日本消化器内視鏡学会甲信越支部

65.膵頭切除後、残膵に出現した膵管結石に対し超音波内視鏡(EUS)ガイド下治 療が有用であった1例

JA長野厚生連 佐久総合病院 内科
比佐 岳史、桃井  環、清水 雄大、古武 昌幸、高松 正人
東御市民病院 外科
結城  敬

【症例】40歳代、女性。10年前、膵頭部漿液性嚢胞腺腫にて十二指腸温存膵頭切除術を施行された。術後フォロー中、残膵の主膵管拡張および膵管結石が出現し、急性膵炎を繰り返すようになった。今回、急性膵炎で当院外科入院となり、膵炎改善後、内視鏡的治療目的に当科紹介となった。ダブルバルン小腸内視鏡あるいは超音波内視鏡による治療を提案し、後者を選択された。コンベックス型EUSおよび19G針を用いて、経胃的に膵管を穿刺しガイドワイヤを膵管内に留置したが、尾側主膵管への留置となった。穿刺部拡張後、7Fプラスチックステントを留置した。18日後、ステントを抜去し、先端角度可変式カテーテルを用いてガイドワイヤを吻合部側へ誘導した。吻合部を8mmまで拡張後、バルンカテで結石を空腸内に押し出した。処置後、再度プラスチックステントを留置した。処置に伴う偶発症は認められなかった。吻合部狭窄拡張目的にプラスチックステントを6ヶ月間留置した。ステント抜去1年後の現在、膵管結石の再発なく経過中である。

【考察】残膵に対する膵管結石治療に対し、EUSガイド下治療は一選択肢となりうる。