日本消化器内視鏡学会甲信越支部

12.C型慢性肝炎に対してPeg-IFNα2b+Ribavirin+Telaprevir 3剤併用療法を行い、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)を発症した1例

山梨大学医学部 第1内科
津久井雄也、坂本  穣、高田ひとみ、田中 佳祐、佐藤 光明、進藤 邦明、中山 康弘、井上 泰輔、榎本 信幸
山梨大学医学部 皮膚科
山本 佐織、安藤 典子、原田 和俊、島田 眞路

【背景】Genotype1でC型慢性肝炎に対しPeg-IFNα2b+Ribavirin(RBV)+Telaprevir(TVR)3剤併用療法は高い治療効果が明らかとなった。しかしTVRは高率に皮疹が出現することが知られている。【症例】50歳代女性【現病歴】2009年3月にC型慢性肝炎に対してPeg-IFNα2b+RBV 療法を導入、72週間治療を行ったが、再燃した。2012年5月下旬に3剤併用療法導入目的に入院となった。【経過】Genotype  1b、高ウイルス量、IFN治療再燃例に対してPeg-IFNα2b(80μg)+RBV(400mg)+TVR(1500mg)  3剤併用療法を開始した。治療開始後5日目より体幹部に紅斑を認めたため、TVRの薬疹と考え、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬内服を開始した。皮疹は改善し、開始後15日目に退院となった。開始後30日目に咳嗽・発熱とともに、全身の紅斑が再度出現し、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬内服を開始したが、拡大傾向となり、開始後34日目にプレドニゾロン(PSL)20mg内服を開始した。一旦軽快傾向となり、PSL内服を10mgに減量したところ、増悪し、粘膜疹が出現、治療開始後40日目に当院皮膚科入院となった。入院後IFN、RBV、TVRは中止とし、PSLは60mgに増量した。40mgに漸減したところで皮疹が増悪し、60mgに増量するも、開始後61日目に粘膜疹が再度出現した。皮膚生検にて表皮内への炎症細胞浸潤、表皮細胞の壊死が散見され、Stevens-Johnson症候群と診断した。ステロイドパルス療法、血漿交換行うも皮疹は改善せず、びらんが拡大しTENへ移行した。大量免疫グロブリンの投与を行ったところ、皮疹は改善傾向となり、PSLを漸減、現在20mgまで減量している。【結語】3剤併用療法中にTENを発症した1例を経験した。TVRは高率に皮疹を合併することが知られているが、本症例のように重症化する症例もある。TVRと皮疹について若干の文献的考察を加え報告する。