日本消化器内視鏡学会甲信越支部

35.カプセル内視鏡で診断しえたHenoch-Schönlein紫斑病に伴う出血性小腸潰瘍の一例

新潟厚生連長岡中央総合病院 消化器病センター
渡邉 ゆか理、佐藤 明人、高橋 一也、外池 祐子、福原 康夫、渡辺 庄治、佐藤 知巳、富所 隆、吉川 明

Henoch-Schönlein紫斑病(以下HSP)は毛細血管~細動脈の急性アレルギー性血管炎で、皮膚、腹部、関節、腎障害を主な兆候とする疾患である。今回ステロイド治療中にもかかわらず、大量の小腸出血をきたしたHSPに伴う、出血性小腸潰瘍をカプセル内視鏡にて診断しえた一例を経験したので報告する。症例は50歳代男性。平成23年2月感冒症状を契機に四肢や体幹に紫斑、腹痛や関節痛が出現。当院にて皮膚生検でHSPと確定診断され、腎障害合併も認めたため腎臓内科に入院となった。ステロイド治療開始後HSPに伴う症状は改善傾向であった。しかし第39病日突然下血し、EGD、CFで精査を繰り返したが出血源を特定できず、輸血と補液で対応していたが、その後も下血を繰り返した。小腸出血の可能性を考えカプセル内視鏡を施行、小腸に潰瘍を認め、同病変からの出血が疑われ、術中内視鏡にて出血源を特定することができた。カプセル内視鏡は全身状態不良でも簡便かつ安全な小腸出血のスクリーニング検査として優れていると考えられた。