症例は50歳代男性。1985年に全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断され、内服加療が開始された。以後は年に1回下部消化管内視鏡検査を受けており、自覚症状はなく寛解維持できていた。2010年に施行された下部消化管内視鏡検査にて、S状結腸遠位側に平坦隆起性病変(LST-NG)を指摘され、生検でGroup 3と診断された。その後も毎年経過観察されていたが、隆起性病変の形態に変化はなかった。2014年2月5日に施行された下部消化管内視鏡検査にて、既知のLST-NGの肛門側辺縁に12mm大の発赤調の粗大結節を認めた。拡大内視鏡観察にて、絨毛状のpit(IVv型pit)を認め、pitの大小不同や辺縁不整を伴っておりcolitic cancerを疑った。生検にてGroup5(tub2)と診断され結腸亜全摘の方針となった。大腸腫瘍性病変の内視鏡診断には、拡大内視鏡観察によるpit pattern分類(工藤・鶴田分類)が非常に有用であるが、colitic cacerの診断においても拡大内視鏡観察が有用であると考えられた。