日本消化器内視鏡学会甲信越支部

61.門脈病変を合併した自己免疫性膵炎の一例

新潟県立新発田病院 内科
坪井 清孝、夏井 正明、中村 隆人、水澤 健、滝澤 一休、岡 宏充、青木 洋平、松澤 純、渡邉 雅史
新潟大学医歯学総合病院 第三内科
野本 実、青柳 豊

【症例】60歳代の男性。平成22年5月に皮膚黄染を主訴に近医を受診し、肝機能障害と黄疸を認め、当科を紹介された。身体所見では眼球結膜と皮膚に黄染を認めた。【経過】入院時検査所見では高蛋白血症、低アルブミン血症、高γグロブリン血症を認め、IgG 5005mg/dl、IgG4 3020mg/dlと異常高値であった。また、直接ビリルビンと肝胆道系酵素の上昇も認めた。腹部CTでは膵のびまん性腫大と被膜様構造、および門脈臍部から肝円索にかけてφ20mmの腫瘤を認めた。同腫瘤はUSでは低エコーを呈し、中心に血流が確認された。ERCPでは主膵管の不整狭窄像と膵内胆管の限局性狭窄像を認めた。腹部血管造影の門脈相では門脈左枝の起始部に軽度の狭窄があり、Angio-CTでは門脈臍部の腫瘤は後期濃染を呈した。膵と門脈臍部以外の病変として、左右顎下腺腫大、縦隔肺門リンパ節腫大、両側肺気管支壁の肥厚、後腹膜線維症を認めた。門脈臍部腫瘤のエコー下針生検を行い、病理組織では著明な線維性増生を伴った形質細胞浸潤を認め、浸潤細胞の多くはIgG4陽性細胞であった。以上より、多彩な膵外病変を伴った自己免疫性膵炎と診断し、プレドニゾロンを30mg/日から開始した。高ビリルビン血症、肝胆道系酵素上昇、高IgG血症、高IgG4血症は徐々に改善し、ステロイド開始し約2週後のCTでは膵腫大、門脈臍部腫瘤、顎下腺腫大、気管支壁肥厚、後腹膜線維症は著明に改善した。プレドニゾロンを 10mg/日まで漸減した際に門脈臍部腫瘤の軽度増大を認めたため、一時的にプレドニゾロンを15mg/日に増量したが、その後は増大傾向なく、現在PSL 10mg/日で外来経過観察中である。【結語】自己免疫性膵炎の膵外病変は多く報告されているが、門脈病変の報告は少ないため貴重な症例と考え、若干の文献的考察を加え報告する。