日本消化器内視鏡学会甲信越支部

41.腹腔鏡下胆嚢摘出術中にランデブー法を用い総胆管結石を治療した一例

社会保険山梨病院 消化器内科
志村 和政、苅部 豊彦
社会保険山梨病院 外科
土井 愛美、曽田  均、富岡 寛行、安村 友敬、矢川 彰治、小澤 俊総

総胆管結石に対する治療の第一選択は、内視鏡的治療が用いられることが多い。しかし、症例によってはデバイスの深部挿管が不成功となり、内視鏡的治療を完遂できないこともある。その場合には、外科的に総胆管切開、排石を行い、その後、狭窄予防のために外瘻化チューブを挿入する必要があり、患者は術後一定期間チューブを挿入しておかねばならない。我々は、内視鏡的に総胆管結石の治療ができなかった症例に対して、腹腔鏡下胆嚢摘出術中にランデブー法を用いESTを施行し内視鏡的に、総胆管結石を治療した一例を経験したので報告する。症例は80歳、男性。2012,6,22夜間に腹痛が出現。症状の改善がなく、翌23日近医を受診。採血上、肝機能障害、膵酵素、炎症所見の上昇を認め、当院に紹介された。受診時、腹部CT上、8mm大の総胆管結石と胆嚢結石を認めたが、自覚症状は消失しており、待機的に26日ERCを施行した。傍乳頭憩室を認め、造影では8mm大の総胆管結石を確認できたが、デバイスの深部挿管ができず内視鏡治療は完遂できなかった。そのため、7月4日腹腔鏡下胆嚢切除術を施行。術中に、経胆嚢管的にガイドワイヤーを十二指腸へ挿入し、ランデブー法を用いてESTを施行後、切石術を施行した。切石後はERBDチューブを挿入し終了した。術後経過は良好で、翌日より食事を開始するも、腹部症状の再発なく、後日ERBDチューブを抜去し退院となった。内視鏡的治療が困難な総胆管結石に対して、術中ランデブー法を用いての治療は選択肢の一つとなると考えられた。