日本消化器内視鏡学会甲信越支部

62.当科におけるESWL治療を用いた膵石治療の成績

信州大学 医学部附属病院 消化器内科
丸山 真弘、小口 貴也、金井 圭太、渡邉 貴之、村木  崇、新倉 則和、田中 榮司

【背景】2010年膵石症の内視鏡治療ガイドラインが発表され、ESWLが中心的治療である。当科では、1996年より積極的に体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)を用い膵管内結石治療を行ってきた。【目的】治療成績を検討し今後の課題を明らかにすること。【対象】1996年~2012年8月に、当科でESWLにより膵石治療を施行した100例。【方法】患者背景、治療内容、治療成績、偶発症、再発率を検討した。ESWL治療の適応は、膵石が主膵管内に存在し、1)慢性疼痛や膵炎発作を繰り返している例、2)膵機能が残存し膵液流出障害の解除により膵機能の温存が期待される例。結石破砕装置は、2004年まではWolf 社製Piezolith  2500(ピエゾ効果式)、2004年以降はSiemens社製Lithostar(電磁変換方式)。衝撃波回数は3000発/回。【結果】年齢中央値  59歳(20~85)、男性84%。膵石の成因はアルコール性70%、自己免疫性膵炎(AIP)8%、特発性22%。治療目的は慢性疼痛または繰り返す膵炎発作75%、膵機能の温存目的25%。治療対象の膵石部位(重複あり)は頭部89%、体部18%、尾部1%で、膵石乳頭側の膵管狭窄は26%に認めた。ESWL施行回数中央値は4回(1~19)、内視鏡的治療併用率72%、腹痛改善率88%、膵管内結石完全除去率は76%。また、膵管内結石再発率23%、外科的治療移行率4%であった。ESWL関連偶発症を8%(急性膵炎4例、膵内胆管狭窄2例、膵のう胞感染2例)で認めた。成因別の検討では、アルコール性で結石数が多く、結石再発率が高く、また再発例の72%で飲酒継続を認めた。AIPでは、結石の部位が体尾部に多く、乳頭側の狭窄合併例が高率で結石除去率が低い傾向を示した。【結語】膵石に対するESWL治療は安全かつ有用である。しかし、治療抵抗性の症例も存在し、膵石溶解療法など他の治療法の検討が必要である。また、再発予防に関しては、アルコール性は禁酒の徹底を、AIPでは膵石形成予防が重要と思われる。