日本消化器内視鏡学会甲信越支部

26.消化管出血を起こした小腸GISTの1例

丸子中央総合病院
松沢 賢治、沖山 葉子、塚原 光典、金子 靖典、佐々木 裕三、大工原 薫、丸山 和敏
信州大学 消化器内科
岡村 卓磨
信州大学 消化器外科
得丸 重夫、石曽根 聡、宮川 眞一

症例 60代男性主訴:タール便、既往歴:特記事項なし、内服なし現病歴:平成22年11月21日黒色の便に気付いて、当院を受診した。22日に上部、25日下部内視鏡を施行したが、出血点なく、26日にカプセル内視鏡を行った。小腸からの出血の所見を認めたが、出血が少量のためムコスタ、アドナの内服のみとした。23年2月10日頃より再び、タール便となり、他院を紹介。カプセル内視鏡を施行されるも、所見がないため、再び経過観察とされた。7月7日タール便で3回目の受診。Hb6.1と貧血を認め、再度他院でのダブルバルーン内視鏡を予定したが、施行できなかったため当院に入院。輸血を行った。この間CTでの検査は施行しなかった。平成23年8月7日右下腹部痛を主訴に受診。エコーで回盲部に10cmほどの腫瘍と周囲に浮腫を認め、炎症と診断して抗生剤の投与を行った。一時痛みは消失したが、9月8日血便を認めたため、信州大学消化器内科に紹介した。大学で施行した腹部CTで潰瘍の形成を伴った10cmの腫瘍を認めた。小腸に接していたため、小腸の粘膜下腫瘍と診断され、9月14日消化器外科にて小腸部分切除術が施行された。病変はトライツ靱帯より100cmの小腸壁より発生していた。病理所見ではGISTであった。術後グルベックの内服も行われたが、腎障害のため、現在は経過観察中である。消化管出血の診断では、CTなどの画像診断を含めた検索も必要であったと思われた。