遊 旅人の 旅日記

2003年8月26日(火)雨・曇・晴・雨

(今日の画像は文と関連ありません)

塩津浜から長浜へ
五時少し過ぎ、出発の支度をして食堂に下りてゆくと、すでに女将さんは忙しく朝食の用意をしている。
「いくら食べても良いよ、セルフサービスだよ」と言われる。自分で好きなだけ盛って食べる。
大きな釜の炊きたてのご飯、大きな鍋の作りたての味噌汁は美味い。腹いっぱい食べる。
テレビの天気予報が、今週一週間はあまり天気は良くないと報じている。
外を見ると今にも雨が落ちてきそうな空模様である。


AM5:40出発。R8に出ると、まもなくトンネルがある。まだ新しい。歩道もついている。安心して歩く。トンネルを出ると
<木の本町>である。曾良はこの<木の本>に泊っている。
ポツポツト雨が落ちてくる。海水浴場の休憩所でリュックにカバーをかける。
少し歩くと再びトンネルがある。こちらも歩道はついている。賤ガ岳トンネルである。
<賎ガ岳>と言えば秀吉が柴田勝家を破った歴史上有名な<賎ガ岳の合戦>の場である。活躍したのは、加藤清正、福島正則など七人、<賎ガ岳の七本槍>の武将達である。福島県三春の滝桜(2006年4月撮影)


トンネルを出ると本降りになっている。交通量の多いR8を避け、一本琵琶湖よりの地方道44、川沿いの道を歩く。
しばらく歩き、道路脇の神社で小休止。道路の向かい側にはディーゼルエンジンで有名な会社の工場がある。
寒い!暖かい飲み物で暖を取る。
100mも歩かないうちに、土砂ぶりの雨になってくる。バケツをひっくり返したと言うよりもプールの水をひっくり返したような降り方になってくる。風も猛烈に吹いてくる。
前方の山に横殴りの雨の縞模様が出来ている。雨と風で、前にも後ろにも動けなくなってしまう。
縞模様を作っている山にトンネルが見える。長浜までトンネルはないはずだと思いながら、立ち往生の状態で、びしょぬれになった地図を確認する。トンネルは琵琶湖の湖畔を通る道である。晴れていれば湖畔の道を歩くのも良いがこの土砂降りの雨では出来るだけ短いルートを歩きたい。
後ろ2km、前方1km程は何もない田圃の中である。方向感覚も狂ってしまいそうだ。
左手 はるか彼方の田圃の中に学校のような建物が霞んで見える。田圃の中の道を、その建物目指して歩く。
全身びしょぬれ。傘は有ってもなくても同じだ。学校である。人影は見当たらない。無断ではいるのはよくないと思ったが、体育館の軒下で休ませてもらう。
今歩いてきた道と交差する道の左右それぞれ300m程のところに標識が見える。方角と地名を確認しに標識まで戻る。雨が降っても風が吹いても先に進まなければならない。土砂降りと強風の中、川のようになった道を歩く。
ところどころに、木で出来た手作りの小さな標識が見られるようになる。
その手作りの標識を見ながら、一時間半ほど田んぼの中の道を歩き、いくつかの集落を過ぎると<びわ町>に入る。
手作りの標識のおかげで迷わず歩くことが出来た。


福島県三春の滝桜(2006年4月撮影)雨が小降りになってくる。集落の片隅の<富田人形会館>と言う建物の軒先で休憩。
暫く休んでいると一台の車に乗った30才位の男性がやってくる。次にカジュアルな服装の体格の良い外国人が歩いて現われる。二人が話を初める。外国人は学校の先生のようだ。
生徒達とドライブに行く計画をしていたようである。
時間が過ぎても誰も来ないと、外国人はしきりに心配をしている。日本人が慰めている。しばらく待っていたが誰も来ない。とうとうドライブは中止に決まった。日本人が夕方一緒に食事をしようと提案しドライブの話は終わる。
二人の関心が私に向いてくる。<奥の細道>を歩いて来て今日は土砂降りの雨に合ってしまった。今、休憩を取っているところだと話す。日本人が「彦根には、芭蕉の泊った家、句碑が有るから是非行ってみてください。」と言う。
外国人も芭蕉の話がわかるようだ。日本語を上手に話している。

日本に来る、また滞在している外国人は日本語の会話を覚えるのが早い、他国語を覚えるのに抵抗がないのだろうか。努力の差なのだろうか。
日本人は外国語を覚えるのが苦手なように思う。


二人に別れを告げ、雨のあがった集落をふたたび歩き出す。
体温と時速4kmの風で衣服は瞬く間に乾いてくる。
びわ町の役場に寄り、久しぶりに血圧を測る。(120-80-43)。
役場を出てR8を歩く。真夏の太陽が顔を出し、猛烈に暑くなってくる。
今日は朝方、肌寒く、今は真夏の太陽が照り、夏と冬、それと台風が同居しているような一日である。
コンビニで小休止。建物の陰で水分を補給しながら休んでいると、やはり日陰で話をしていた高校生位の三人の若者が「頑張ってください」と日焼けした顔で言いながら、立ち去ってゆく。


R8から市内に入る。町並みを歩いてゆくと右・長浜駅、左・市役所の標識がある。市役所方面に進む。
庁舎内は市民で混雑をしている。春の会津磐梯山(2006年4月猪苗代湖畔より撮影)
血圧計を見つけ近寄ると、体重計がある。パソコンのバックを置き、リュックを背負ったまま体重計に乗ると73.2kgである。裸で測ると50kg程だから、リュックの重さは、およそ20kgである。
旅に出てから、やっとリュックの重さを測る機会がやってきた。けっこう重いものを背負って歩いてきたのである。パソコンのバックの重さは4.1kgであった。合計24kg程の荷物を持って歩いてきたのである。
今では多少重くても軽くても歩くのにあまり問題はない。
市役所を出てホテルに向かう。ホテルのフロントマンに歩いて旅をしていると話すと羨ましがれる。ひとしきり旅行の話で盛り上がる。
外はふたたび雨が降ってくる。
汗と雨にまみれた衣類をホテルのコインランドリーで洗濯をする。夕食は隣のレストランで済ます。明日は彦根だ。
曾良日記
一 十二日 少曇。木ノ下ヲ立。午ノ剋、長浜ニ至ル。
俳聖 松尾芭蕉・芭蕉庵ドットコム

長浜市公式ホームページ