日本消化器内視鏡学会甲信越支部

20.胸腔鏡下に核出した食道神経鞘腫の1例

信州大学 医学部 附属病院 消化器外科
杉山 聡、小出 直彦、奥村 征大、竹内 大輔、唐澤 文寿、鈴木 彰、宮川 眞一
長野赤十字病院 消化器内科
藤沢 亨
信州大学 医学部 附属病院 消化器内科
米田 傑
信州大学 医学部 附属病院 臨床検査部
浅香 志穂

「諸言」胸部食道の良性腫瘍は比較的稀で、その多くは平滑筋腫である。今回、胸部上部食道に発生した神経鞘腫の1例を経験したので報告する。「症例」63歳、女性。3年前に乳癌術後の経過観察目的のCTにて、胸部上部食道に20 mmの粘膜下腫瘍を指摘された。フォローアップ目的のCTにて腫瘍径が25 mmと増大傾向を認めたため、手術目的に当科紹介となった。上部消化管透視では胸部上部食道右壁に35 mm大の陰影欠損を認めた。EGDにて切歯より25 cmの食道右壁に粘膜下腫瘍を認めた。EUSでは食道壁第4層に一致して、25 mm大の内部エコー不均一な腫瘍を認めた。生検にてS100陽性であり、神経原性の腫瘍が疑われた。胸部CTでは胸部上部食道に25 mm大の腫瘍を認めたが、転移は認められなかった。FDG-PETでは腫瘍に一致して淡い集積を認めた(SUV max 5.28)。手術は胸腔鏡下腫瘍核出術を行った。全身麻酔下にスコープを食道内に留置した後に、胸腔鏡による観察を開始した。腫瘍は胸部上部食道の壁側胸膜に突出して確認された。まず壁側胸膜を切開し、次いで食道外膜および固有筋層を切開して腫瘍表面に到達した。腫瘍表面と残すべき食道粘膜を損傷しないように腫瘍の核出を行った。核出部の食道粘膜に損傷がないことを確認して、食道固有筋層と外膜を縫合閉鎖した。切除標本では、腫瘍径は30 mm、腫瘍割面は黄色調であった。病理検査では、腫瘍は紡錘形細胞が索状に配列し、縦横に錯綜しながら増殖していた。腫瘍細胞はS100陽性、KIT陰性、CD34陰性、α-SMA陰性、vimentin陽性、Ki-67 labering index は3.9 %であった。以上から神経鞘腫と診断された。「結語」本邦における食道神経鞘腫の報告例は30例に満たない。胸腔鏡下に核出した食道神経鞘腫の1例を報告するとともに、当科で経験した胸部食道の平滑筋腫およびGIST症例の腫瘍肉眼所見と病理所見を供覧する。