日本消化器内視鏡学会甲信越支部

4.出血を契機に発見された成人メッケル憩室の3例

新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科
安住 里映、横山 純二、本田 穣、山際 訓、青柳 豊
新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子病態病理学分野
味岡 洋一

メッケル憩室は胎生期の卵黄腸管の遺残で、発症は小児期、特に2歳以下に多いとされる。15~25%が消化管出血、腸閉塞、腸重積、腫瘍などを合併する。今回出血を契機に発見された成人メッケル憩室の3例を経験したので報告する。【症例1】症例は21歳男性。0歳、2歳、6歳、10歳、12歳時にも消化管出血の既往があり自然止血していた。6歳時に他院にてメッケル憩室シンチグラフィを施行したが異常を認めなかった。今回血便のために近医入院。上下部消化管内視鏡検査では出血源なく小腸出血が疑われた。保存的治療で軽快退院した後、精査目的に当科に紹介された。小腸バルーン内視鏡(BE)で憩室と潰瘍瘢痕を認め、メッケル憩室からの出血と診断し、待機的手術の方針とした。後日行ったカプセル内視鏡(CE)でもメッケル憩室と認識できた。【症例2】21歳男性。血便のため近医で上下部消化管内視鏡検査施行されたが異常なく、当科紹介。メッケル憩室シンチで骨盤内右側に集積を認めた。CE、BEで憩室を認め憩室出血と診断、小腸部分切除術を施行した。【症例3】36歳男性。腹痛、黒色便のため当科受診。上下部消化管内視鏡検査、CEで異常を認めなかった。メッケル憩室シンチで集積あり、BEで憩室と潰瘍を認め、メッケル憩室出血と診断された。手術を勧めたが本人の都合で手術は施行されなかった。成人における原因不明消化管出血(OGIB)のうち若年者ではメッケル憩室が原因であることが多いとされている。診断にはCE、 BE、メッケル憩室シンチグラフィの有用性が報告されている。しかしCEでは病変を認識できないことがあり、またメッケル憩室シンチでは異所性胃粘膜を伴わない場合には診断困難となる。若年者におけるOGIBに対してはメッケル憩室を念頭に置き、積極的にBEを行うことが重要と考えられた。