日本消化器内視鏡学会甲信越支部

66.大腸用自己拡張型金属ステントが有用であった膵癌による大腸イレウスの1例

山梨県立中央病院 消化器内科
石田 泰章、望月  仁、川上  智、久野  徹、深沢 佳満、岩本 史光、廣瀬 純穂、細田 健司、鈴木 洋司、小嶋裕一郎 小俣 政男

大腸イレウスを初発症状とし発見される膵癌は比較的まれであるが、自己拡張型金属ステント(Self Expandable  Metallic Stent:SEMS)留置により治療した膵癌の1例を経験したので報告する。症例は75歳女性。2012年5月より食欲低下を認め、近医で糖尿病を指摘されたため6月に当院を受診した。腹部造影CT検査にて、膵尾部から脾湾曲部を巻き込むような腫瘤を認め大腸イレウスの状態であった。膵尾部癌、横行結腸浸潤、腎静脈浸潤のため手術適応なく経口的にイレウス管を留置し腸管内減圧をはかったのち、内視鏡的に自己拡張型金属ステントを留置した。その直後から自覚症状は消失、腸管ガス像は激減し、イレウス管抜去、術後8日目より食事を開始した。化学療法(GEM + S-1)を導入し、術後21日目に退院となった。退院後の術後42日目にステント閉塞による大腸イレウスのため再入院となった。下部内視鏡検査にて、便塊によるステント閉塞を認めた。鉗子でできる限り除去したところ翌日大量の排便がみられ食事指導などを行った後退院となった。【考察】大腸イレウスを初発症状とし発見された膵尾部癌に対してはこれまで外科的治療を行った症例がほとんどであった。2011年7月に米国製の大腸用自己拡張型金属ステントの薬事認可が承認され、2012年からは国内でも保険収載されたことにより同様の症例でも自己拡張型金属ステントにて加療する報告例が今後増えてくると考えられる。自己拡張型金属ステントによる治療は入院期間の短縮や患者のQOL向上など様々な点で外科手術に勝る可能性を秘めている。