日本消化器内視鏡学会甲信越支部

11.急性発症型自己免疫性肝炎の1例

長野赤十字病院
倉沢 伸吾、宮島 正行、今井 隆次郎、三枝 久能、藤沢 亨、森 宏光、松田 至晃、和田 秀一、清澤 研道、渡辺 正秀

【症例】38歳 女性【主訴】全身倦怠感【既往歴】24歳にサルコイドーシス【現病歴】2011年2月上旬より全身倦怠感出現。3月16日T.Bil 12.9mg/dlと黄疸が出現し前医を受診した。動員で急性肝炎と診断され以後黄疸は軽減したが、ALT 603IU/Lと再上昇があり4月19日当科に紹介となり入院した。【入院時現症】身長161cm1体重47kg  眼瞼結膜貧血なし眼球結膜黄疸なし。表在リンパ節触知しない。AST 280 IU/L ALT 482 IU/L ALP 591 IU/L r-GTP 124IU/L T.Bil 1.8 mg/dl IgG 1555 mg/dl 各種肝炎ウイルスマーカー陰性、抗核抗体 20倍、MM2抗体 17、薬剤服用歴、アルコール歴がなく、ウイルス性肝炎も否定的なことから自己免疫性肝炎(AIH)の急性発症型、PBCなどを疑って肝生検を行った。門脈域の単核球浸潤や形質細胞浸潤は軽微で小葉内のfocal necrosisとKupper細胞動員がdiffuseに認められた。その後ALT 1017 IU/Lとflare upがあり、5月30日よりsteroid mini pulse療法を行った。その後PSL 40 mg/dayを開始し、漸減した。ALTは以後正常化し現在も再燃を認めない。本例はAIHの急性発症例として矛盾しないと考える。AIHの急性発症型はそれほど稀ではなく、IgG値の上昇が少なく自己抗体の出現頻度も低いことから従来のAIHの診断基準に入らないことが多い。臨床的に念頭に置くべき病態と考え報告する。