日本消化器内視鏡学会甲信越支部

36.カプセル内視鏡、バルーン内視鏡で診断した原発性腸リンパ管拡張症の1例

新潟市民病院 消化器内科
本間 美帆、相場 恒男、杉村 一仁、薛 徹、林 雅博、佐藤 宗広、米山 靖、和栗 暢生、古川 浩一、五十嵐 健太郎

症例は70代後半女性。20代後半にチフス、50代後半に肺炎の既往あり。2009年1月から慢性胸水で当院呼吸器内科に通院していた。2011年6月胸水増量傾向あり、胸腔穿刺にて乳糜胸水を認めた。低蛋白血症(総蛋白4.3g/dl、Alb 2.4g/dl)とA/G比が1.0と低下しており、蛋白漏出性胃腸症を疑われ当科受診した。上部消化管内視鏡、大腸内視鏡では明らかな異常所見は認めなかったが、カプセル内視鏡(以下CE)にて、上部空腸の粘膜に白点が散在し、最も目立つ部位では浮腫状粘膜、腸管内液体の白濁化を認め、リンパ漏出が疑われた。経口的ダブルバルーン内視鏡(以下DBE)にて、トライツ靭帯30cmほどの上部空腸から肛門側に絨毛は浮腫状に腫大し、散在性に白点が認められた。さらに肛門側では絨毛は全体に白色に腫大。蛋白漏出性胃腸症を疑い、生検を施行した。生検部位より白色の乳糜様物質が流出した。蛋白漏出は粘膜面全体から起こっており、特定の漏出点を認めなかった。病理組織で粘膜下のリンパ管の拡張があり、一部でリンパ管内の泡沫細胞の集簇を認めた。蛋白漏出シンチで腸管のアルブミンの漏出がみられ、腸リンパ管拡張症による蛋白漏出性胃腸症と診断した。腸リンパ管拡張症は比較的稀な疾患であり、CEでリンパ漏出が疑われ、DBE下生検で確定診断された貴重な症例と考え、文献的考察を加え報告する。