日本消化器内視鏡学会甲信越支部

33.急性膵炎を合併した好酸球性腸炎による十二指腸狭窄の一例

立川綜合病院 消化器センター 消化器内科
品川 陽子、大関 康志、上野 亜矢、藤原 真一、小林 由夏、杉谷 想一、飯利 孝雄

症例は40歳男性。2型DMで近医通院中であった。腹痛で抗生剤処方されたが症状改善せず当科紹介となった。採血上、炎症反応高値と膵酵素上昇を認め、CTで膵頭部の腫大、膵周囲脂肪織濃度の混濁と十二指腸下行脚の浮腫を認めたため急性膵炎の診断で入院となった。上部消化管内視鏡(以下GIF)では十二指腸下行脚の発赤、浮腫及び粘膜生検で好酸球浸潤を認めた。末血で好酸球増多は認めなかった。アルコール多飲歴はなく、IgG4は陰性、胆石の合併は認めなかった。膵炎に準じて治療し、経過問題なく退院した。その後もカモスタットメメシル酸塩内服で外来経過観察していたが、膵炎発症2か月後のCTで膵頭部に膵仮性嚢胞の出現を認め、発症4か月後より嘔気・嘔吐及び20Kgの体重減少と食思不振を認めた。CTでは膵仮性嚢胞は増大、膵周囲への炎症波及、十二指腸にかけての浮腫状の著明な壁肥厚を認め、再入院となった。GIFでは十二指腸下行脚の発赤・浮腫は増強しており、内腔は狭小化が著しく、そのための通過障害と考えられた。禁食及びナファモスタットメシル酸塩を投与し、炎症改善後に経口成分栄養を開始したが、嘔気のため困難であった。経腸栄養も検討したが、好酸球性腸炎治療に準じステロイドを導入した。水溶性PSLを開始し、3日後に嘔気は消失した。その後、経口栄養は漸増でき、経過良好で退院した。外来でステロイドは漸減中であるが、食事摂取良好、体重も回復し、症状の再燃はみられていない。GIFでは十二指腸狭窄は改善し、CT上は仮性嚢胞も縮小していた。好酸球性腸炎と急性膵炎の合併は稀であり因果関係は不明であるが、症状の改善に対してステロイドが著効し貴重な症例と考えられたため、報告する。