日本消化器内視鏡学会甲信越支部

62.膵仮性嚢胞に対し嚢胞胃吻合術を施行した2例

飯田市立病院 外科
市村 創、金子 源吾、前田 知香、服部 亮、酒井 宏司、水上 佳樹、平栗 学、堀米 直人

現在、膵仮性嚢胞に対する治療は内視鏡的治療(経胃的ドレナージ、経乳頭的ドレナージ)が第一選択だが、出血や感染、静脈瘤の存在や悪性腫瘍が疑われる場合は外科的手術の適応となる。今回我々は嚢胞胃吻合術を行い、著明な嚢胞の縮小を認めた2例を経験したので、若干の文献的考察をふまえて報告する。

症例1:73歳 男性

2008年3月、腹痛を認め、翌日になり腹痛が増悪しまた嘔吐も出現したためかかりつけ医を受診。急性膵炎の診断にて当院紹介され、内科的治療行い小康状態となったが、経過中、腹部CTで仮性膵嚢胞を認めた。その後1か月の経過で増大傾向であり、されに嚢胞内に脾動脈が貫通しており出血による破裂の危険があったことから、準緊急的に嚢胞胃吻合術施行した。術後第10病日の腹部CTにて明らかな嚢胞の縮小を認めた。

症例2:76歳 男性

2010年3月、前医にてCEA高値を指摘され、精査の腹部CTにて膵嚢胞を認めた。無症状のため経過観察行っていたが、2010年12月に行った腹部CTで嚢胞の増大、脾静脈の圧排を認めたため、精査加療目的に当院内科に紹介された。EUSにて仮性嚢胞と診断され、経乳頭的ドレナージで嚢胞の縮小を認めず、また胃周囲に側副血行路の発達があり経胃的ドレナージ非適応であったことから当科紹介、嚢胞胃吻合術施行した。術後2か月半後の腹部CTにて嚢胞の著明な縮小を認めた。