴に来た家族である。車から降りて来て私と同じように入り江の砂浜を覗き込む。さらに もう一台の車が来て止まる。やはり海水浴に来た家族が車から降りてきて、同じように入り江を覗き込む。
最初の家族が下の砂浜の家族と話を始める。話を始めるといっても距離は優に100mはあるだろう。しかし入り江の崖に囲まれた静かな場所のため声がよく通り はっきりと聞こえる。
周りを見渡しても砂浜まで降りてゆく道が見当たらない。どこから降りたのか聞いているのである。
上下で話している人たちのやり取りを跡にし、立ち去る。しばらく歩くがまだ話し声が聞こえる。振り返ると牛が首岬の姿がよく見える。月山にも、山頂小屋から湯殿山に行く途中に牛首と言う場所があった。


ふたたびR8を歩き、トンネルの手前のパーキングスペースで小休止。やはりトンネルを避け岬を回って行くと、R8に出る手前で、目の前に米山山が現れる。
柏崎市米山山下り坂になったR8を快調に歩いてゆくと、右方面<米山市街、海水浴場>の案内がある。案内にしたがって鋭角に戻るような下り坂の道を歩いてゆくと小さな川があり、子供達が遊んでいる。


通りの前方を見ると民家が途切れ山に登っている。道を間違えたと思ったが、庭先で掃除をしている中年の男の人に芭蕉の泊まった宿 
<たわらや六郎兵衛>のことを聞いてみると、少し先を指差し、たわらや六郎兵衛の宿の跡を教えてくれる。
話好きの人で、米山町が出来た由来、
<鉢崎(はっさき)>の地名のことなど色々と話してくれる。役所の教育委員会の人か先生のようだと勝手に判断をする。お礼を言って、宿の跡に向かう。
大きく
<たわらや跡>と書かれた木の案内柱としっかりとした案内板が設けられている。
<たわらや>は、この鉢崎の地で代々庄屋を勤めた旧家で、街道の馬宿も営んでいたと説明されている。
もと来た道を戻りR8に出る。米山駅で小休止しながら、よく<たわらや>跡が見つかったものだと自分でも感心する。
AM10時前と言うのに今日一日終わったような気分になってしまう。


まだ今日の行程の中間地点までも歩いていない。真夏の太陽が照り付けているし暑さもこれからが本番だ。気を引き締めて歩こう。
柿崎町に入り、中学校の入り口の木陰で小休止。木々を通してくるそよ風が心地よい。ついうとうととしてしまう。R8に別れを告げ旧道に入る。
太陽ががんがん照りつける炎天下でも、旧道には、家並みがあり、木陰があり、人々の生活がある。車の通りの激しい国道を歩くよりも安心して歩くことが出来る。
柏崎市米山町(鉢崎)芭蕉宿泊の宿<たわらや六郎兵衛>跡

通り沿いに食堂を見つけ入る。おかみさんが出てくる。私の姿を見て、冷たいものがいいだろうといって冷やし中華を進めてくれる。メニューを見るが何処にも冷やし中華など載っていない。ありがたい。
話好きの女将さんで、私が<奥の細道を歩いおり、大垣まで歩いてゆく予定>と話すと、娘さんが大垣に住んでいるという。
世間話をしている間に六人ほどの家族連れが入ってくる。一期一会の縁を大事にしたいと言って、新しく入ってきた客の方に向かう。店を出ると通りまで出てきて見送ってくれる。


生気を取り戻し、歩き始める。右手に松林を見ながら歩いて行くと大潟町の<鵜の浜>の海水浴場に着く。ここは<鵜の浜温泉>と言う温泉場でもある。大変な賑わいだ。
宿に電話をすると、すぐ近くである。宿に向かう。まだ二時半であるが、チェックインさせてくれる。部屋に入りしばらく休んで体の熱と疲れを取る。小休止した後、海水浴場に行ってみる。
浜辺の手前に松林があり、林の中に散策路がある。松林を渡ってくる風の音を聞きながら東屋で休む。そよ風が心地よい。
宿に戻るとフロントの女性が、もう少しすると海水浴の家族が戻ってくるから、早めに風呂に入ってくださいと親切に教えてくれる。風呂からあがってくると家族連れがにぎやかに戻ってくる。
夕食時の食堂は、海水浴の家族連れで大賑わいだ。
明日は、上越市(直江津)まで歩く。曾良が
<今町>といっているところである。距離は短い。朝はゆっくりで良い。朝食をとってから出発しよう。
曾良日記
申ノ下剋、鉢崎至、宿たわらや六郎兵衛。
○ 六日 雨晴。鉢崎ヲ昼時(立)、・・・
俳聖 松尾芭蕉・芭蕉庵ドッドコム

柏崎市公式ホームページ