三国志街道を行く



西安の夜、日本料理店で寿司を!

西安の四ツ星ホテルの皇城賓館で快適な朝があけた!このホテルは今年の春まで日本航空系列だっただけに従業員のサービス態度・客室の清潔度など、いままでで一番である。
 昨夜は、夕食時の日本語学院の女子学生アルバイトの売り子には、少なからずビックリさせられた。学生アルバイトを用意して土産売り攻勢をかけたレストランの商魂たくましさは、さすが中国で桂林と1、2を争う”スレた街”と言われることだのことはある!
 兵馬庸が発掘され世界遺産に指定されるや、観光客が大勢来るようになり、日本の京都と姉妹提携都市である古都西安の街は、観光客からいかに金を奪い取るかばかりを考える”スレた”いやらしい街になってしまった。(桂林も同じ)

 昨夜、私達3人は事前の約束通りレストランでの夕食を腹5分目ぐらいに抑え、私が以前西安に来た時、けっこうおいしい和食が食べれる店を発見し、何度か利用したことがある店に、ホテルにチェックイン後、出かけようということになっていた。 そんなことでO・M両氏と連れだって、久しぶりの日本食を求め夜の西安の街へくり出したのだった。 
 繁華街を20分ほど歩き、目的の日本人と中国人が共同経営している「恵理」という名の日本料理店の前に来たのだが、おかしい事に店が無い!中国風の「青都里」という名の看板に変わってる!

 とりあえず中の様子を見てみようとガラス戸を開けると「いらしゃいませ」の日本語とともに和服姿の小姐が出てきた! 以前と同じである、店の名前が変わっただけのようだと思いつつ、店内に入るとどうも店の雰囲気が昨年来た時と微妙に違う。 昨年は満員だった客がほとんどいない!さらに和服を着た小姐の人数が少なくなってる。
 おかしいと思いつつも、生寿司・うな重・ エビフライ 冷奴・冷やしソーメン・日本酒冷酒・アサヒビールを注文し、久々の日本の冷えたビールと日本食を十分堪能した。 飲食代272元(3670円)を払い、帰り際に日本人店主に挨拶しようと小姐に店主を呼んでと言うと、共同経営者の30才なかばの中国人女性が席に来て申し訳なさそうに言った!「彼は今年の春、共同経営を解消して日本へ帰った!」ということでないか!この一言で私はあることに思い当たった!

 昨年この西安の西北大学の大学祭で、日本人留学生が余興の演劇で、中国人を侮辱するような破廉恥な場面があったということで、抗議の学生デモが発生したことがあったのだ。
 市政府の静観により学内デモが、反日スローガンの街頭デモへと大きく発展してしまい日本人に対する治安が悪化してしまったのである。
 これにより西安の各大学の日本人留学生と日本企業の駐在員と家族の大半が、日本に帰国してしまう事件があったのだ。
 この事件で、この日本料理店は主要客の日本人客が激減したため、日本人店主は商売に見切りをつけ日本へ帰ってしまいそれで店名も変わったようだ!
 当初、学生デモを静観していた西安市政府も、日本人の総引き揚げに近い状態で観光業界に影響が出始めた為、あわててデモを主導した学生や市民を逮捕しだしたのだが、後の祭で観光都市として西安市が受けたダメージはかなり大きかったのだ!

西安市内観光、碑林と大雁塔


 そんな西安の一夜が明け、今日は午前中は西安市内観光、午後からは古都洛陽にむけて500キロを走るバス移動の旅である。
 ホテルを出てまず西安観光で兵馬俑に次ぐ観光ポイントの「碑林」に向かった。ここは古代の漢字の発祥からはじまり、さまざま字体の漢字を彫った石碑が、林のごとく陳列されている博物館で、書道を学ぶ者にとっては一度は訪れる必見の場所だ!
 参道を歩き博物館正面の巨大な石碑の前に来ると、世界各国の観光客でごったがえしている!中国語・英語・ドイツ語・朝鮮語の通訳兼ガイドの大きな声が飛び交い、それぞれが石碑の由来を自分の引率グループに説明している。

 そんな中に私達20名の日本人グループが入り込んだ!私達は全員ハイテク機器の無線イヤホーン(耳の上にかぶせるウオークマンタイプ)を装着している!
 私達のガイドが人混みの中に入り、胸に着けたボタンマイクに向かって石碑の説明を始めると、中国人グループも含めた各国の観光客が一斉に私達を見る!珍しいものを見るような目つきで私達の全身を眺めまわし、耳のイヤホーンで視線を止め、自分達のガイドの説明そっちのけで、興味津々ジィーと私達を見ている!

 私は少し日本人としての優越感に浸ることが出来た!そして心の中で彼らに叫んでいた、どうだ!「日本のハイテク機器はすごいだろう」「耳が不自由な難聴のための補聴器と違うぞ」と!
 身動きできないぐらい混み合っている館内では、他の観光客の視線を浴びつつ、更にこのイヤホーンが効果を発揮してくれる、ガイドの説明がどこにいてもビンビン聞こえてくる。

 碑林から次の観光は、中国で最も良い状態で現存している西安城壁の明時代(600年前)に築かれた「西の城門」に向かった。ここは古代に人々が西域シルクロードへの出発点となった所だ!
 城壁の上の楼閣に登り、しばし西え向かって伸びるシルクロードの大通りを眺め、昔の人の旅に思いをはせた。
 
次の観光は西安のシンボル、西遊記に出てくる玄奘三蔵法師がインドから持ち帰った経典を保存する為に建立された「大雁塔」の参観である。
 寺院の中も外も片言日本語を話す立ち売りのみやげ物売りでいっぱいで、あちこちから千円、千円安いよと、しつこく 言い寄ってくる。
 寺院の中にある売店も半端でない!店員全員が流暢な日本語を話し、巧みに3倍ぐらいにふっかけたみやげ物を懸命に売りつけようとする。
 
 旅慣れた私達のグループは誰一人買わないが、他の旅行社で来ている日本人観光客は、いいカモになってけっこう買いまくっている!
いつも思うのだが、日本人は旅に出ると「土産物を買わなければならない」という遺伝子が働き出し、みやげ物を買いまくる悲しい習性を持っている。 どこえ行っても土産物店の中に入ると日本人観光客ばかりではないか!
大雁塔の参観を終えると、西安に次ぐ歴代お王朝の古都「洛陽」へ向かうべくバスに乗り込んだ。

その15へつづく