遊 旅人の 旅日記
高岡から小矢部へ |
AM 4:30起床。外はまだ真っ暗だ。満月に近い月がきれいに見える。まだ8月半ばと言うのに、この時間こんなに暗かっただろうか。 今日は<小矢部>まで歩く。倶利伽羅峠を越えてしまおうかと考えたが、安全を期し手前の小矢部で一泊する。 小矢部までの距離は短い。 AM5:45出発。加賀藩二代藩主<前田利長>の菩提寺である、<瑞龍寺>に向かう。高岡駅南口からまっすぐ伸びる道を歩いてゆくと、交差するきれいな道がある。石畳の道で両側には石灯籠が並んでおり松の木が植えられている。瑞龍寺への参道である。この参道は瑞龍寺と反対側にある前田利長の墓所をむすんでいる。距離が八町あることから<八町通り>と呼ばれている。よく手入れの行き届いた、きれいな参道である。 その参道を瑞龍寺に向かう。沢山の人が、散歩や、ウォーキングをしている。 まだ朝早く、門が閉まっており中には入れない。 加賀藩三代藩主前田利常が利長の菩提寺として建立し。国宝に指定されている。 大きな門、高い塀、植栽に囲まれており、中はほとんど見えない。周囲をぐるっと廻ってみたが何も見えない。 あきらめて瑞龍寺を後にする。 元の道に戻り、小矢部に向かう。 町並みを出ると、田圃、畑また住宅団地、工業団地の造成地のようなところを歩く。大きなショッピングセンターがある。遠くには工業団地、大きな公共の建物のようなものが見える。 R8に出るには右方向に進まなければいけない。幸い交差する新しい道路が出来ている。まだ出来たばかりの道路のようだ。線路を越すため陸橋になっている。 歩道はないが路側帯が広く設けられており安心して歩くことが出来る。 陸橋の頂上付近で、心地よい風に吹かれ、まわりの景色を眺めながら歩いていると、後ろからパトカーが来て私の横に停まる。中には50才と30才位の警察官が二人が乗っている。助手席の年配の警察官が、いきなり「こんなところを歩いてはだめだ。」と昔の漫画のおまわりさんよろしく<おい!こら!>口調で注意をしてくる。「どうしてですか?」と聞くと「危ないからだ!」と言う。私が「この道路は自動車専用道でもないし、路側帯も広く安全だ。歩行者は通行してはいけないと言う標識も無い。」と言うと、とにかく危険だから歩いて通行してはだめだと言う。パトカーは と言うと道路の真中に停めて私と話をしている。他の車の通行の障害になっている。陸橋の下までパトカーに乗せてゆくと言う。私は断るが、どうしても乗れと言う。他の車の通行のこともあり、やむを得ずパトカーに乗り込む。車内で道路交通法について少しやり取りがあった後、<奥の細道>を歩いていると話すと途端に愛想がよくなり丁寧な言葉使いになる。陸橋を下りたところで早々に下ろしてもらう。 パトロールをしている警察官としては、お粗末な道路交通法の知識だ。 暫く警察官に腹を建てながら歩くが、良い天気が不愉快さを拭い去ってくれる。 AM 8:00 西高岡駅で小休止。上下二本の列車が入ってくる。通勤通学の乗降客が通り過ぎる。 待合室の中では二家族、6人ほどのお年寄りを含めた人たちが駅員と列車の乗り換え、時間などの話をしている。氷見まで行くようだ。 私は水分を補給しながらぼんやりとその会話を聞いている。<随分遠くまで行くんだ。大変だ。これから何時間掛けて氷見まで行くんだろう。>と考えている。 水分の補給が終わり、その人たちの会話を駅に残し、歩き始める。そして駅で話していた人たちのことを改めて思い出す。 今、私が歩いているところは、富山県の高岡なのだ。先ほどの人たちが行く氷見もまた富山なのだ。ここからはそんなに遠くはない。 私は自分が桐生に、また関東地方にいると錯覚をしていたのである。 R8に出て小矢部に向かう。真夏の太陽の下、暑くなってきたが風は涼しい。 小矢部市役所に到着。商工観光課に行き、芭蕉の足跡を訪ねる。パンフレットと地図で説明してくれる。 <倶利伽羅峠>である。倶利伽羅峠の旧北陸道は小矢部市の歴史の道に指定されている。観光地としても紹介されている。 明日、小矢部を発ち、倶利伽羅峠を越え、金沢に行く行程を組んでいるため、今日は市内を散策するに留める。 今宵の宿に向かう。まだかなり時間は早いが、チェックインさせてくれる。話好きの女将で、同じ建物にテナントとして入っている事務機のオフィスの女性と三人で一時間半近く話し込む。奥の細道の話では<最終地、大垣に着いたときは大変な感動をするだろう>と言って、私よりも女性二人が感動してしまっている。 荷物を部屋に置いて出かける。 小矢部市の中心にある駅は<石動(いするぎ)駅>である。町を一巡りしてホテルに戻る。明日は峠越えだ。 今日は雲ひとつ無い良い天気にもかかわらず、明日の予報は雨。大雨にならなければ良いがと祈りながら、早めに床に就く。 |
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