日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.食道アカラシアに対する内視鏡的筋層切開術

新潟大学医歯学総合病院消化器内科、昭和大学横浜市北部病院消化器センター
佐藤 裕樹
昭和大学横浜市北部病院消化器センター、昭和大学江東豊洲病院消化器センター
井上 晴洋
新潟大学医歯学総合病院消化器内科
竹内 学、水野 研一、橋本 哲、佐藤 祐一、小林 正明

内視鏡的筋層切開術(Per-oral endoscopic myotomy: POEM)は食道アカラシアに対する新しい治療法であり、昭和大学横浜市北部病院にて既に500名を超える患者の治療が行われ良好な成績をおさめている。新潟大学医歯学総合病院においても2013年10月に第1例目を井上 晴洋 先生 (現、昭和大学江東豊洲病院消化器外科教授)が執刀され、現在までに3症例に対して施行された。患者背景は、年齢(歳):33/30/66、性別:男/女/男、病歴(年):17.8/2.1/3.2、拡張度(°):I/II/I、拡張型:いずれも直線型(Straight type)であった。いずれの症例も気管分岐部下1~2時方向に粘膜切開を行い、胃側まで粘膜下トンネルを作成した。その後、筋層切開(中央値13.0±1.53cm[食道側:10cm、胃側:3cm])を行い、粘膜切開部をクリップで閉鎖し終了とした。偶発症はみとめず術後6.0±1.5日で退院している。2例に対して2カ月以上の経過観察がなされ著明な症状の改善とLES圧の改善がみられている。POEMの現状を報告する。