日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.Cowden病の一例

新潟県立がんセンター新潟病院
青柳 智也、栗田  聡、佐々木俊哉、船越 和博、本山 展隆、加藤 俊幸

Cowden病は常染色体優性遺伝の全消化管全体に過誤腫性ポリポーシスをきたすことが特徴で、消化器内科では上部消化管検査時に食道病変で発見され、皮膚病編や多臓器の腫瘍性病変を伴うことが多い。症例は50歳代、男性。41歳時他院で胃ポリープ切除を受けていたが、46歳時ドックで胃ポリープと便潜血陽性が指摘され当院紹介された。食道全域に扁平白色隆起が著明に密集し、生検ではアカントーシスの組織像であった。また胃に過形成性ポリープ、大腸には腺腫ポリープが多発し、肝血管腫と胆嚢ポリープ、腺腫様甲状腺腫の合併を認めたため経過観察となった。7年間に大腸腺腫の生検を繰り返し、2個EMR試行。甲状腺細胞診も繰り返しているが、現在のところ悪性細胞を認めてはいない。食道のびまん性白色隆起には変化なく、生検ではmild  dysplasis  and glycogenic  acanthosisと診断されている。本例は家族歴のない弧発例でPTEN遺伝子変異は検索していないが、特徴的な食道病変などからCowden病と診断し、甲状腺癌をはじめ悪性疾患の合併に注意している。