日本消化器内視鏡学会甲信越支部

25.診断にEUS-FNAが有用であった大腸B細胞リンパ腫の1例

新潟県立吉田病院・内科
坂 暁子、野澤 優次郎、中村 厚夫、八木 一芳
福岡大学医学部 病理学講座
二村 聡
新潟大学医歯学総合病院 病理部
梅津 哉

症例:60歳代の女性、主訴:なし、既往歴:45歳時にCushing症候群にて左副腎摘出。以後、デカドロン0.5mg内服中。現病歴:Cushing症候群術後、高血圧にて当院通院中。便潜血陽性にて下部消化管内視鏡検査を施行。盲腸に潰瘍、S状結腸に小結節とびらん、直腸Rbに径30mmの易出血性で不整形の柔らかな粘膜下腫瘤様病変を認め、精査加療目的にて当科紹介となった。経過:盲腸およびS状結腸の生検では粘膜深部に小~中型異型リンパ球のびまん性増殖巣を認め、リンパ腫の可能性が疑われた。直腸病変は観察時に著明な出血を伴うことから生検ではなくEUS-FNAにより診断確定する方針とした。直腸病変の層構造は評価困難であったが、当該部は径47mmの内部モザイク状の低エコー腫瘤として描出され、内部に血流を認めた。FNAにより十分量の組織が採取され、その病理検索結果はB細胞リンパ腫(MALTリンパ腫疑診)であった。全身検索にて施行したCTでは直腸病変は径50mmのiso density massとして描出され、左卵巣近傍リンパ節は腫大していた。以上より臨床病期はStageII(Lugano国際会議分類)と診断し、加療目的で転院となった。結語:今回、診断にEUS-FNAが有用であった大腸リンパ腫の1例を経験したので報告する。