日本消化器内視鏡学会甲信越支部

6.肝内胆管癌の精査中診断された二葉胆嚢、重複胆嚢管の1例

新潟県立吉田病院 内科
中村 厚夫、遠藤 新作、八木 一芳、関根 厚雄
新潟県立吉田病院 外科
岡本 春彦、田島 陽介、小野 一之、田宮 洋一

70歳代女性、2010年8月ドックにて肝障害と腹部エコーで肝内胆管の拡張を指摘。11月当科受診。腹部CTでは左肝内胆管の拡張を認めるが腫瘍は指摘できなかった。MRCPでは胆嚢が2つあるように見えるが胆嚢管ははっきりしなかった。精査目的に入院。検査成績はALP:484 γGTP:117と胆道系酵素の上昇を認める以外異常は指摘できなかった。ERCPでは明らかに胆嚢管は2つあり胆嚢が分離されているか交通があるかはわからなかった。左肝内胆管は一部閉塞を認めた。胆汁細胞診はclassIIであったが、ERCP像より肝内胆管癌と診断、肝左葉切除、肝外胆管切除の方針とした。術中門脈への浸潤が疑われ門脈を一部切除した。手術標本の胆嚢管にゾンデを2本入れ胆嚢管が2本有ることを確認し胆嚢も分離していた。病理診断はCarcinoma of intrahepatic duct。門脈浸潤が高度であった。30x10x40mm、T3N0M0、moderately differenciated tubular adenocarcinoma 二葉胆嚢、重複胆嚢管の胆道形成異常を認めた。重複胆嚢管は、胆嚢管走行異常の中でも珍しく、ともに総胆管から認められるものはさらに珍しい。また胆嚢は1個が多いが本症例の様に二葉胆嚢は非常に稀であり貴重と考え報告した。