日本消化器内視鏡学会甲信越支部

66.再燃の毎に壊疽性膿皮症の増悪を伴う潰瘍性大腸炎の1例

山梨県立中央病院 消化器内科
牧野 暁嗣、久野 徹、小嶋 裕一郎、倉富 夏彦、深澤 佳満、細田 健司、鈴木 洋司、望月 仁、小俣 政男
山梨県立中央病院 皮膚科
塚本 克彦
山梨県立中央病院 病理
小山 敏雄

症例:60歳代、男性。主訴:血便。既往歴:特記事項なし。現病歴:2011年12月、血便を主訴に前医受診。大腸鏡検査(CS)にて左側結腸に縦走潰瘍を認めたため、Crohn病を疑い5-ASA 3000 mg/day、prednisolone (PSL) 50 mg/dayにて加療開始した。その後も症状の改善なく、2012年1月6日当科紹介となった。CSにて直腸から肝彎曲部まで潰瘍を伴う浮腫状発赤粘膜を認め、全大腸炎型潰瘍性大腸炎(UC)・中等症と診断した。便検査でCD toxin陽性であり、metronidazole内服、PSL 40 mg/day、5-ASA 4000mg/dayにて加療、その後外来にてPSL漸減し臨床的に寛解していた。2012年4月下旬PSL 5mg漸減時より内服を自己中断した。5月初旬より後頭部、前胸部、四肢に膿疱、中心部潰瘍を伴う圧痛のある浸潤性紅斑が多発し、当院皮膚科の生検にて真皮中層に炎症細胞浸潤を認め、壊疽性膿皮症の診断となった。血便の増悪あり、CSでは全大腸にわたり再燃を認めた。また、CMV抗原陽性であった。Ganciclovir、PSL 60mg/day、5-ASA 4000mg/dayに加え、6-mercaptopurine 30mg/dayも導入。壊疽性膿皮症、UCともに改善した。以降寛解していたが、2013年4月より再度通院を自己中断し、8月5日血便を主訴に当院救急受診し入院加療となった。壊疽性膿皮症の増悪を認め、UCの重症度は中等症であった。PSL 60mg/day導入、壊疽性膿皮症、UCともに改善を認め、第20病日退院となった。

壊疽性膿皮症はUCの腸管外合併症として知られているが、本症例ではUCの再燃と一致してその都度増悪しており興味深く、文献的考察を加えて報告する。