6.米軍の横暴と基地被害
優遇その1
住宅・思いやり予算
ドライブインから9階建てのマンションが基地周辺に林立しているのが見えます。これが米軍住宅です。ここには70世帯が収容されます。
こうしたマンションは基地内にはおよそ20棟あり、1棟あたりの総工費用が23億円といわれています。住宅は、平均5LDKで平均専用面積は1世帯当り約41坪。日本の家庭用の平均電力量は30アンペアですが、米軍住宅では各世帯に300アンペアのブレーカーがついています。主要な家具・家電製品(洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、デスポーザー)は備え付けのうえ、駐車場完備。これは1部の高級将校のためのものでなく、平均的な家族持ちのアメリカ兵が住んでいるところです。
基地東側住宅地には低層住宅もあり庭付きです。
米兵の子どもたちが通う基地内の小学校、中学校、高校は25人学級です。また、幼稚園や大学まであります。
スーパーマーケットでは、コーラが22円、ビールが61円など日本では考えられない安さで売られています。アメリカから輸送機で運んできた牛肉も売っています。レクリエーション施設も、東西あわせて2カ所あり、映画館を始め、プール、テニスコート、バスケットボールコート、野球場(内野席・ナイター設備付き5面)、サッカー、ラグビー場、基地南側に見えるゴルフ場(ショートホールのみ十ホール)などが完備しています。
さらに、旧日本軍の多摩弾薬庫跡地(稲城・多摩両市にまたがる)が横田専用の「米空軍多摩サービス・レクリエーション施設」になっています。ここには18ホールのゴルフ場やピクニック場があり、横田からヘリコプターで行くこともでき、まさにいたれりつくせりです。
これらの施設、設備は、ほとんどが日本政府の予算、すなわち私たちの血税で作られています。これには大きく分けて、1977年度までの「関東計画」で作られたものと、それ以降の「思いやり予算」で作られたものとがあります。
関東計画とは、1960年代末から1977年にかけて米軍が行った首都圏の米空軍基地移転・再配置計画です。これによって立川基地、キャンプ朝霞(現大泉中央公園)府中空軍施設(現府中の森公薗)グリーン・パーク(現武蔵野中央公園)グランドハイツ(現練馬区光が丘団地)などの施設を日本に返還する1方、横田基地にそれらの機能や施設を移駐・統含したのです。そして、その移駐のための費用を日本政府が負担したのです。「移駐」といえば引っ越しのようなもの。しかし日本政府が負担した「引っ越し」の費用は、土地を確保し、施設を建設し、宿舎の備え付けの家具まで準備するというもの。総額約3千億円といわれています。この関東計画が終わった78年からは、「思いやり予算」の名目で米軍のさまざまな施設を整備してきました。
優遇その2
税金まで優遇
基地の中や国道16号線には「Y」ナンバーや英字だけでナンバープレートのない車が走っているのが目につきます。米軍の使う車については、地位協定第3条で税金の面でも優過措置がされています。とりわけ自動車税は、日本人の6分の1へと大幅に軽減されています。
また、高速道路利用料金もさらにNHK受信料や市民税、消費税なども免除されています。
米軍が使うジェット燃料などは、日本の石油会社から米軍が購入しています。しかし購入額は、1リットル49円と1般国内のおよそ半額となります。しかも、石油製品にかかわる石油諸税は、免税とされています。免税額は7年間で226億円にのぽります。
関東の空を支配する横田基地
戦後50年がたち、いまだに日本はアメリカに占領支配されているのか、そう思う人も多いのです。ところが、米軍に支配されているのは、この地上の基地だけではないのです。
関東の西半分から、新潟県、長野県、静岡県にいたる広大な空域は、いまだに米軍が「占領」しているのです。この空域のことを「横田エリア」といいます。「霊峰」「日本の象徴」といわれる富士山も、その上空は米軍に支配されているのです。
ここでは、高度2万5千フイート(約7500メートル)まで横田にある米軍の管制センターが第1次管制権を持ちます。当然米軍機の都合のいいように管制が行われます。民簡機も飛行計画を出して承認されれば飛ぶことはできますが、横田、厚木、立川、入間などの米軍・自衛隊の基地に発着する軍用機の間をぬって米軍の指示通りに飛ぶのですから危険きわまりません。
1992年6月に空域の1部が返還されましたが、羽田から西に向って飛ぶ飛行機は、急上昇しながら、中で何が飛んでいるかわからない横田エリアに突っ込んで行かなければなりません。運輸省の労働者の組織である全運輸省労働組合は、組合員である航空管制官の現場の声として、横田エリアが首都の航空交通を妨げる「西の壁」であり、安全運行の立場からも、1日も早く撤廃させるべきだ、と主張しています。
また、この空域は「関東複雑空域」と呼ばれ羽田・成田から飛び立つ民両機の空路に加え、米軍、自衛隊の訓練空域が隣接しているところです。1996年三宅島上空では、訓練中の米軍戦闘機とオーストラリアの航空機が異常接近(ニアミス)する事故が起きています。
また、全運輸労働組合は、航空機乗務員へのアンケートの結果「軍用機と民間機とのニアミス事故が年々増えている」ことを胆らかにしています。
地上も、空も、外国の巨大な軍事カに支配されているこの事実は、日本が真の独立国家であることを疑わせるものです。この屈辱的な実態の根本には、日米安保条約、すなわち日米軍事同盟があるのです。日米安保条約をなくし、米軍基地を撤去することこそが、日本を世界に貢献する真の独立国家とする道なのです。
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