日本消化器内視鏡学会甲信越支部

23.種々の方法にて治療した胃切除Roux-en-Y再建術後の総胆管結石の1例

新潟市民病院
薛 徹、古川 浩一、五十嵐 健太郎、杉村 一仁、和栗 暢生、米山 靖、相場 恒男、佐藤 宗広

症例は84歳の男性。腹痛と発熱を主訴に受診し胆石性急性胆管炎と診断された。既往歴に幽門側胃切除術、Roux-en-Y再建があり緊急処置としてPTGBDを行い、速やかに胆管炎は軽快した。当院外科にて手術の方針となったが、術前検索にて以前より指摘されていた重症大動脈弁狭窄症の悪化が確認され、耐術不能と判断された。しかし高齢でありPTGBD tubeの自己管理も難しく、退院のQOLが低下すると思われた。このため、ダブルバルーン内視鏡を用いて経乳頭的に切石を行ったが、結石多く一期的治療は困難でありERBDを留置した。続いて、PTGBD挿入ルートより順行性に胆嚢管を越え総胆管結石にアプローチし切石。バルーンにて結石を十二指腸側へ押し出したが、ERBDが障害となり完全切石には至らなかった。追加治療は患者の希望によりダブルバルーン内視鏡を用いて行う事となり、再度経乳頭的にアプローチ。大腸用のダイレーションバルーンを用いてEPBDを行った上で追加切石を施行、これにより完全切石となった。超高齢化に伴い、今回の症例のように外科手術不耐となる症例が増加する事が予想されるが、経皮経肝的ドレナージの留置は退院や長期療養型施設への転院に際し大きな障害となる。今回の症例のように経乳頭的アプローチが困難な術後症例であっても、ダブルバルーン内視鏡の使用や、経皮経肝ルートからの順行性の切石は患者のQOLを損なわず有用な選択肢の一つとなる。