日本消化器内視鏡学会甲信越支部

10.当院における経胃経肝的EUSガイド下胆道ドレナージ術(EUS-BD)の経験

佐久総合病院 内科
比佐 岳史、古武 昌幸、高松 正人

緒言:経乳頭的あるいは経皮経肝的胆道ドレナージ術の代替法としてEUS-BDの有用性が報告されているが、統一された方法がなく偶発症も散見される。今回、当院で施行した経胃経肝的EUS-BDの成績を報告する。

方法:2008年1月~2011年10月の間に当院で経胃経肝的EUS-BDを試みた14例を対象に、ステント留置の成否、偶発症、ステント交換について検討した。最近のステント留置手技の実際:コンベックス型EUSを用いて19G針で肝内胆管を穿刺し、胆汁吸引後に少量の造影剤を注入する。0.025 inchのガイドワイヤ(GW)を胆管内に留置後、ERCPカテーテルおよび拡張用バルンで穿刺部を拡張し、7Fのプラスチックステント(PS) あるいは被覆型の自己拡張型金属ステント(Covered SEMS)を留置する。ステント交換時の手技:PS内あるいはPS脇よりGWを胆管内に留置し、把持鉗子でPSを抜去後、PSあるいはSEMSを留置する。

結果:○ステント留置の成否:14例中12例(85.7%)でステント留置(PS 10例、Covered SEMS 2例)に成功し、穿刺胆管はB3が11例、B2が1例であった。不成功の2例はいずれも本手技導入1年以内の症例で、穿刺部拡張が不可能であった。○偶発症:B2よりPS留置を行った1例は、術後1日目にPS消化管側端の胸腔内逸脱による縦隔炎を来し緊急手術となった。本症例以降、長めのPS留置によりPS逸脱はない。○ステント交換:7例中6例(85.7%)でステント交換が可能であった。二期的にUncovered SEMSを留置した1例は肉芽形成によるSEMS閉塞を来したが、Stent in stentでCovered SEMSを留置しSEMS再閉塞は認められなかった。一期的あるいは二期的にCovered SEMSを留置した4例では、SEMS閉塞や胆管分枝閉塞による胆管炎は認められなかった。

結語:経胃経肝的EUS-BDにおいて、ステント交換や一期的なCovered SEMS留置が可能である。