日本消化器内視鏡学会甲信越支部

29.肝管空腸吻合術後の総胆管結石に対してESWLが有用であった1例

市立甲府病院 消化器内科
早川宏、小林祥司、高野伸一、雨宮史武、山口達也、大塚博之
山梨大学医学部 第1内科
門倉信、原井正太、高橋英、進藤浩子、深澤光晴、佐藤公、榎本信幸

 症例は80歳女性。膵胆管合流異常・先天性胆道拡張症にて1990年に肝管空腸吻合・Roux en-Y再建術の既往あり。2009年に肝胆道系酵素上昇を契機に右肝管内に結石を指摘され、ダブルバルーン内視鏡下に採石試みるも輸入脚と右肝管の角度からアプローチは困難であり、保存的治療のみで軽快したため経過観察されていた。2013年2月発熱・腹痛出現、右肝管内に15mm大の結石認め、結石の吻合部嵌頓による胆管炎と診断。胆管炎治療および右肝管へのルート確保のためPTCD留置。炎症鎮静化した段階で、PTCDルートからのランデブーテクニックを用いてダブルバルーン内視鏡下に吻合部バルーン拡張を行いその後ゼオンメディカル社製ゼメックスクラッシャーカテーテルにて砕石を試みるも困難であった。通常の採石は困難と思われ体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)を併用する事とした。Siemens社製Lithostar(電磁変換方式)・衝撃波回数は2000発でESWL行った。後日のPTCDルートからの造影では微小な透瞭像を認めるのみであり結石は破砕されたものと思われた。残存小結石採石の為、再度ダブルバルーン内視鏡施行し造影するも結石遺残を認めず。同時にボストン・サイエンティフィック社製 Spy Glass システムによる胆道鏡も施行したが結石は認めなかった。術後腸管再建症例の結石については吻合部までの到達・吻合部からの挿管・その後の処置、と多くの困難が存在する。困難症例についてはESWLも考慮すべき選択肢と思われる。