遊 旅人の 旅日記
敦賀市から塩津浜へ |
今日は<木の本町>の手前、<塩津浜>まで歩く。 旅館が取れなかったのだ。木の本町で花火大会があるということで周辺四町のほとんどの旅館が一杯であった。 そのため手前の西浅井町の塩津浜に宿をとったのである。距離もおよそ20kmと短い。 チェックアウトをした後、フロントマンにデジカメで旅姿の映像を撮ってもらう。 AM5:30出発。八月も末になると、この時間まだ薄暗い。 R8を長浜方面に歩く。上り坂を暫く歩く。山が開け広く整備された道になる。 大きなY字路の交差点の手前のコンビニで小休止。リュックを下ろして休んでいると、店長がやってきて話掛けてくる。お互いのことで30分程も話し込んでしまう。店長に励まされ出発。 大きなY字路は疋田交差点で、右は琵琶湖の西岸の道、左は長浜、彦根方面に行く道R8である。R8を歩く。両側を緑に囲まれた気持ちの良い道である。 視界が開け峠の頂になる。右側に<孫兵衛茶屋>と言う萱葺屋根の食事処がある。まだ朝早く、店は開いていない。リュックを下ろし休憩を取る。暫く休んでいると店の人たちが出勤してくる。 「おはようございます。ちょっと休ませてもらっています。」と言うと、「どうぞ」と言いながら店の中に入ってゆく。すぐに店の周りの掃除を始める。 出発しようとリュックを背負いながら、<福滋県境 孫兵衛茶屋>と書かれた木柱の横にある石碑に目をやると<芭蕉>の文字が刻まれている。一段高くなっている、石碑の前に急いでゆく。 <芭蕉翁と西村家>西村家は芭蕉とゆかりが深く<おくのほそ道・素竜本>を秘蔵していると書いてある。 私の手引書<奥の細道>には<素竜清書本は福井県の西村家蔵>とだけ書いてある。その西村家のことが書いてある。ドキドキしながら繰り返して碑文を読む。掃除をしている女性に尋ねると、<この店は西村家の店で、店内に素竜本のレプリカが展示してある>と言う。また西村家の自宅も教えてくれ、庭に句碑があるという。 店に入り、オーナーの西村さんに、「奥の細道」を歩いているもので、句碑を見せて欲しいと言うと快く「どうぞ」と快い返事が返ってくる。早速、西村家に向かう。 門を入ったところと庭の奥に真っ白な大型犬がいる。入り口の犬(プロローグの犬)はすぐになつくが庭の奥の犬は猛烈に吠え続ける。 植え込みの中に石碑が建っている。何が書いてあるかわからない。庭を一通り歩かせていただいたが、ほかに句碑らしいものは見当たらない。 石碑と犬をデジカメに収め茶屋に戻る。 店に戻ると店の人は皆大忙しである。迷惑にならないように店内に入ってゆく。 奥にあるウィンドウの中に<国指定重要文化財 おくの細道素竜清書本>のレプリカが展示されている。お許しを願いカメラに収める。丁重にお礼を述べ西村家の孫兵衛茶屋を後にする。犬はまだ吠えている。 福井県の最後にものすごい物に出会ってしまったと感激に浸りながら滋賀県に入る。 下り坂をしばらく歩き集落に入ると、小高いところに<近江塩津駅>がある。 外観は古民家を模した土産物店のようである。<海道・あぢかまの宿>とある。 旧塩津街道の宿場にあった宿を再現したのであろうか。 改札の向こうはトンネルになっている。トンネルの先にプラットホームがあるようだ。線路は随分と高いところを通っている。 しゃれた駅舎を後にして宿に向かう。コンビニで小休止。宿に電話をし場所を聞くと直ぐ近くだ。 宿に着くと女将さんが大きな声で迎えてくれる。すぐ近くに<琵琶湖>があると言うので、部屋にリュックを置いて出かける。宿を出てR8を横切るとすぐに琵琶湖に出る。ここは琵琶湖の最北端である。R8に戻り長浜方面に行くとこちらも湖畔に出る。 昔の街道の俤を残す<塩津街道>を通って宿に戻る。ところ所に街道また建物の説明が書かれた案内がある。 宿に戻るとお上さんから今夜、木の本の花火大会に一緒に行かないかと誘われるが丁重にお断りをする。 食事が済むと、女将さんたちは数人の宿泊客を連れてマイクロバスで花火大会に出かけてしまう。宿はひっそりとしてしまう。一人残された静まりかえった宿で眠りに入る。明日は長浜まで行く。 |
曾良日記 |
巳ノ上刻、ツルガ立。午ノ刻ヨリ曇、涼シ。申ノ中刻、木ノ本ヘ着。 |
俳聖 松尾芭蕉。芭蕉庵ドットコム 敦賀市公式ホームページ |