日本消化器内視鏡学会甲信越支部

12.異時性多発胃癌に対してEMR6回およびESD1回を繰り返した1例

新潟県立がんセンター新潟病院 内科
青柳 智也、栗田 聡、佐々木 俊哉、船越 和博、本山 展隆、加藤 俊幸

【目的】EMR/ESD除菌後も経過観察していく必要性.

【症例】症例は82歳女性。2000年に前庭部小弯IIaのEMRを受けた。その後の再発はなかったが、他の部位に異時性多発胃癌が発見され、2004年に前庭部大弯のIとIIaをEMRされた。2005年2月には除菌に成功したが、2006年には胃角部前壁のIIaと前庭部大弯のIIaを、2007年には胃角部後壁にIIaを認め、各々EMRされた。さらに除菌後6年目にあたる2011年には幽門前部から幽門輪にかかるIIaが認められたが、ESDで切除され、15x9mmであった。

【考察】いずれの病変も隆起型の分化型腺癌であったため、6回のEMRと1回のESDで切除できたが、除菌成功後も1年、2年、6年目に異時性胃癌の発生を認めたことから、除菌後も経過観察していく必要性を認識させた。