日本消化器内視鏡学会甲信越支部

22.健常成人に発症したサイトメガロウイルス感染症による肝障害に併発した腸病変の一例

済生会新潟第二病院
井上良介、菅野智之、渡邉雄介、阿部聡司、関慶一、石川達、吉田俊明、上村朝輝
消化器内科、新潟臨港病院
岩永明人、本間照、窪田智之

 症例は30歳代男性。2013年2月中旬より発熱、頭痛が出現した。2週間以上持続するため、近医を経て、3月1日当科入院。肝障害と炎症反応亢進、および異型リンパ球の出現を認め、伝染性単核球症を疑った。NSAIDs内服にて加療するもさらに1週間程度39度台の発熱が持続した。また経過中、4~5行/日の黒褐色調の泥状便が出現。3月14日、大腸内視鏡を施行した。全大腸に発赤浮腫状粘膜を認め、小類円形潰瘍が疎らに散在していた。CMV抗体IgMが陽性であり、サイトメガロウイルス感染症に伴う肝炎とそれに併発した腸炎が考えられた。徐々に、発熱および下痢は軽快し、3月19日退院した。健常人に発症したサイトメガロウイルス感染症による肝障害に併発した腸病変は稀と思われ、文献的考察を加え報告する。