日本消化器内視鏡学会甲信越支部

54.喉頭転移にて発症しSunitinibが奏功している膵原発Neuroendocrine tumorの1例

飯田市立病院 消化器内科
小林 惇一、岡庭 信司、中村 喜行、持塚 章芳、武田 龍太郎、高橋 俊晴、玉井 方貴
飯田市立病院 総合内科
白旗 久美子
飯田市立病院 臨床病理科
伊藤 信夫
埼玉医科大学 腫瘍内科
佐々木 康綱

症例は70代男性。喉のつかえ感、体重減少にて近医を受診し、EGDにて喉頭腫瘍を指摘された。当院耳鼻咽喉科にて喉頭鏡下生検が施行され、病理結果はNeuroendocrine tumorであった。喉頭全摘出術の適応として術前にPET-CTを施行したところ、膵頭部にFDGの集積(SUVmax10.1)を認めたため当科に紹介となった。EUSではやや不整な輪郭を示す内部エコー均一な低エコー腫瘤であり、造影CTにて腫瘍は不規則に濃染し周囲にリンパ節腫大を伴っていた。膵管非癒合のため膵液細胞診や擦過細胞診は施行できなかった。経十二指腸的にEUS-FNAを施行したところ腫瘍細胞はCGA、Synaptophysin、CK19、CEA、CA19-9のいずれも陽性であり、喉頭腫瘍の生検組織も同様の形質を示したことから喉頭転移を伴う膵原発のNeuroendocrine tumorと診断した。喉頭転移に対しては窒息や出血のリスクを考慮し喉頭全摘出術を予定通り施行した。摘出標本の病理学的検討にてSSTR2陰性と判明したことから、十分なinformed consentのもとSunitinib(32.5mgにて開始し骨髄抑制のため25mgに変更)による化学療法を開始した。投与開始後2ヶ月経過した時点でのPET-CTでは、FDG集積の明らかな低下が認められておりSunitinibが奏功していると考えている。