日本消化器内視鏡学会甲信越支部

24.血便を来したPTPシート誤嚥の1例

山梨県立中央病院 消化器内科
吉村大、川上智、小嶋裕一郎、石田泰章、久野徹、深澤佳満、岩本史光、廣瀬純穂、細田健司、鈴木洋司、望月仁、小俣政男

 症例:90歳代、女性。主訴:意識消失、血便。既往歴:心不全、陳旧性脳梗塞、てんかん。現病歴:老人ホーム入院中。夕食後、数分の意識消失あり、同時にオムツ2枚分の血便あり、当院救急救命センター搬送。来院時vitalはBP 82/44mmHg、PR 108bpm、血液検査所見ではHb 7.9g/dlと貧血を認めた。腹部単純レントゲン検査にて骨盤内に12mmの楕円形陰影を認めた。CTにてS状結腸に12mm楕円形の錠剤様のhigh density像、S状結腸から直腸に血液と考えられるhigh density像を認めた。高圧浣腸にて前処置を行い、緊急下部消化管内視鏡検査を施行した。S状結腸憩室にPTPシートが嵌り込んでおり、把持鉗子にて除去。同部位より活動性の出血を認め、クリップにて止血術を行った。施行後、再出血なく第8病日退院となった。以上、PTPシート誤嚥により大腸からの出血を来した症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。