遊 旅人の 旅日記
黒部市から滑川まで |
AM 4:30起床。明るくなった空に晴れ間が覗いている。天気は大丈夫そうだ。台風の通った跡だけに注意をして歩かなければならない。テレビをつけてニュースを見るが被害の報告はない。富山まで歩けるかも知れないと考えながら出発の準備をする。 ホテルの窓口に行くと、オーナー兼管理人のおばさんが、廊下の掃除をしている。 私の姿を見て色々と話しかけてくる。「奥の細道」を歩いていると話すと、感心をされ、自分も75才になるが旅行が好きで、今でも一人でよく出かけるという。30分余も話してしまった。 AM 6:00宿を出る。外はどんよりとした蒸し暑い空気におおわれている。昨日の宿の女将も、今日の宿のオーナーも「台風が来ると暑くなる。」と同じ事を言っていた。本当に暑い。むっとした暑さだ。まだ早朝だというのに、汗が噴き出してくる。昨日、一昨日と比較的快適に歩いてきたが今日のこの暑さはなんだと思いながら歩く。 R8を二時間ほど歩くと魚津市に入る。富山まで24kmの標識がある。 すでに体調、精神状態はあまり良くなくなっている。富山まで歩くのは無理だ。予定どうり滑川まで歩くことにする。 十一時少し過ぎにホテルに到着。 ホテルの前の植え込みに芭蕉の句「早稲の香や 分入る右は 有磯海」と刻まれた石碑がある。ホテルの人に聞くと芭蕉は「奥の細道」の途中、この滑川で一泊している。そのためホテルを建てたとき記念として石碑も建てたのだという。 芭蕉の宿泊した宿の跡、また句碑の存在を訪ねるが、判らないという。 ホテルで芭蕉の句碑を建てているということは、芭蕉が宿泊したという足跡を滑川の人達は大切にしているに違いない。ホテルに荷物を預けその足跡を探しに行く。 今日は日曜日で市役所は休みである。図書館に行く。新刊本の紹介の棚に<芭蕉・北陸道編>の小冊子を見つける。「やった!探せば見つかるもんだ」と喜び、すかさず手にとって見る。 世の中そんなに甘くはない。北陸道の足跡は紹介されているが、特に滑川について書かれているものではない。一瞬がっかりするが、芭蕉に関する本を見つけたことでホッとをする。 久しぶりの図書館である。本屋とか図書館は大好きな場所である。半日でも一日中いても飽きないところである。 今日はそんなに長時間過すわけには行かない。一週間ほどの新聞に目を通し図書館を出る。 滑川は<ほたるいか>でも有名なところである。 ホテルの人が教えてくれた海沿いの<ほたるいかミュージアム>に行く。ほたるいかに関する生態、漁など多くのことを知ることができる。 深海の生き物、深層水など面白い情報が満載だ。沢山の家族連れが訪れている。 一階に面白い水槽がある。直径5mほど、水深15cm程の水槽である。水は深層水で冷たく、深海にすむ生物、魚、えび、かになどがいる。<水槽に手を入れて魚に触っても良い>と説明されている。その中に、なまずを押しつぶしたような平べったい形をした上目使いの魚がいる。 この魚が面白い。子供が水槽に手を入れると手のひらに乗ってくる。魚を手のひらに載せたまま水面から出しても、手のひらの上でおとなしくしているのである。水槽に戻しても急いで逃げる様子もない。まさか慣らしたわけでもないのだろうにと思いながら、子供とその魚を暫く観察をする。その魚は水槽の縁から少し真中よりにいても、人間が近づくと人間に近寄ってくるのである。 自然界の神秘を頭一杯に詰め込みミュージアムを出る。隣には深層水を使った健康増進施設<タラソピア>がある。ここも利用者で一杯だ。 その隣には、平屋ガラス張りの展望室、屋外の休憩コーナーがある。 屋内には情報交流コーナーがあり色々のパンフレットが置いてある。その中に<北陸の道>と言うパンフレットがあり、芭蕉の訪れた<那古>の説明が載っている。 <那古>とは今の<放生津>のことで放生津八幡宮には芭蕉の句碑があると写真入りで紹介されている。パンフレットを大事に持って帰る。PM4時ホテルに戻る。 今日は<ほたるいかミュージアム>で良い気分転換が出来た。また芭蕉にも触れることが出来た。良い一日であった。 |
曾良日記 |
申ノ下剋、滑川ニ着、宿。暑気甚シ。 |
俳聖 松尾芭蕉・芭蕉庵ドッドコム 滑川市公式ホームページ |