【背景】2013年1月から肝癌局所治療に対しバイポーラRFAシステム(Celon POWER 、Olympus社)が使用可能となったが、モノポーラシステムとの相違を理解して使用する必要がある。今回バイポーラRFAの初期使用経験を検討し、モノポーラと比較した利点/欠点を提示する。【対象と方法】対象はすべて肝細胞癌で、2013年8月から9月までバイポーラRFAシステムを用いて当科でRFAを施行した7例8結節。基本的な焼灼はOlympusから提供された資料(ドジメトリーテーブル)に従った。【結果】(1)患者年齢中央値は71(57-81)歳で、すべて男性。背景肝はCH/LC=1/6例でetiologyはHBV/HCV=1/6例で、肝予備能はChild-Pugh A5点/A6点/B7点相当=3/3/1例。腫瘍径中央値は14.5(5-23)mmで占拠部位はS3/S6/S7/S8=1/2/1/3例であった。(2)穿刺針はすべて30mm-20cmで1/2/3本使用がそれぞれ1/4/3例で、それぞれの腫瘍径中央値は1本穿刺が5mm、2本穿刺は12.5(12-16)mm、3本穿刺は23(17-23)mmであった。(3)負荷した熱量は概ね上記資料に準じたが、1本穿刺が16kJ、2本穿刺が23(20-27)kJ、3本穿刺は35(35-36)kJで、2本穿刺の2結節でUSでの焼灼範囲予測から予定の80%で終了した。平均焼灼時間は1本穿刺が13分、2本穿刺は11(10-13)分、3本穿刺は12(12-13)分であった。8結節中5結節で腫瘍の辺縁で穿刺しNon-touch ablationを目指せた。(4)8結節中6結節が1回の焼灼で5mm以上のマージンを得られたが、負荷熱量が少なかった2結節でマージンが不足し追加焼灼を要した。その後の追加で局所制御は良好となった。(5)8結節の焼灼中目立ったpoppingは1例も認めず肝機能低下や出血など有害事象は認めなかった。ただし深い病変で先端の視認性が不良の症例が2例あった。【考察】バイポーラRFAシステムは焼灼が短時間で済み、低分化癌に対する焼灼に有用(Non-touch ablationが可能、popping少ない) な利点があるが、2本穿刺でのマージンが不足しやすいこと、先端の視認性が不良であることに注意を要すると思われた。【結語】バイポーラRFAシステムは有用であるが、モノポーラとの差異を理解し場合により使い分ける必要があると考えた。