日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.ダブルバルーン小腸鏡にて止血し得た胆道再建術後小腸出血の2症例

山梨県立中央病院 消化器内科
塩入 央尚、深澤 佳満、小嶋 裕一郎、倉富 夏彦、久野 徹、細田 健司、鈴木 洋司、望月 仁、小俣 政男

症例1:80歳代、男性

主訴:タール便

既往歴:高血圧、痛風、肝門部胆管癌にて肝外胆管切除、胆管空腸吻合術(3年前)

現病歴:タール便にて入院。上部消化管内視鏡検査、大腸鏡検査では出血源となる病変は認められなかった。自然止血し退院となったが、退院2日後タール便を認めたため、再入院。カプセル内視鏡検査では、空腸にびらんを認めており、腸管内容物は黒色調であった。経口ダブルバルーン小腸鏡検査(DBE)では、空腸に小びらんを認め、APCで焼灼した。1週間後、再度タール便を認めたため、DBEを施行。吻合部付近に多量な凝血塊を認め、胆管空腸吻合部にDieulafoy様の拍動性出血を認めた。クリップ、APCにて止血を行い、以降再出血は認めていない。

症例2:50歳代、女性

主訴:タール便

既往歴:膵胆管合流異常にて胆道再建術後(20年前)、慢性腎不全にて維持透析

現病歴:タール便にて近医受診。上部消化管内視鏡検査では異常所見なく、大腸鏡検査では上行結腸、S状結腸に憩室を認めた。1週間後に血便あり、ショック状態となったため当院救急搬送となった。腹部平坦軟、圧痛はなく、直腸診では黒色便の付着を認めた。造影CT、大腸鏡検査を施行したが出血源は特定できず、DBEを施行した。輸入脚吻合部付近に多量な凝血塊を認めたが、出血源の同定はできなかった。再度タール便を認めたため、DBEを施行、小潰瘍を認めたため、同部をクリップにて縫縮した。その後もタール便があり、出血シンチを施行したところ、空腸からの出血を疑われた。血管造影、血管塞栓術を施行後、出血は認めず、退院となった。1年5ヶ月後再度タール便にて受診。DBEで、輸入脚吻合部付近には凝血塊が多量に存在し、吻合部にDieulafoy様の露出血管を伴う拍動性出血を認めたため、クリップにて止血。以降再出血を認めていない。今回、DBEにて止血し得た胆道再建術後小腸出血の2症例を経験したので、若干の考察を加えて報告する。