日本消化器内視鏡学会甲信越支部

15.胃瘻造設後に門脈ガス血症をきたした2例

新潟県立新発田病院 内科
青木 洋平、夏井 正明、瀧澤 一休、岡 宏充、坪井 清孝、松澤 純、渡邉 雅史

 今回われわれは、胃瘻造設後に門脈ガス血症をきたした2例を経験したので報告する。 症例1は84歳男性。既往歴:陳旧性肺結核、S状結腸軸捻転。繰り返す誤嚥性肺炎のため2011年9月に当院に入院した。誤嚥性肺炎は抗生剤の点滴投与などで改善したが、経口摂取は困難であり2011年10月に経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を施行した。術後順調に胃瘻栄養を増量し転院待ちの状態だったが、PEG後第28病日に全身の苦痛、冷汗が出現した。CTにて食道~胃の壁内気腫、腹腔内遊離ガス、門脈内ガスを認めた。小腸内にガス貯留を認めたが、明らかな閉塞起点はなかった。経鼻胃管チューブによる減圧や輸液など保存的治療を行ったが、全身状態が急激に悪化し、同日、永眠された。 症例2は46歳男性。既往歴:空腸穿孔性腹膜炎、腸閉塞。多系統萎縮症にて当院神経内科に通院していた。2010年10月、腸閉塞、誤嚥性肺炎にて近医に入院した。保存的治療にて腸閉塞は改善したが、誤嚥性肺炎が継続したため当院神経内科に転院した。原病の進行のため経口摂取は困難と判断され、2010年11月、PEGを施行した。術後、第2病日より胃瘻から白湯の投与を開始し、徐々に胃瘻栄養を増量した。術後第10病日より腹痛が出現し、CTにて食道~胃の壁内気腫、腹腔内遊離ガス、門脈内ガス、空腸の拡張を認めた。CTを施行した時点で、ノルアドレナリンの持続静脈投与を行っても血圧が測定できないほど状態が悪化しており、明朝、永眠された。