日本消化器内視鏡学会甲信越支部

3.多発膵膿瘍に対し経乳頭的経鼻膵管ドレナージ術が奏功した一例

JA長野厚生連 佐久総合病院 肝胆膵内科
蔵野宗太郎、比佐 岳史、桃井  環、清水 雄大、古武 昌幸、高松 正人

【症例】40歳代、女性。3週前より心窩部痛が出現し、2週前に近医を受診した。血液検査では白血球およびCRPの上昇を認めたが、血清アミラーゼは正常であった。USでは異常を指摘されなかった。抗生剤を処方されたが、症状が改善しないため近医を再受診した。CTにて膵頭部、体部、尾部に各々嚢胞性腫瘤を認め、一部にガス像を伴っていた。急性膵炎が疑われ、同日当科紹介入院となり、絶食、補液、抗生剤投与を開始した。第2病日のUS、MRIにて、嚢胞性腫瘤と主膵管との交通が疑われ、膵管破綻による膵液貯留部位への感染、多発膵膿瘍と判断した。発熱、腹痛、背部痛が持続し、第3病日のCTで膿瘍の増大が認められたため、第4病日に経乳頭的膵管ドレナージ術を試みた。膵管造影にて頭部および体部の膿瘍と主膵管との交通を認め、体部膿瘍内に経鼻ドレナージチューブ(Cook社製、5Fr)を留置した。処置中に主乳頭の口側後壁から白色膿汁の流出を認め、膵頭部膿瘍と十二指腸との瘻孔部と判断した。膿汁培養ではPrevotellabuccae、α-streptococcusが認められた。第7病日のCTでは膵頭部および体部の膿瘍の縮小化を認めたが、膵尾部膿瘍は残存していた。発熱、背部痛が持続したため、再度ERCPを施行し、尾部嚢胞内にドレナージチューブ(CATHEX社製、5Fr、α型、long type)を留置した。第9病日のCTでは膵体部および尾部の膿瘍の増大を認め、チューブ先端は尾部膿瘍の乳頭側に留置されていた。血液検査上炎症反応の改善を認めないため、第10病日にERCPを施行し、膵尾部嚢胞内に再度ドレナージチューブ(Cook社製、5Fr)を留置した。その後、症状は徐々に改善し、ドレナージチューブからの排液は透明化し、第24病日に退院となった。退院後12日目、症状消失およびCTにて膿瘍の縮小化を確認後、ドレナージチューブを抜去した。退院後40日目のCTでは膵尾部に微小な嚢胞が残存するのみとなり、再発所見は認められていない。【考察】本症例は多発膵膿瘍であったが、各膿瘍と主膵管との交通を認めたため、経乳頭的経鼻膵管ドレナージ術が奏功したと考えられた。