日本消化器内視鏡学会甲信越支部

50.TS-1/CDDP併用化学療法が奏功した直腸扁平上皮癌の1例

長岡赤十字病院 消化器内科
嘉戸 慎一、小林 雄司、星  隆洋、高野 明人、中村潤一郎、三浦  努、山田 聡志、柳  雅彦
長岡赤十字病院 病理科
江村  巌

症例は80才女性。貧血精査のため行われた大腸内視鏡検査にて、下部直腸に粘膜下主体で頂部に潰瘍を伴った隆起性病変を認めた。精査加療目的で当院外科を紹介受診した。CTにて、両鼡径部、両鎖骨上、傍大動脈など全身に、多発リンパ節転移を認めた。鼡径部リンパ節からの生検では低分化扁平上皮癌の診断であった。化学療法のため内科転科となった。年齢を考慮し減量TS-1/CDDP療法を行った。化学療法1コース目施行中に下血を認めた。大腸内視鏡検査を行ったところ腫瘍の壊死を認め、壊死部分にあった露出血管からの出血が疑われた。HSE局注+クリップの止血処置を行った。その後下血は落ち着いた。化学療法3コース終了時点で腫瘍の著明な縮小が得られた。TS-1/CDDP併用化学療法が奏功した、直腸扁平上皮癌の1例を経験したので報告する。