症例は70歳、女性。主訴は便秘。2012年3月の大腸内視鏡検査にて盲腸に豊富な粘液で覆われた褪色調の20mmの平坦隆起型病変を認め、病変の内部に6mmと4mmの発赤調の小隆起部を認めた。NBI拡大観察では平坦部分は腺管を取り巻く毛細血管は不明瞭で小型から中型の円形、類円形の腺管開口部が観察され過形成性の構造と推測された。2箇所の小隆起部は拡張した毛細血管を認め、その血管走行および White zone の形態から管状ないしは絨毛状構造と推測された。6mmの隆起部分から1個生検してGroup 5, Adenocarcinoma(tub1)との病理診断であった。5月に大腸ESDを施行した。切除標本は30x25mmで22x21mmの平坦隆起型病変を認めた。術後の病理組織学的検索にて 平坦部分は Sessile serrated adenona/polyp, 2箇所の小隆起部は Adenocarcinoma と診断された。最終診断は Adenocarcinoma(tub1, tub2)in sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P), pM, ly(-), v(-), pHM0, pVM0, 0-IIa(so-called LST-G)であった。